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【農家が教えるサツマイモの栽培方法】種まきから収穫まで育て方のコツを徹底解説!

鶴田 祐一郎

ライター:

連載企画:農家が教える栽培方法

【農家が教えるサツマイモの栽培方法】種まきから収穫まで育て方のコツを徹底解説!

サツマイモは片手間に植えて放っておいても、収穫のときに掘りに行けばできているという手軽さを感じることができ、園芸の楽しみを味わうならばうってつけの作物でしょう。
ただ、いくら比較的栽培が容易なサツマイモといえど、「細いイモしか採れなかった」「ツルが伸びすぎて管理ができない!」といった栽培上のトラブルに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、サツマイモの植え付けから収穫までの栽培管理と、気をつけるべき病害虫について詳しく解説していきます。サツマイモ栽培は、ポイントをしっかり抑えることで、より太くて大きいイモが採れるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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サツマイモの歴史

サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属の多年生植物で、普段食べている部分は根っこにあたります。食用としての歴史は古く、古代ペルーやメキシコで重要な作物として扱われていたようです。日本では17世紀のはじめ頃、沖縄や九州に伝わり、薩摩で作られた芋だからサツマイモと呼ばれるようになりました。

サツマイモはデンプンが豊富で、ビタミンCやビタミンB1などのビタミン類、食物繊維を多く含んでいます。またデンプンによって栄養素が壊れにくく、食べて摂取しやすいのも特徴です。私たちの食卓には、煮物や天ぷらなどのおかずとしてや、焼き芋や芋けんぴなどのおやつとしても登場しますし、芋焼酎などお酒の原料としても愛されている作物です。

サツマイモの品種

サツマイモの品種 サツマイモと一言でいっても、国内では約40種類もの品種が栽培されています。見た目の違いや、食感や味わいが異なるのはもちろん、得意な料理の分野もそれぞれ違います。サツマイモをどのようにして食べたいのか、よく考えてから品種を選びましょう

品種 食感 特徴 育てやすさ
紅あずま ほくほく 家庭料理全般に 育てやすい
紅はるか しっとり 甘みが強い 育てやすい
安納いも ねっとり 焼き芋にピッタリ 少し難しい
シルクスイート しっとり シルクのように滑らか 少し難しい
パープルスイートロード ほくほく 濃紫色でお菓子向け 少し難しい

筆者のオススメは紅あずまや紅はるか。メジャーな品種だからこそ育てやすく、何かトラブルがあったときにも対処法を調べやすいというメリットがあります。とはいえ、サツマイモは元々頑丈な作物なので、種芋が手に入るのであれば安納いもや、パープルスイートロードなどの珍しい品種に挑戦するのも十分可能です。

サツマイモの栽培時期と特徴

サツマイモの栽培暦は、次のとおりです。5月中旬の暖かくなってきた頃から、6月の半ばくらいまでの間に苗を植え付けます。植付けから4ヶ月ほどで収穫となるので、植付け日をきちんと記録に残しておきましょう。
あくまで目安ですので、地域や品種により異なるので参考程度としてください。

サツマイモの“栽培暦”

※1 中耕:土が雨などの影響で固くなってくるため、株の周りを耕して土を軟らかくし、通気性をよくすること。
※2 土寄せ:畝間の土を株元に寄せる作業。除草も兼ねて行われるが、マルチング(土の表面をビニールやわらなどで覆うこと)している場合は省略する。
サツマイモの特徴としては以下の通りです。中央アメリカ原産で、高温や乾燥に強く、肥料っけの無い土地でもよく育ちます。むしろ、畑に肥料が残っているとイモが上手く育たなくなってしまうので、注意が必要です。連作も可能なので、家庭菜園でも安心して栽培を楽しむことができます。

種類 分類 生育条件 好適土壌 難易度 茎葉の成育適温 発根温度 肥大適温
サツマイモ ヒルガオ科 日向 5.5~6.0 30~35℃ 15℃ 22~26℃

サツマイモの栽培方法

手軽で楽しいサツマイモ栽培ですが、肥料に弱く、育つ土壌を選ぶという注意点があります。ただ、しっかり理解して栽培に取り組めば、十分乗り越えることができるというのもサツマイモの面白さでもあります。

苗の準備

植え付け時期が近づくと、ホームセンターや農業資材店などにサツマイモの苗が並ぶようになります。サツマイモは購入した苗を植え付けて栽培をするのが一般的です。苗にも様々なタイプのものがありますが、イモのつるが切りまとめられているタイプの苗が最もポピュラーなものになります。

