沖縄地方の特徴は?
南北に細長い沖縄に「小さい」というイメージを持っている人もいるかもしれません。確かに、県土の面積は約2280平方キロメートルで、全国44位(2017年、国土交通省国土地理院調べ)と小さめです。しかし、海域を含めると、東西約1000キロ、南北約400キロという広大な範囲に160もの島々を有しています。高温多湿である亜熱帯海洋性気候に属しており、1年の平均気温は20度を超えます。こうした気候を生かして、サトウキビやゴーヤー(ニガウリ)など特色のある野菜、菊などの花き栽培が盛んです。
また、毎年夏から秋にかけては台風が襲来することや、かつては干ばつが頻繁に起こっていたことなどから、稲作よりも天候に左右されにくい作物を栽培する畑作が中心となっており、かつてまだ琉球と呼ばれていた時代、中国から「カンショ」と呼ばれるイモ(のちにサツマイモとも呼ばれる)が伝わったことをきっかけに農業が発達したと言われています。
沖縄県では沖縄の方言で「ウージ」と呼ばれるサトウキビの生産も盛んです。サトウキビは、インドネシア、インドのガンジス川、中国をたどって伝わったと言われています。サトウキビを原料に作られる黒糖は、サーターアンダギーやちんすこうといった沖縄のご当地お菓子にも多く利用されています。
「国頭(くにがみ)マージ」が広く分布する沖縄本島中北部などの農業
沖縄の土質は大きく3つに分けられます。今回は地域ごとの農業の状況を土の種類に焦点を当てて見てみましょう。沖縄県本島中北部や石垣島、久米島などでは、「国頭マージ」という土が広く分布しています。沖縄では赤みがかった土のことを「マージ」と呼んでおり、酸性で明るい赤~黄色が特徴の国頭マージは、透水性や通気性はよくありませんが、酸性の土壌を好むパイナップルやかんきつ類などの生産に適しています。国頭マージが広く分布する地域のひとつである名護市は、県内でも農業の生産高が高く、ゴーヤーやシークヮーサー、ウコン、タンカンなど、沖縄ならではのたくさんの作物の拠点産地として県に認定されています。
「島尻マージ」が分布する沖縄県本島南部、「ジャーガル」が分布する中南部の農業
沖縄県本島南部や宮古島などでは、「島尻マージ」という土がよく見られます。弱アルカリ性の土で、黄褐色や暗い赤色をしている島尻マージは、保水力が低く、干ばつの被害を受けやすいのが特徴ですが、この地域の名産品となっているタバコや、カンショなど地中で育つ作物の生産に適しています。島尻マージが多く分布する伊江島では、辛みと香りが強く小ぶりな「島ラッキョウ」も多く生産されています。
沖縄本島の中南部では、ジャーガルという灰色の土が多く分布しています。ジャーガルは保肥力が高くミネラル分を多く含むだけではなく、保水力も高く、干ばつの被害が少ないため、マージよりも農業に適した土といえるでしょう。ジャーガルが広く分布する南城市では、サヤインゲンやキュウリなどジャーガルでの栽培に適した地上に実をつける作物の生産が盛んです。
いかがでしたか。沖縄では独特の土がサトウキビをはじめとした作物を育んでいます。もし旅などで訪問する機会があれば、こうした畑の土にも注目してみてくださいね。
参考
沖縄こどもランドホームページ:沖縄県
JAおきなわの特産品:JAおきなわ
名護市の産業:名護市の産業
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