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酒造好適米の王様「山田錦」の魅力に迫る!

酒造好適米の王様「山田錦」の魅力に迫る!

ヤッホー!! あけましておめでとうございます! 世界で唯一のコンビ揃ってきき酒師の漫才師「にほんしゅ」です! 大好きな日本酒にまつわる活動や漫才をするうちに、全国の酒蔵さんへの訪問も100蔵を超えました。そしてお正月はぜひ日本酒で乾杯していただきたい!ということで「日本酒特集」をお送りします! 今回のテーマは酒造好適米の王様「山田錦」! なぜ王様と呼ばれるのか? 「山田錦」にこだわる兵庫県姫路市で「龍力(たつりき)」を醸す「本田商店」に突撃インタビュー。

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酒造好適米とは?

あさやん

さぁさぁ、北井さん、今回も日本酒ファン、そしてにほんしゅファンを増やすでー! あとは任せた!
フリが雑やなぁ!

北井

今回は米の酒、日本酒を語る上で絶対に外せない、酒造好適米について知っていただこうと思います! 
酒造好適米は簡単に言うと「お酒の仕込みに特に合ってるお米」ですね!
北井

あさやん

そのまんまやないかー!
もうええわ。どうもありがとうございましたー!
勝手に終わるなよ! まだや。

北井

酒造好適米は、大粒で、心白(米の中心にある白濁した部分)があるのが特徴です。これが日本酒の味に大きな影響を及ぼす米麹造りに向いてますし、たんぱく質や脂質が少ないことも酒造りにふさわしいんです。 北井

あさやん

なんか難しいなー。なんでそれが酒造りに向いてるのかわからんわ。
まあ、聞け!

北井

タンパク質や脂質はご飯として食べるときにはおいしいけど、酒の仕込みの時には「雑味」になってしまいます。
そういうわけで、飯米には向かないけど、お酒にするには良いと言われているのが「酒造好適米」というわけなんです!
北井

あさやん

わかったような、わからんような……。
ま、ええわ。じゃ、押さえておきたい品種があるなら今言うとかんと!
急かすなよ!

北井

現在酒造好適米の品種はおよそ100種類もあると言われていますが、代表的な品種をいくつかご紹介します。
北井
中でも山田錦は酒米の王様! これはもうはずせませんね。日本酒にあんまり詳しくない方でも、きいたことあるんとちゃいますかー?

北井

あさやん

OK!! ふむふむ。それじゃあ「山田錦」といえばで必ず名前が挙がり、全国の酒蔵さんからも一目置かれる「本田商店」さんへ今回も行くしかないっちゅうこっちゃな! ほな行くでー ‼ 北井もついてこんかい!
関西弁コテコテ過ぎて恥ずかしー!

北井

播磨地区の絆から生まれる特上ランクの山田錦

瀬戸内海にほど近く、年間通じて穏やかな気候で酒米にも恵まれる兵庫県姫路市に蔵を構える本田商店

「大吟醸」編に続き「山田錦」に関しても絶対に外せない酒蔵、株式会社本田商店。
5代目蔵元の本田龍祐(ほんだ・りゅうすけ)さんに、山田錦の基本から伺いました。

あさやん

龍祐さん! 今回の「山田錦」のお話もよろしくお願いします!
連続やな(笑)。
今回もよろしくね!

本田龍祐さん

北井

いやぁ、すみません(笑)。兵庫県の山田錦を語ってもらうと考えたら、どうしても本田商店さんが浮かんでしまいまして。
まずは山田錦の歴史や特徴など詳しい解説をお願いできますか?
山田錦は1923(大正12)年に兵庫県で「山田穂(やまだほ)」を母に「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」を父として交配されて生まれたんや。「山田錦」と名付けられて兵庫県の奨励品種に指定されたのが1936(昭和11)年やから、80年以上前からある古い品種。背丈は130センチくらいまで成長する長稈(ちょうかん)品種(※1)やね。
※1:稲の茎のことを「稈(かん)」といい、茎の長さのことを「稈長(かんちょう)」という。稈長の長い品種のことを長稈という。

本田龍祐さん

あさやん

大正時代に品種改良とかやってたんですね。
まだまだちょんまげ姿の侍がいたころにそれは凄い。

北井

いや、大正時代には侍はおらんけど……。
特徴でいうと、大粒で心白があって、精米しやすくて、窒素分の少ない、まさに酒造りには最高の米やね。

本田龍祐さん

北井

酒になるために生まれた米ですね!
山田錦が酒造好適米の王様と言われる理由はそのあたりやね。で、ワインの世界で畑が違ったらぶどうやワインの価値や値段が大きく違うように「山田錦」にもそういう世界があるのよ。

本田龍祐さん

北井

土地や田んぼによって山田錦のモノの良さや価値が変わると。
本田商店さんの使われる山田錦は凄いですもんね!