茎が太く、節間がよく詰まっていて、葉がしっかりと濃く色づいていているものが健康な苗の特徴です。サツマイモの苗は節の数が大切で、節数が5~8くらいあり、長さも20センチ以上あるものを選びましょう。植え付けまでは水を浅く張ったバケツにつけて、日陰において保管します。長くは持たないので、苗はなるべく植え付け日の直前に購入しましょう。

土作りと肥料

サツマイモ栽培はできるだけ“やせ地”が向いています。
そのため、でき得る限り肥料の効いていない“砂壌土”が理想です。
好適土壌は5.5~6.0pHで、植え付けまでに畑をよく耕し、高さ20~30センチの高畝にします。畝幅は畑の広さにもよりますが、通路を含めて1メートルは開けて、隣の畝との間隔を取りましょう。

サツマイモを栽培するときは、肥料を与える必要は基本的にありません。サツマイモは痩せた土地で生まれたこともあり、肥料成分を吸収する力が非常に高い作物です。深く広く根を張るため、施肥の量が少なくても十分大きくなります。
また追肥も基本的に行いませんが、7~8月に葉が黄色く変色してきたときは、ボカシ肥などをやると良いでしょう。

筆者がサツマイモを栽培するときは、元肥も追肥も全くやりません。ただそれは、さまざまな作物を連続して育てている畑で、肥料っけがある程度土に残っているからという側面も否めません。もし肥料が心配なのであれば、8-8-8(数字は窒素・リン酸・カリウムの割合を表します)の肥料を1平方メートルあたり50グラム程度施肥すると良いでしょう。難しい場合は、ボカシ肥や、サツマイモ用配合の肥料を使っても大丈夫です。

「つるぼけ」に要注意!

「つるぼけ」というのは、サツマイモが窒素などの肥料分を吸いすぎて、つるばかり伸びてしまいイモが肥大しなくなってしまう状態のことです。
主な発生要因として、①生育前期に雨が多かった、②畑が粘土質で水はけが悪い、③土壌に肥料分が多く残っている、などが挙げられます。

つるぼけしたイモは、細く繊維質になってしまうほか、味なども美味しくありません。土作りの段階から注意することや、栽培中はつる返しをしっかり行うなどで対策しましょう。

サツマイモの植え付け

植え付けは平均気温が18℃以上、地温15℃以上の(5月中旬から6月中旬)、土が湿っている状態のときに行います。植え付け時の土の状態がサツマイモ栽培においては最も重要だと言っても過言ではないので、多少遅れたとしても、雨が降って2~3日後の土壌条件が良いときに深耕、畝づくりをしましょう。

畝幅は70センチ程度の比較的狭いものに30センチ間隔で1条(1列)植えするのが一般的です。スペースの問題があるなら幅広の畝に2条植えしても問題はありませんが、若干作業性が悪くなります。

畑作で育てるときは、マルチングを行うことで栽培がぐっと楽になります。黒マルチを敷くことで、地温を確保できて根張りがよくなります。サツマイモはつるから根が伸び、イモに肥大化する作物です。マルチングをすることで余計な小さいイモができてしまうのを防ぐことができます。また雑草の抑制にも繋がり、サツマイモ栽培に欠かせないつる返しという作業も楽になります。

サツマイモは乾燥には強いですが、過度な水気には弱い作物です。畝高が低く、水はけが悪いと上手く育たなくなったり、枯死してしまうこともあります。植え付け時はたっぷりと水分が必要ですが、その後は水やりなどする必要はありません。

購入苗の植え付け方法について

サツマイモの植え方には、「斜め植え」「水平植え」「船底植え」「垂直植え」など、4種類の植え方があります。一番一般的な植え方は「斜め植え」ですが、植え方にはそれぞれ次のような特徴があるので解説していきます。

斜め植え

斜め植えはその名の通り、畝に向かって苗を斜めに植えるやり方です。
深さ5~10センチに、斜めになるように苗を植えていくだけです。
土がよく耕されていれば、簡単にするすると植え込んでいくことができます。

長さの短い苗を植えるときに適していて、収穫が早く、大きなイモに育ちます。
逆に長い苗を植えると、根が横に長く伸びるのでひとつひとつが細長いイモがたくさん収穫できるようになります。

