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農閑期の過ごし方ランキング【農家の冬の取り組み】

鶴田 祐一郎

ライター:

農閑期の過ごし方ランキング【農家の冬の取り組み】

農家の皆さんが農閑期(農作業がひまになる時期)に何をしているのかをアンケート調査! たくさんの回答の中からランキング方式でご紹介します。現代農家の冬の過ごし方のリアルをのぞいてみましょう!

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■パーソナリティ紹介

つるちゃん……本記事の筆者。実家の圃場(ほじょう)で夏・秋ナスの生産をしながら果樹園芸指導員として勤める兼業農家。
コッティ……水耕栽培でレタス、露地季節野菜などを生産する農業法人の生産担当。ミカン農家の嫁。

みんな、冬って何してる?

農閑期、コッティは何をしてる?
農閑期なんてないよ! 水耕栽培だからね。一年中同じこと繰り返すから!

まあそうなるよね。実際に自分の周りを見ていても、農閑期らしい過ごし方をしている人はあまり見当たらないように見える
強いていうならブドウ農家とか(笑)

確かに。果樹農家は、冬の時期は剪定(せんてい)が終わったら遊びに行っているイメージがあるね。冬はゴルフ三昧の印象しかない
でも、冬の時期、特に1~2月頃は作物の生育はどうしても遅くなっちゃうから、必然的に余裕が出やすいよね

それを見越して多めに作付けすることで意図的に農閑期をなくそうと考えるのが百姓心理かもしれないね。今回は番組の農家リスナーさんにアンケートをとってみたから、それを参考に見ていこう

農閑期の過ごし方ランキング

※有効回答数69件(EメールやSNSを利用)

農家の農閑期の過ごし方ランキング~~!!
おお~パフパフ

第3位から順に見ていきましょう

第3位 農業収入ではない仕事

農業収入ではない仕事

  • 長野県/ブドウ農家「冬は冬の本業、スキー講師をしています。そこで農産物の営業もしてます!」
  • 東京都/多品目野菜農家「冬は投資する時期にしています。自分が出している農業アプリの開発に時間を当てて、自分の農業ももっと自動化できるようにしたい」
  • 北海道/コメ農家「地元のライスセンターでアルバイトしています。周りの若手もみんな働いているので、そこで仲良くなって情報共有できます」
  • 岡山県/ブドウ農家「この時期でも現金をできるだけ稼ぎたいので、農協のアルバイトを頑張っています」

なるほど~。みんな農業とは何かしらの関係がある別の収入源がある印象だね

そうだね。実のところ、僕もこのタイプで、農業と関わりのある副業をやっているから気持ちはすごく分かるなぁ。別の仕事をすることで本業のモチベーションも上がるんだよね
自分の得意なことを持っている人はそれを生かした収入を得ているけど、皆さん農業にフィードバックすることを意識しているのが伝わってきますね~

確かにそれは共通してるね。農業と副業のダブルワーク、ちょっと前から話題になっている“半農半X”みたいな考え方は、軸足を農業に置いていないと成り立たないと思う。昔から“百の仕事をする百姓”って言われていて、農家がフレキシブルな働き方を求められていたのは事実なんだけど、あくまで農業が主体じゃないと、どうしてもお遊び農ごっこになってしまいがちだよね
じゃあアンケートに答えて頂いた皆さんは立派に百姓だね

第2位 農繁期にできない作業

農繁期にできない作業

  • 大阪府/野菜農家「片付けや壊れたものの補修、機械整備や堆肥をぶち込んで土づくりなど、春夏に向けての準備をしています。あと一年分の事務処理を一気にやるのは冬の風物詩ですよね」
  • 北海道/畑作農家「農閑期は農業機械の整備や勉強会への参加です」
  • 大阪府/兼業農家「営業、経理のほか、出張に出たり、事務作業、機械整備、圃場整備をしたりなどしています。今年は台風で曲げられたハウスの補強がメインです(T.T)」
  • 山梨県/果樹農家「剪定誘引作業、農薬のまとめ買い、防除暦作成、簿記処理などですね」
  • 大分県/茶農家「カンショ(サツマイモ)をはじめたので、休みらしい休みはなくなりましたが、カンショの苗床準備、定植、苗の育成、植え付け圃場準備、 お茶は肥料散布、耕運、茶工場のメンテナンス、仕上げ茶加工などしております」

正直これが1位だと僕は思っていたんだけどね
そうなのかな? でも確かに農閑期に普段できない準備作業をしてなかったら一体いつやるんだろう?

圃場整備とか機械整備とか栽培計画の見直しや営業活動もそうだけど、“重要だが緊急ではない仕事”をできる時間を確保することは優良経営を続けるためには絶対に必要なことだよね
グサッ(笑)

有名なマトリクスだけど、重要度と緊急度をグラフ化して自分の仕事を仕分けすると、普段“重要かつ緊急の仕事”ばかりしている経営は危ないってね。まさに自分のことだけど(笑)

農繁期にできない作業

事務処理を冬場にまとめてやっているのは、完全に後回しにしたツケだよね)

グサッ(笑)

第1位 農閑期などない

農繁期にできない作業

  • 佐賀県/コメ野菜農家「春は播種(はしゅ)、夏はナス、秋はコメ、冬は自然薯(じねんじょ)。農閑期はありません。ずっと農業をやってきた人からすると“休み”という感覚がない気がします。父が正月だからとゴロゴロしているのを見たことがありません」
  • 宮崎県/施設キュウリ農家「南九州は通年であらゆる作物の栽培が可能です。物流の関係で単一作物の大量生産をおこなう傾向で、夏も冬もできる作物があるし、休むとだらけるので空かないよう計画をたてます」
  • 高知県/施設ナス農家「農閑期って何ですか?(笑)」

ひえ~

実は圧倒的だったんだよね。農閑期はないという人が総計の半数近くを占めていて、冒頭でも言及したように確かにこれが現実なのだろう、実感通りだなという感覚はある
特に九州や四国などの温暖な地域に関しては農閑期を作りにくいのかもしれないね

確かにそうだけど、本州の農家でも農閑期はないという回答をした人が一番多かったね。農閑期はないと言っているからコメントは少なかったけど。施設栽培をしていると、むしろ冬がメインになってくるし、農家の心情としては少しでもたくさん植え付けして時間の空きを減らしたいと思ってしまうよね。ちょっとでも時間が空いてしまうと、なぜか「作付け計画に失敗した」と思ってしまう
本当はそんなことないんだろうけどね

ちょっとした隙間を埋めてしまうために利益率の低い作型を導入してしまうことが果たしてプラスになるのかは疑問だけど……
そうは言っても人を雇用していると、どうしても仕事を作っておかないといけない場合もあるから、法人化しているような農家だと必要じゃない?

そうして農家は“緊急かつ重要な仕事”だけに追われていくのかな……

ランキングに漏れた例としては、勉強会や視察など、後学のための知見を深める動きをしている人や、趣味の芸術活動やボランティアをしている人などさまざまでした。
温暖化や設備の高度化で冬作の生産能力がますます向上していくと、生産量が増えてしまうために、それぞれの単価は下がってしまい、単価が下がった分、農家は更に労働量を増やしてしまう傾向があるようです。
この悪循環を止めるためにも、より単価を上げるための営業、日々の作業を最適化するための計画は必要ですし、良質な休暇は無駄な労働時間よりも価値を生むことだってあるはずです。
農家の冬の取り組みについて、後続の記事にどのようなものが出てくるのか、非常に楽しみです。

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