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第10回 クラウドファンディングのリターンとは〜基礎編〜

連載企画:クラウドファンディングの仕組みを解説

第10回 クラウドファンディングのリターンとは〜基礎編〜

農業に関わる人のクラウドファンディングの使い方をご紹介するこの連載。第10回では、あなたのプロジェクトを支援してもらうのに欠かせないリターンについて説明します。

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クラウドファンディングがブログや通販サイトと異なる一番のポイントは、お金を集めるための見返りがあること。これをクラウドファンディングの多くのサイトではリターンと読んでいます。そもそもリターンとは何なのか、どのように値付けを考えれば良いかなどを説明していきましょう。

クラウドファンディングの種類

①寄付型
寄付型のクラウドファンディングは、プロジェクトに対してお金を支援しても見返りがないことが特徴です。社会的な課題の解決や困った人に手を差し伸べるプロジェクトなどを掲載する傾向にあります。

②投資型
投資型のクラウドファンディングは、プロジェクトに対してお金を支援した見返りに、金銭の配当を返すのが特徴です。皆が欲しいと思えるプロダクトなどを掲載するのではなく、エンターテインメントやビジネスなど将来投資を回収できる見込みが立つプロジェクトを掲載する傾向にあります。

③購入型
購入型のクラウドファンディングは、プロジェクトに対してお金を支援するとモノや体験などの見返りがあるのが特徴です。そのためプロジェクトの意義と同じくらい見返りが魅力的であることが大切になります。そのため、ガジェットやエンターテインメントなど商品や体験を見返りとして切り出すことができるプロジェクトが掲載される傾向にあります。

この3つのクラウドファンディングの種類の中で、今回説明するリターンとは、③の購入型クラウドファンディングの見返りのことを指します。

リターンとは何か

それではいよいよ、リターンについて説明をしていきましょう。リターンとは、クラウドファンディングのプロジェクトに金銭の支援をしてくれた人に対して与えられるモノや体験を得る権利のことを言います。マイナビ農業が手がけるマイナビ農業クラマルでもリターンという言葉で呼ばれていますが、他のサイトではお返し、プレッジなどと呼ばれることもあります。

リターンがあることで、ただお金を寄付や投げ銭のように支援するのではなく、支援する側もわくわくしながら支援するプロジェクトを選ぶことができ、リターンを送る時のコミュニケーションでさらに支援してくれた人との絆を深めることができます。

リターンの価格設定について

例えば、市販のジャムが500円で売られている場合、同量のジャムをいくらでリターンにして良いかを聞かれることがあります。市販の値段は、およそ適正価格といっても良いでしょう。その適正価格にどの程度近づけるべきなのかというのが悩みどころです。

適正価格に近づけば支援のハードルは下がりますが、メーカーと同じ値段でリターンを設定してしまうと赤字が出てしまうこともあります。私はこのような場合は、少し値段を増やすかわりに、何か付加価値をつけてくださいとアドバイスをしています。付加価値とは、例えばジャムであればおいしい食べ方のレシピブック、お名前をラベルに入れてあげるサービス、家族用の特大のサイズを限定で作る、一緒にジャムを作れる権利など。クラウドファンディングならではの付加価値をつけることで、多少価格が上がることは許容されています。

よくリターンに設定される基本の2種類

プロジェクトのジャンルによってさまざまですが、ここでは農業に関わるプロジェクトでよく設定されるリターンをご紹介しましょう。

商品や作物などのモノ

加工品や作物が関わるプロジェクトであれば、それらをリターンに設定するのがおすすめです。作物はいつ何がどのくらいとれるかわからない場合は、「詰め合わせセット」などのリターン名にして、その時とれた作物をどのくらい入れるかを明記しておけば、その時の畑や田んぼの状態によってリターンにする作物を調整することができます。ジャムやジュースなどの加工品をリターンにする場合は、限定ラベルやお名前入りのオリジナルラベルなど、負担のない範囲でリターンに特別感が出る工夫をしてみましょう。商品をリターンにする時は、すでに販売されているものをリターンに入れる場合は全く同じ価格にするか、割引きの場合は割引価格であることを明記するようにしてください。

ワークショップや名前のクレジットなどの体験

モノのリターンの用意が難しい場合や、モノのリターンだけではなくさらにリターンに厚みを出したい場合は、体験のリターンを検討してみましょう。農作業を体験できる収穫体験のワークショップ、ジャムなどの加工品を一緒に作ることができる料理教室、畑を見て回れるファームツアーなど、プロジェクトに関係がある場所や工程から体験を切り出してみましょう。店舗などを作るプロジェクトならば、支援してくれた人のお名前を商品の外箱や店舗の外壁、看板などにクレジットするリターンもおすすめです。

原価がかからないリターンをひとつは設定しよう

先ほどお話しした基本の2種類に加えて、原価がかからないリターンをひとつ入れておくのが私のおすすめです。リターンは、思ったよりも原価がかかり肝心のプロジェクトに使いたい利益が少なくなってしまうこともしばしばです。原価がかからないリターンは、例えばオリジナルレシピのPDFデータや、お礼のメール、プロジェクトの進捗報告を読むことができる権利(クラウドファンディングのプラットフォーム上に、アップデートを支援してくれた人限定で読ませる機能があります)などです。

次回はリターンの値付けについて

ここまでで、リターンの基本的な考え方や種類についてお話をさせていただきました。次回はいよいよ、リターンの値付けについてです。リターンは、500円、3000円、1万円といったようにいくつかの価格帯にそれぞれ用意するのが一般的ですが、そのターゲット設定や価格の価格のグラデーションのつけ方は思いのほか難しいものです。第11回では、そのリターンの価格のつけ方やターゲットの設定などについて説明をします。

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