水平植え

水平植えはオーソドックスな植え方です。苗の先端だけを地上に出し、残りの部分を地表と平行に埋めていきます。
サツマイモは土に触れている部分が多ければ多いほど、たくさんのイモが育つ作物です。水平植えは根が出やすく、多くの個数のイモを作りやすい植え方です。その分1個のサイズが小さくなりますが、焼き芋などにする分には、大きく育ちすぎてしまうよりは便利かもしれません。

船底植え

船底植えは水平植えの改良版で、耕作面積の少ない家庭菜園では最も多い、苗の両端を少し浮かせて植える方法です。乾燥や寒さに強いやり方で、節の深さが揃い、株あたりの収穫量も比較的多くなります。

ただ、両端を少し浮かせるという特性上、植え付けにかなり手間がかかります。数株ほどしか栽培しないような小規模であれば構いませんが、多くの畝を立てるようなときには向いていません。

垂直植え

垂直植えは、畝に苗の根元だけを深さ10センチほど突き刺すやり方です。他の植え方と比べて、乾燥に強く、収穫が早いという特徴があります。地面に突き刺すという手法なので、手間が少なく、簡単に植え付けることができます。

ただその分、地中でイモになる節や根が少ないので、収穫量は少なくなります。その分、イモ1つあたりの重量が大きくなるので、大きなイモを作りたいときに向いています。 農業 畝幅は70センチ程度の比較的狭いものに30センチ間隔で1条(1列)植えするのが一般的です。スペースの問題があるなら幅広の畝に2条植えしても問題はありませんが、若干作業性が悪くなります。
畝高は高ければ高いほど良く、30センチが基準となります。
植え付け時の土の状態がサツマイモ栽培においては最も重要だと言っても過言ではないので、多少遅れたとしても、雨が降って2~3日後の土壌条件が良いときに深耕、畝づくりをしましょう。 農業

種イモからの育苗をしたい場合は

翌年までイモを貯蔵し、育苗から栽培することもできます。ただし、育苗に40日ほどを要し、苗からの栽培が一般的です。 農業 図のようなベッドをつくり、1平方メートルあたり10キロ程度の種イモを均等に並べます。その際イモは地面に対して15度程度傾け、イモの頂部を揃えて綺麗に並べておきましょう。
萌芽(ほうが)の適温は30℃と比較的高く、九州地方でも電熱線を地面に埋め込んで温度を保つのが一般的です。水を切らしてはいけませんが、過湿は厳禁です。次々と出てくるつるが30センチほどに成長したとき、2節ほど残して刈り取り、その刈ったつるを植え付けに使用します。畝への植え付けは購入苗と同様です。苗を保管している間に多少しおれますが、問題なく根付きます。

サツマイモの栽培管理

栽培中はあまりやることがないイメージの強いサツマイモですが、重要な作業が2点あります。栽培初期段階に行う雑草管理と、つる返しです。

雑草管理はよく聞く言葉ですが、サツマイモ栽培においてはどのようなことが重要なのでしょうか。また、つる返しとは一体どのような作業なのでしょうか。ここで詳しく解説していきます。

重要! 植え付け後の雑草管理

サツマイモ栽培でもっとも重要なのは、なんと言っても除草作業です。
多少雑草が覆ってしまっても、草取りをすれば充分に楽しめる程度の収穫は可能ですが、芋づるが隠れる程に茂った雑草を引き抜くのは大変です。しかもその重労働が課せられるのは真夏になってしまいますから、誤ったタイミングの除草管理をして、「サツマイモ栽培は大変だ!」と思ってしまう人も多いようです。

作業時期を見てみると、サツマイモの除草作業は植え付け後30日頃に始まります。この時期を決して逃してはいけません。この時期を逃すと雑草と芋づるが同化してジャングルになり、手がつけられません。虫や病気も発生して、日当たりも悪くなり、イモは小さくなって糖分もたまらなくなってしまいますから、十分に注意しましょう。

もっとも、最初の時期こそ除草が必要ですが、生育が進みつるが地面を這うようになれば、自然と雑草もあまり発生しなくなっていきます。そうなれば雑草管理は一旦落ち着くでしょう。

サツマイモの「つる返し」について

サツマイモのつるを放っておくと、通路や畝間にどんどん根を張ってしまって、せっかくの栄養が分散してしまいます。そうなると本来栄養を集中させたいイモの部分に、十分な養分が行き渡らず良いイモが出来なくなるので、つる返しを行います。

夏から秋にかけて、成長したつるの部分を持ち上げ、土から引き離すようにして葉の部分に折り返してやります。重要な作業なので、つるが伸びてきたなと思ったら、欠かさずに行うようにしましょう。