あさやん

黒いルートがあるとかないとか……。
無いわ(笑)!
うちに最上級の山田錦が入ってくるのは地元の播磨地域が山田錦の原産地であり最高の産地であるという地の利もあるし、特A地区っていう特に気候や土壌が良いと言われる地区の契約農家さんとの繋がりの深さ、古さやろうね。うちが使う山田錦は全部兵庫県産特A地区産やねん。

本田龍祐さん

北井

凄いですよね。「播磨地区の絆!」って感じがします。特A地区の山田錦ってどの酒蔵さんでも買えるもんじゃないんですよね?
そうそう。あと、特A地区の田んぼからしか等級の最高ランクである「特上米山田錦」は毎年出てこないのよ。ほぼね。特上米山田錦でお酒を仕込むと味わいがソフトで、苦味・渋味が出にくい。ほんまに贅沢なお米で仕込んでると思うわ。特上ランクの山田錦の約2割が本田商店に入ってくるねん。

本田龍祐さん

あさやん

さっきから聞いてたらずるい!
山田錦少しわけてください!
炊いて食べます!
炊いて食べてもそんなにおいしくないで(笑)。
そんなわけで地理的にも歴史的にも山田錦とのご縁があるねん。だから播磨の地酒として「山田錦での酒造り」をとことん突き詰めようと。ワインに負けない、自分の地域を誇れる究極の日本酒を目指す上で行きついたのが「日本のロマネ・コンティ(※2)をつくろう!」ということで。龍力の最高峰の純米大吟醸「秋津」のことなのよ。最高の山田錦産地の地区「秋津」が銘柄になってる。
※2 ワインの最高級品で、希少性が高い。フランスのブルゴーニュ地方の「ロマネ・コンティ」と呼ばれる2ヘクタール弱しかない畑でとれるブドウのみで醸造される。

本田龍祐さん

日本酒ファン垂涎の的、最高峰の純米大吟醸酒「龍力 米のささやき 秋津」

北井

日本酒ファンなら一度は飲んでみたいと思うお酒ですね! ほんとにおいしいですよねぇ。
山田錦の凄さはなんとなくわかってきたんですけど、具体的に兵庫県産山田錦が凄い米になる栽培方法とかってあるんでしょうか?
そうやね、特上米が誕生する特A地区では自然乾燥をさせて発芽率を高めることでお酒になったときに甘みやうま味が濃くなると思うねん。
もう少し詳しく言うと「への字型栽培法」で自然に1番近い形で山田錦の品質を向上させることと、刈り入れ後は「稲木掛け」という自然乾燥で発芽率の高い生きたお米をつくること。これを手間を惜しまずしている。ってことやろうね。

本田龍祐さん

秋津地区での山田錦の稲木掛けの模様。酒好きにはたまらない圧巻の光景

あさやん

なるほど。僕も洗濯物は「稲木がけ」をして干すように心がけます。

北井

何言うてんの?
ハハハ(笑)。そうやって育てられた山田錦は酒造りにおいて基本性能が高いのよ。たくさん米を磨くのにも耐えれるから大吟醸造りにも向いてるし、麹造りもしやすいし、吟醸酒のフルーティな香りをより表現してくれる。

本田龍祐さん

あさやん

はーもう、早く飲みたい!!
いつまで喋ってるんですか!

北井

何言うてんねん、ずっと!
飲みたい気持ちは分かるけど!

“思い”をアカデミックに語る蔵元が描くこれからの日本酒

あさやん

「龍力」の本田商店にとって、「山田錦」とは?

北井

「情熱大陸」か!早く飲みた過ぎてまとめ出したやん。

北井

山田錦に対するお話は色々聞かせていただいたんで、龍祐さんが描くこれからの展望とかありましたらお聞かせください。
そうやね、もちろんこれからも「山田錦」や「大吟醸づくり」にこだわるのはもちろんこと、僕が手がけてる「ドラゴンシリーズ」みたいな取り組みが大切やと思ってるのよ。精米歩合とかのスペックだけではなくてもっと直感的にラベルの色で味わいをイメージしてもらって気楽に楽しんでもらえるような。
ドラゴン青は「冷酒」で美味しい、ドラゴン「赤」はお燗で美味しい。お客さんも覚えやすいでしょ? そんなお酒が増えていったらええなと思ってるのよ。これは案内する店員さんも楽になると思うねん。そんなことを続けて「龍力」や日本酒にもっと親しんでほしいと思ってます。

本田龍祐さん

本田龍祐さん自らが手がける龍力ドラゴンシリーズ。カラフルなデザインが印象的

あさやん

まさかこれからの日本酒に対する考えが僕と龍祐さんで全く一緒やったとは……。

北井

ウソをつくなよ!
そして「想い」を「アカデミック」に語れる蔵元がこれからは必要だと考えてるんよ。

本田龍祐さん

北井

なるほど! 情熱と科学の両輪があってこそ人を惹きつけられる魅力ある地酒になるんですね!

あさやん

あの……、そろそろ姫路駅へ飲みに行きませんか?

北井

お前はずっとなんやねん!
よっしゃ! ぼちぼち行こかー!

本田龍祐さん

北井

いいんですか? やったー!

 

株式会社本田商店

 
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