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旭酒造が「獺祭」用の山田錦コンテスト開催を発表!~獺祭サミット開催レポート~

旭酒造が「獺祭」用の山田錦コンテスト開催を発表!~獺祭サミット開催レポート~

今や世界に名を轟かせる旭酒造(山口県岩国市)の日本酒「獺祭(だっさい)」。その原料となる酒米「山田錦」を栃木県で唯一組織的に生産する山田錦栽培研究所(栃木県下野市 海老原寛明(えびはら・ひろあき)社長)は2019年2月、県内の生産者と販売者、そして蔵元など、獺祭に携わる人を集めた「獺祭サミット」を開催しました。栃木県の酒米生産者の取り組み、そして旭酒造の桜井博志 (さくらい・ひろし)会長が発表した「山田錦コンテスト」とは―。当日の様子をお届けします。

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生産者の反省会で終わならい場に

栃木県で獺祭用山田錦の生産を始めたのは2014年。同研究所の海老原秀正(えびはら・ひでまさ)取締役が、旭酒造の桜井会長と親交があったことを機に下野市内からスタートしました。2018年には、下野、大田原、小山、壬生など6市3町の提携農家41人が生産を行うまでに拡大。同研究所は、酒米生産者同士が技術や栽培状況を共有し、栃木県産「山田錦」の品質向上を目指して、2016年に株式会社化しました。

「獺祭サミット」を開催するにあたり、海老原取締役は「生産者の反省会で終わらない会にしたい」と、販売店や蔵元、そして獺祭に合う料理を作れる料理人も招集。初の試みに約120名の関係者が集いました。

数値から客観的な振り返りを

まずは海老原取締役より、生産者の立場から品質結果が報告されました。
特に品質低下の原因となる胴割米(米粒が割れる現状)に着目し、近年の胴割米の割合推移を報告。胴割れは、夏季の高温など、収穫までに乾燥が進んでしまうと発生しやすくなりますが、2018年の記録的な猛暑を受けても、全収量のうち全ての米が胴割率2%未満であったとし、生産者の労を称えました。

会場では、胴割検査機を使ったデモンストレーションも行われた

農作物の検査機関「日本穀物検定協会」からは、平成28年から平成30年の等級の変化が報告されました。同協会は、等級が上がっているという実績を示しつつも、一部で水分含有量が低い結果が見られたと指摘。狩り遅れのないよう注意を促す場面も見られました。

1位は2500万円超で買い取り!最高を超える山田錦コンテスト始動

旭酒造の桜井会長からは、世界を見据えた獺祭造りとして、現在米ニューヨーク州に大規模な酒蔵を新設予定であることが発表されました。そこで造られた日本酒は、米国人が日常的に飲むワインと同価格帯で販売されるといいます。
そこには、世界の日本酒ブームを一時のものにせず、価値を高めて生き残っていかねばならないという桜井会長の思いがありました。


ニューヨーク州に新設予定の酒蔵

そのうえで会長は、現状の「山田錦」の質についても疑問を呈します。
「獺祭も山田錦も、もっと質を上げていかなければならない。そう考えた時、当然のように兵庫県の特A地区の山田錦が一番美味しいと言われていることに、“本当にそうだろうか?”と思ったのです。全国の山田錦生産者の方に、特A地区を越える最高の山田錦を作って欲しい。ただ、生産者の方にそう言うと弱腰になってしまう。それでは日本の農業の未来はない」と生産者を鼓舞します。

生産者に向けて思いを語る旭酒造の桜井会長

続けて、最高の山田錦を超えるために、全国の農家を対象に山田錦コンテストを開催することが発表されました。応募のあった山田錦を、機械による分析、DNA鑑定、審査員による目視、官能評価により順位を決め、1位、2位、3位をそれぞれ一俵(60kg)あたり50万円、20万円、 10万円で旭酒造が購入します。
最低審査対象は50俵以上のため、1位の農家は2,500万円超で買い取られることになります。現状の山田錦価格は、一俵2万2000円~2万7000円程度であることからも、旭酒造の本気度が伝わります。

会場が緊張感と熱気に包まれ閉幕した「獺祭サミット」。全国の山田錦生産者の模範となる日も近いかもしれません。

主催者の山田錦栽培研究所のメンバーと桜井会長

【取材協力・写真提供】
株式会社山田錦栽培研究所
旭酒造株式會社

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