サツマイモの収穫と貯蔵

サツマイモの収穫は、植え付け後、120~140日ほどで行います。収穫が早すぎても遅すぎても良くないので、時期が近づいたら何本か掘ってみる、試し掘りを行うと良いでしょう。

芋掘りは、土がサラサラに乾いたときに行います。湿っているときに収穫してしまうと、イモの表面に傷が付きやすく、またイモ自体も水分を吸ってしまうため、腐りやすくなってしまうからです。

イモを収穫するときは、地表の芋づるを鎌で刈っておき、三つ又鍬やスコップでひたすら掘り上げます。このとき、イモの茎付近にスコップを刺してしまうと、イモを切ってしまうので注意します。コツとしては、まず表面の土を手で軽くほって、イモの位置を確かめてから離れた位置にスコップを入れていくと良いでしょう。

収穫後の貯蔵について

収穫したばかりのサツマイモも美味しいですが、追熟させるともっと甘く美味しくなります。追熟には1~2ヶ月ほどかかりますが、上手に管理をしないと腐らせて駄目になってしまうことも。以下のことに注意して追熟に挑戦しましょう。

掘り上げたあとのサツマイモは、表面に付着した土を軽く拭き取って、1つずつ切り離しましょう。その後、2~3日天日干しをして、表面を乾燥させます。湿っている状態で貯蔵してしまうと、イモが腐って駄目になってしまう可能性があるので、十分に注意してください。

追熟や保存するときのベストな貯蔵温度は13~15℃で、日の当たらない場所に保管します。イモ自体が重みもあり、呼吸もするので、適当に箱などにいれてしまうと悪くなってしまうこともあります。なるべく平積みをして、常に空気を入れ替えて保存しましょう。

サツマイモ栽培で気をつけたい病害虫とその対処法

基本的に丈夫で環境や病害虫に強いと言われるサツマイモですが、放りっぱなしで大丈夫というわけではありません。病害虫対策は予防や、初期段階での防除が何よりも大切です。気づいたときには手遅れだったということがないようにしましょう。

気をつけるべき病気について

立枯病

立枯病は土壌菌によって引き起こされる病気で、感染すると葉が黄色や赤紫色になり、しおれてしまいます。またつるが伸びずに生育が悪くなり、ときには枯死することもあります。イモ自体に黒いかさぶたのような病斑ができることもあり、見た目にも影響のある病気です。
pHの高い土壌(pH5.5以上)や高温乾燥した土地で見られることが多く、畝を高くあげるマルチ栽培では注意が必要です。

つる割病

つる割病はカビによって引き起こされる病気です。育苗期に感染すると、新芽が下葉から黄色くなり、やがて枯れます。外見上健全に見える苗であっても、畑に定植すると茎の地際部から縦に裂けて、褐色の内部を晒しながら枯死してしまいます。

つる割病にかかった株は、早めに引き抜いてしまい、周りの株に病気が広がることがないように注意しましょう。「GFベンレート水和剤」などの農薬で予防や治療をすることもできます。

黒斑病

黒斑病はカビによって引き起こされる病気です。茎葉やイモに被害を出しますが、特に収穫後の貯蔵中に発生すると、多くのイモが駄目になってしまいます。発生初期の病斑は緑っぽい黒褐色ですが、次第に真っ黒なカビになっていきます。

種イモにも感染が広がるほか、土壌を汚染したり、害虫やネズミなどからも病気が広がります。消毒された種イモを使うことや、トウモロコシなどを輪作することで土壌中の原因菌を減らし対策を行います。

斑紋モザイク病

斑紋モザイク病は、モモアカアブラムシによって媒介されるウイルス性の病気です。感染してもつるはよく伸びますが、葉に薄黄色の小さな斑紋ができ、その周囲は紫色に変色します。イモ自体にも横縞状のザラザラしたひび割れや、デコボコができてしまいます。
消毒された種イモを使うことや、原因菌を媒介するモモアカアブラムシを防除することで予防できます。

基腐病

サツマイモ基腐病はカビによって引き起こされる病気です。感染すると地際部の茎が黒く変色し、病気が進行するとつるが枯れていきます。茎や葉が枯死した後、イモが腐敗します。
感染力が強く、一度感染すると畑全体に広がってしまう恐れがあります。

