第7回の最後に、クラウドファンディングの本文を執筆するにはまずおおざっぱに下書きをするのをおすすめしました。プロのライターでも、一文目を書くのが一番大変なのではないでしょうか。気軽な下書きから始めれば、筆を止めることなく文章を書きはじめることができます。
初公開! クラウドファンディングの文章の構成
実は、私が仕事でクラウドファンディングの文章を執筆する時は、あらかじめ用意しておいた“鉄板の構成”に下書きをするところから始めています。いままで公開したことはありませんでしたが、ここでなんと初めて、みなさんのためにご紹介します。
1. 自己紹介
2. ○○プロジェクトとは
3. ○○プロジェクトの背景
4. 集まった資金の使い道
5. リターンについて
6. 熱い思いをひとこと
思ったよりも簡単だと思われた方もいるかもしれませんが、私はいつもこの見出しに文章をつけていくようにして下書きを行っています。この構成を下書きから本文に仕上げるまでのやり方をご紹介します。
ひとつの見出しに文章は200文字程度
第7回で、クラウドファンディング全体の文章は1500文字程度が最適だというお話をしました。まずは、ひとつの見出しに200文字を書くのを目安に下書きをしていきます。今は便宜上それぞれの見出しに数字がふってありますが、それは後で取るとして、まずはワードやメモ帳に見出しをコピーして、下書きを始めてみましょう。
1. 自己紹介
見出しにあるように、最初のあいさつとなるプロジェクトの主人公の自己紹介から始めましょう。誠実さが伝わることと、プロジェクトに関係のある自己紹介であることが大切です。
2. ○○プロジェクトとは
2番目の見出しでは、プロジェクトのおおまかな内容を書いていきます。何をどうするプロジェクトなのかが伝わるように意識し、具体的な地名、生産物名、加工品名を入れるように意識しましょう。
3. ○○プロジェクトの背景
2番目の見出しではおおまかな概要を説明し、この見出しではその背景を説明します。なぜこのプロジェクトをやろうと思ったのか、何か発端になったできごとや課題があればそれを説明します。読んでいる人の心に届くように時に感情を入れて書くのもおすすめです。
4. 集まった資金の使い道
クラウドファンディングならではの段落ですが、お金が無事に集まった暁にはどのようにお金を使うかをこの段落に書きます。具体的な収支報告の義務はないので、
・集まったら何に使うか、それで何が達成できるのか
・もし集まらなかったらどうするのか(自己資金で行うなど)
・集まりすぎた場合は何に充てるのか
を書けば十分です。
5. リターンについて
支援する金額にあわせたリターン(お返し)についてここで書きます。クラウドファンディングのプラットフォームによりますが、本文と別に用意されたリターン欄では商品にかける思いや細かい仕様が書ききれないことがあります。それらはこの段落に書くのが良いでしょう。リターンが多すぎて書ききれない時は、最も支援が集まりそうなおすすめのリターンについて書いてください。
6. 熱い思いをひとこと
最後に、熱い思いをここに書きます。紋切り型のお願いの言葉ではなく、自分らしい言葉で見てくれている人に思いを伝えるのが私のおすすめです。
本文の下書きが仕上がったら、周りの人に読んでもらう
それぞれの見出しに内容をつけたら、まず自分で音読しながら文章を直すのがおすすめです。何度読んでもなめらかになったなというところで、友人やまわりの人にテキストを見てもらいましょう。わかりづらいところや読みにくいところを指摘してもらい、文章に仕上げていきます。
文章ができたら、見出しを整える
そうして文章ができあがったら、数字をふられている見出しを整えていきます。数字はとって、内容を表す見出しに少しずつ変えてきましょう。
例えば、「1.自己紹介」は「はじめまして、○○です」といったように。「2.○○プロジェクトとは」「3.○○プロジェクトの背景」は○○の中にプロジェクトの名前を入れるだけでも問題ありませんし、変更しても良いでしょう。「4.集まった資金の使い道」「5.リターンについて」はこのまま見出しとして使っても良いですし、内容にあわせ変更するのも良いです。最後の「6.熱い思いをひとこと」は、思いに合わせ「みなさんの支援が○○を作ります」などの見出しに変更してください。
それぞれの見出しが整ったら、すべての下書きは終了です。
全体を通して読んで、本文のテキストは完成
見出しをつけ、文章を整えたら、一度最初から最後まで読んでみましょう。途中で語調が変わったりしていないでしょうか? 違和感なく読むことができたら、本文のテキストは完成です。
■次回は画像の挿入
テキストを作り終わったら、次はいよいよ画像の挿入です。それぞれの段落にどんな画像を入れると効果的なのかを解説します。
写真:出川 光