梨の紹介
シャリシャリとした食感と、みずみずしい甘さが人気の果物です。古くから日本で親しまれている秋を代表する果物で、品種によってさまざまな味わいを楽しむことができます。
二十世紀などの皮が黄緑色の青梨と、幸水(こうすい)・豊水(ほうすい)などの皮が褐色の赤梨の2種類に分けることができます。
時期によっても品種が分けられ、7月の早生種には幸水、9月の中生種は豊水、二十世紀、10月の晩生種には新高(にいたか)などがあります。
梨の出回り時期と主な生産地
早生種は7月から出回り、晩生種が12月頃まで出荷されます。最盛期は8~10月です。貯蔵性の良いものであれば、3月頃まで出回ります。
東京市場では主に、栃木県、茨城県、千葉県産のもの、大阪市場では主に、鳥取県、福島県、徳島県産のものがシェアを占めています。都道府県別に梨の生産量を見ると、千葉県、茨城県、福島県となっています(※)。
※平成29年産都道府県別 日本なしの結果樹面積・10a当たり収量・収穫量・出荷量
鮮度の良いおいしい梨の見分け方
左右の形が整っており、皮に傷がなく、ずっしりと重みがあるもの、果皮に色むらが無いものがおすすめです。
梨を輪切りにした時、中心部が褐変していることがあります。これは蜜症と呼ばれるもので、豊水などの蜜がたまりやすい品種で見られます。この蜜の部分は褐変しやすいですが、取り除けば問題なく食べることができます。
梨の保存方法
梨は果肉がやわらかい品種が多く、傷みやすい果物です。そのため、できるだけ早めに食べるようにしましょう。家庭ではビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
梨の種類
幸水(こうすい)
赤梨でトップの品種です。果汁がたっぷりで甘味が強いため、人気があります。熟成が進むと芳香がたちます。肉質は緻密ですが、「二十世紀」に比べて柔らかさがあります。
夏に出荷されるので、秋に旬を迎える品種よりも日持ちがしません。赤梨に分類されますが、地色に黄緑色がまじる「中間色」の梨です。形はやや扁平で、重さは300グラム前後です。
生産量が安定しており、最も出荷の早い「早生種」に分類されます。出回る時期は7~9月、ピークは8月下旬~9月上旬です。
豊水(ほうすい)
甘味と酸味のバランスが良い、黄金色の梨です。幸水と並んで人気の主力品種で、赤梨に分類されます。新水や長十郎の衰退に伴って、1980年代後半から徐々に生産量が増えました。
柔らかさは幸水と同程度ですが、幸水よりも日持ちします。重さは350~400グラムで、丸く腰が高いのが特徴です。
収穫時期は8月下旬~9月上旬、出荷時期は9月上旬~下旬で、中生種に分類されます。
新高(にいたか)
新高は、大型でみずみずしい赤梨です。晩生種の代表品種で、独特の芳香があります。上品な甘みと香りから「梨の王様」と呼ばれており、贈答品としても人気があります。
保存の際は新聞紙とビニール袋に包んで、涼しい場所や野菜室に保存すると、長持ちします。
重量は450~500グラムで、大きなものでは赤ん坊の頭ほどになります。主に九州や四国など、温暖な地域で栽培されており、出回る時期は9~10月です。
二十世紀
青梨の中生種の代表品種です。果肉はやわらかく、酸味と上品な甘みがあります。
緑色の時はシャキシャキとした食感が楽しめ、熟成がすすむと黄色を帯び、甘味が増してきます。
主に無袋栽培と有袋栽培で生産されます。無袋栽培ではサビ(※)が発生することが多いですが、有袋栽培ではキレイな緑色になります。また、無袋栽培のものは「サンセーキ」「サン世紀」という名前で出回っています。
重量は300グラム程度で、整った丸い形をしています。出回る時期は9月上旬~9月下旬です。
※ 果皮に「サビ」と呼ばれる、傷のような褐色の斑が多数でること。
あきづき
豊円形で、まるで月のように見えることから「あきづき」と名付けられました。シャキシャキとした歯ごたえのある、甘味の強い梨です。食味や日持ちともに最上級の梨といわれています。
農研機構果樹研究所が、新高と豊水に幸水を交配して作り上げました。やや晩生種の赤梨で、かけあわせた3品種の優れたところを持つといわれています。2001年に品種登録されたばかりの比較的新しい梨です。
重量は500グラム前後で、濃厚な味わいが特徴です。出回る時期は、関東地区で9~10月上旬です。
南水(なんすい)
豊水の後継種として、長野県南信農業試験場で越後と新水(しんすい)を交配して作られました。この南信試験場と新水から「南水」と名付けられました。
皮がやわらかく、果肉の色はキレイな白色をしています。甘さが際立つ大型の中生種の赤梨です。梨の中では日持ちがするので贈答品としても人気があります。
重量は約350~400グラムで、中には500グラムの大きさになるものもあります。出回る時期は10月で、主に長野県で生産されています。
新興(しんこう)
超大型の赤梨です。やわらかめの果肉でジューシーなのが特徴です。出回る時期は9~10月です。
秋麗(しゅうれい)
2003年に品種登録されたばかりの新しい品種です。糖度が高く芳醇な香りがする梨で人気があります。市場に出回る時期は9月上旬です。
梨は、酸味と甘味のバランスが良いものから、甘味が強いものまで、さまざまな品種があります。この機会に梨を食べ比べて、自分のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)