対策としては、消毒された種イモを使ったり、感染した株はすぐに引き抜いて、しっかりと処分することが挙げられます。

気をつけるべき害虫について

アブラムシ

アブラムシ アブラムシは体長1~4ミリほどの小さな虫ですが、集団になってサツマイモを食害するため、放置していると大きな被害を受けてしまいます。
植物の養分を吸い取るだけでなく、斑紋モザイク病などのウイルス性の病気を媒介することもあるので、日頃からの予防と、早めの防除が必要です。

サツマイモネコブセンチュウ

サツマイモネコブセンチュウ サツマイモネコブセンチュウは、サツマイモに寄生するセンチュウ類です。直径1ミリほどの乳白色の虫で、イモに寄生し、菱形の割れを生じさせます。病状が進むと割れが拡大し、次第にケロイド状になり形状不良となります。

九州などの火山灰土壌や砂質土壌など、水はけの良い土地で発生が多く、発生してからの防除は難しいため土壌改良や土壌消毒などの予防が必要不可欠です。

ヨトウムシ類(ハスモンヨトウやヨトウガ)

ヨトウムシ類(ハスモンヨトウやヨトウガ) ヨトウムシは体長20~40ミリで、若齢幼虫は緑色をしており、生長するにつれて褐色や黒褐色になっていきます。ヨトウムシは葉全体や新芽を食べ尽くしてしまうので、最終的には枯れてしまいます。

ヨトウムシはサツマイモの葉の裏側に数千個の卵を産み付け、繁殖していきます。そのため、普段からサツマイモをよく観察し、被害が大きくなる前に駆除してしまうのが大切です。

ドウガネブイブイ(コガネムシ)

ドウガネブイブイはコガネムシの仲間で、幼虫で22ミリほどの大きさ、成虫で25ミリほどのサイズになります。
幼虫は7月上旬ごろから発生し、主に柔らかい根を食害します。ドウガネブイブイの幼虫による食害を受けたイモは表面に傷跡が残り、見た目が悪くなります。

虫が大きくなると、根だけではなくイモ自体を食害するようになるので、被害が大きくなってしまいます。
雑草管理をしっかりとし、見つけた虫は捕殺するようにしましょう。

ハリガネムシ(コメツキムシの幼虫)

ハリガネムシはコメツキムシの幼虫で、細長く茶色い見た目をしています。
9月から10月にかけて多く発生し、土の中にひそみサツマイモを食害します。
ハリガネムシに食害されると、サツマイモの表面に数ミリほどの小さな黒い穴があき、その部分から数センチの深さまで食われてしまいます。

対処方法としては、成虫や幼虫を探して捕殺したり、オルトランなどの農薬を使って防除することが挙げられます。

イモキバガ

イモキバガは幼虫で体長15ミリ、成虫で8ミリほどのサイズです。幼虫は赤茶色の見た目をしており、葉を食害します。葉を折って、重なり合った葉の中に隠れて、内側から表皮を残すように葉を食べます。成虫はサツマイモのような紫色をしており、一度で300粒ほどの卵を葉に産み付けます。

対処方法としては、防虫ネットなどの予防や、捕殺や殺虫効果のある農薬などを使って防除を行います。

ナカジロシタバ

ナカジロシタバは幼虫で体長40~50ミリ、成虫で16ミリほどのサイズです。幼虫は黒白の体表に、黄色い筋が何本が通っているような見た目です。主に葉を食害し、葉脈を残し丸ごと葉を食べ尽くしてしまいます。
被害が激しくなると、イモの生育が悪くなってしまい収量が低下します。

対処方法としては、幼虫の段階での捕殺や農薬散布などが挙げられます。また防虫ネットなどを使うことで、成虫が寄り付かない環境を作ることも大切です。

まとめ

サツマイモはあまり手のかからない優等生的な作物ですが、美味しいイモをたくさん収穫するためには、しっかりと注意して栽培しなくてはなりません。

コツとしては、肥料をやりすぎないこと、しっかりと高さのある畝を立てること、そしてつる返しを忘れずに行うことの3点がとても大切です。ここをサボってしまうと、細長くひょろひょろしたイモしか作れなかったり、病害虫が発生しやすくなってしまうなど、様々なトラブルのもとになります。

逆に言えば、この3点を守っていれば美味しくて大きいサツマイモがたくさん収穫できるようになるでしょう。自分で作ったサツマイモで、秋の味覚を楽しむのはまた格別です。是非挑戦してみてください。 >「農家が教える栽培方法」の記事をもっと見る

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執筆:鶴竣之祐 編集:鮫島理央

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