ハコベの特徴
今回ご紹介する畑の雑草「ハコベ」は、「はこべら」として春の七草の一つです。ヒヨコグサとも呼ばれ、家で飼っている鶏のエサとしても昔はよく使われていたようです。ハコベはナデシコ科の一年草で、秋に発芽して越冬し、春になると可愛い小さな花を咲かせます。七草がゆにも使われるように春先の柔らかい穂先の部分は柔らかく食べることができます。個人的にはおひたしがオススメです。
畑に生えるハコベは主に3種
ハコベは世界には約120種、日本には18種あるようですが、畑でよく見るのは主にコハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベの3種類です。特によく見かけるのが上の写真のコハコベです。茎に少し紫色が入っているのが特徴です。
これとよく似ているのがミドリハコベです。こちらは茎が緑色なのが特徴です。
この中でもっとも特徴的なものはウシハコベで、葉が大きく肉厚なのが特徴的です。葉が大きく形も少し違うため、この種類は簡単に見分けられます。
ハコベが生える畑は良い畑
地力 | 特徴 | 生える草 | 適した野菜 |
---|---|---|---|
レベル4 | ほとんどの野菜が育つ | ハコベ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなど | ナス、ピーマン、キャベツ、白菜、玉ねぎなど |
レベル3 | 肥料を入れて大体の野菜が栽培可能 | スベリヒユ、カラスノエンドウ、ノボロギク、ツユクサなど | ミニトマト、きゅうり、人参、大根など |
レベル2 | 栄養の絶対量が少ない | スギナ、ハハコグサ、イヌタデ、シロツメクサなど | さつまいも、大豆、枝豆、ジャガイモなど |
レベル1 | 土が硬く痩せている | セイタカアワダチソウ、ヨモギ、チガヤなど | ヒエ、アワなどの雑穀 |
上の図は地力(ちりょく)=「その土地が植物を育む力」を便宜的に4段階に分け、そのレベルごとに生えやすい雑草を表したものです。地力の最大値をレベル4とすると、ハコベが生える地力はレベル4に該当します。つまりハコベがたくさん生えている畑は、地力が高く野菜が育ちやすい場所だろうと見当をつけることができます。ハコベやその他のレベル4に当たる雑草の割合が高い畑では、少なめの堆肥・肥料でまずは野菜を育ててみましょう。
この診断方法についてや地力レベルについての詳細は、「雑草で診断!その土で野菜は育つのか?【畑は小さな大自然vol.7】」の記事をご覧ください。ただしこの診断方法は学術的に確立されたものではありませんので、あくまでも目安程度にしてください。
ハコベはできるだけ刈らずに残しておこう
ハコベは柔らかくて根の張りも弱いため、除草が簡単です。しかし、野菜の邪魔にならない範囲で、できるだけ取らずに残しておくことをオススメしています。その理由は以下の2つです。
①野菜と共生しやすい
②他の雑草が生えるのを抑えてくれる
まず、ハコベは背があまり高くならず、根の張りも弱いので、畑の野菜の生育の邪魔になりません。またハコベは越冬して春に花を咲かせ、そのあとはタネをつけて枯れていきます。逆に多くの野菜は春に種まきや苗の植え付けが行われるため、ちょうど成長のタイミングが入れ違いとなります。つまり成長のための養分やスペースの奪い合いが起こりにくいのです。野菜が日陰にならない程度であれば、刈らずに手で押さえつけて倒しておくだけでも十分です。この時にハコベを抜いてしまっていると、そこから他の雑草が芽を出して、野菜との競い合いになってしまいます。野菜の生育に邪魔にならない限りは、できるだけハコベは残しておき、タネをそこに落とさせることで、また翌年もハコベが生えやすい環境になります。
ハコベは豊かな畑の象徴
ハコベは地力が高い畑に生える代表的な雑草です。ハコベが多い畑はすでにある程度栄養素の量があり、バランスが取れている可能性が高いので、成分の濃い肥料をやりすぎて逆にバランスを崩してしまわないように気をつけましょう。
またハコベのように花の咲く雑草が増えてきたということは、植物と虫との共生関係も発展して来ていることの表れです。つまりその土地の生態系がより豊かになって来ているということです。ハコベの花にどんな虫がやって来ているのかも合わせて観察してみましょう。
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