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「おにぎり協会」が選ぶ“おにぎり向き”のお米は?

柏木 智帆

ライター:

連載企画:お米ライターが行く!

「おにぎり協会」が選ぶ“おにぎり向き”のお米は?

新緑の5月はいよいよ行楽シーズン。おにぎりを持って出掛けたくなる季節です。どうせならばおいしいおにぎりを作りたい…。でも、数あるお米の中からいったいどの品種を選べばいいのでしょう?そこで、おにぎり向きのお米を探る「おにぎり食味会」を開催した「一般社団法人おにぎり協会」に教えてもらいました。ズバリ、どんなお米がおにぎりに向くのでしょうか?

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エントリー銘柄米は9品種

お米の食味評価と言えば、「一般財団法人 日本穀物協会」が毎年行っている「米の食味ランキング」がありますが、炊いたごはんの状態とおにぎりにした状態では食味評価は変わるはず。そこで、「お茶碗の世界ではなく、おにぎりという一つの料理に落とし込んでみたらどうか」と2017年に始まったのは「一般社団法人おにぎり協会」による「おにぎり食味会」。

第2回となる今回のエントリー銘柄は、第1回で1位に輝いた山形県産「つや姫」、2位の岩手県産「銀河のしずく」、3位の「ゆめぴりか」に加え、おにぎり協会が注目銘柄として選んだ長野県産「風さやか」、福井県産「いちほまれ」、島根県産「きぬむすめ」、愛媛県産「にこまる」、熊本県産「森のくまさん」。そして、全国ナンバーワンの作付面積を誇る新潟県産「コシヒカリ」の計9品種をそろえました。

9品種のお米で作ったおにぎり

同じ条件で炊き上げて塩むすびを作り、炊きたて・にぎりたての状態で、「食味(旨みや甘さ)」、「食感」、「適度な硬さ」、「ねばり」、「のどごし」、米粒の「くちほどけ」、具材との相性の良さを示す「包容力」を検証。食味変化が出やすくなる4時間後にも食べて「冷めて旨い」かどうかも確かめました。

大量の塩にぎりをひたすら食べ続けたという検証メンバーたち

検証メンバーは、おにぎり協会代表理事の中村祐介さんをはじめ、お米屋、おにぎり屋、フードジャーナリストなど5名。今回、おにぎり向きのお米に選ばれたのはどのお米だったのでしょうか?参加したおにぎり協会理事の関克紀さん、五ツ星お米マイスターで「小池精米店」の小池理雄さんに教えてもらいました。

同点で2品種が首位に

1位は、前回も1位に輝いた山形県産「つや姫」。そこに「ちょっと待った」と同点1位に食い込んだのは愛媛県産「にこまる」。そして、3位は前回2位だった岩手県産「銀河のしずく」でした。

山形県産「つや姫」については、「粒感」「適度な硬さ」「くちほどけ」「包容力」の4項目でトップ。「粒がぱきっとしているというか、張りがあるというか、粒感がいい」と関さん。小池さんも「粒がぷりんとした弾力で気持ち良く、まとまりも申し分ない。4時間後は粒の硬さが強調されるようになり、ざくっと噛み切れるような感触でした。粒のほぐれ具合は相変わらず申し分ない」と高評価。

一方で、関さんによると、「『つや姫』は人によって評価が分かれる」そう。「『コシヒカリ』が好きな人は、『つや姫』はしっかりとしすぎていてあまり好きではなく、『コシヒカリ』が好きな人は比較的『にこまる』も好きという場合が多いですね」。今回も、メンバー5人の間で、「つや姫」は上位銘柄の中では好き嫌いが分かれ、「にこまる」は全員が好きだと答えたそうです。それでも1位に輝いた「つや姫」の底力を感じつつも、「にこまる」は驚くほどの高評価でした。

入賞銘柄の点数

にこまるは、「食味」「のどごし」に加え、おにぎりで特に重要となる「くちほどけ」「包容力」「冷めて旨い」の5項目でトップ。関さんは「バランスが良いお米。『つや姫』は粒感ははっきりとしていますが、お米の甘みや旨さは相対的に『にこまる』のほうが上でした」と大絶賛。小池さんも「甘みが秀でていて、粒の大きさも申し分ない。冷めてからも噛みしめると力強い旨みがにじみ出てくる。『つや姫』にも言えることですが、外側はぱりっとしていて中はしっとりというお米。『にこまる』はその中でも旨みがしっかりとしています」とべた褒め。参加メンバーの一人、おにぎり屋「浅草宿六」店主の三浦洋介さんも「濃い味、濃い香りで、海苔にも具にも負けない力強さ。あらゆる素材と組み合わせられる」と話すなど、おにぎり職人からも好感触でした。

具材が変われば合うお米も変わる

「そうは言っても、基本的にはどんなお米でもおいしいおにぎりが作れますけどね」と関さん。その中でも、関さんと小池さんが考える、特に“おにぎり向きのお米”とはいったいどんなお米なのでしょうか?

おにぎりの好みは人それぞれ

「粒感とくちほどけ重視」と言うのは、関さん。「個人的には『つや姫』や『銀河のしずく』を気に入っています。人によっては『甘みが足りない』と言う人もいますが、あっさりめで粒感があるからこそ、あっさりのものから油っこいものまでどんな具材も受け止めてくれます」。

今回の検証は塩にぎりでしたが、シャケや昆布など具材を入れたおにぎりを想定すると、小池さんは「もちろん粒感は必要ですが、具材と合うかどうかが大事」と言います。「噛んだときの弾力はあったほうがもちろんいいけど、噛み終わった後の甘みの広がり方が具材とどう合うかという口内調味の切り口でおにぎりを選びたい。たとえば、味が濃い具材には旨みのある米で口の中で一緒に食べていて違う味になる、そういうおにぎりがいい。具材によって合うお米も違うのです」。

餅は餅屋。お米選びに迷ったら、まずはお米屋へ

塩にぎりでは「つや姫」と「にこまる」が首位でしたが、シャケにぎり、ツナマヨにぎり、梅干しにぎり…と具材の塩味や脂分などが変わると、“おにぎり向きのお米”の順位も変わりそう。「おにぎり食味会」の番外編に期待したいところです。

一般社団法人おにぎり協会

【写真提供】一般社団法人おにぎり協会

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