出張!オランダ農場 〜日本とは違う有機農業の考え方〜
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出張!オランダ農場 〜日本とは違う有機農業の考え方〜

連載企画:オランダ農業の現場から

出張!オランダ農場 〜日本とは違う有機農業の考え方〜
最終更新日:2019年04月22日

大規模かつICT化された農業で有名なオランダ。オランダの有機農業が行われている農用地面積は、2011年の47000ヘクタールから2017年には56000ヘクタールへと19パーセント増加しています。持続可能な農業に向けて、オランダでは、有機農業の重要度が増してきています。今回訪問したのは、1989年から有機農業を行う「GAOS(ギャオス)」というオランダの農家。こだわりの栽培や有機農業者同士で立ち上げたネットショップなど、30年にわたる農家の取り組みを紹介します。

日本とは違う有機農業の考え方

GAOSの栽培品目を示した図

農場名「GAOS」は、Geduldig(辛抱強く)・Aandachtig(丁寧に)・Onbekommerd(のびのびと)・Samenwerken(一緒に働こう)の頭文字からきています。
農用地は野菜・穀物・花などおよそ20種類を作る50へクタールの耕作地に加え、16ヘクタールの牧草地があり、鶏や牛羊を飼っています。牛舎は牛のストレスを減らすための円形をしています。

円形の牛舎。ストレスがなくなる

鶏は移動式の鶏舎を利用しており、畑の中を移動させながら飼っています。
ここで出たふんを堆肥として使用し、農場内で循環するような農業が行われています。

移動式の鶏舎。写真奥の鶏舎の下にある扉からは鶏が出入りできるようになっている。鶏舎は手前にあるネットと共に、一定期間で畑内を移動させる。ここで出た鶏ふんも利用する

日本では、有機農業は手作業や小規模で一つ一つ丁寧にというイメージが強いですが、この農場では積極的な機械の利用、農機シェアや一部収穫のアウトソーシング(外部委託)などでできるだけ人手を使わないような農業を目指しています。基本的な労働力としては、ヨースさんエレンさんの夫婦2人、従業員1人、研修生2人です。近くの農業学校から午後だけ手伝いに来る学生もいますが、基本的には5人でこの大きな農場を回しています。

化学薬品を使わない有機農業では、やはり除草が大変な作業だということでした。機械でできるのは畝の間だけなので、春から夏にかけては一日中、この広い畑の除草を手作業で行うこともあるようです。

また、他の有機農家たちと立ち上げたネットショップでの直接販売、ワーヘニンゲン大学や近くの農業専門学校との共同研究、倉庫のシェアなど、他のリソースを使えるところは積極的に活用して農場経営しています。

有機農業をやっていく上で大事なこと

エレンさんは、「有機農家にとって、一番大切なことは、土づくりだ」と話をされていました。
この農場では、肥料や農薬を一切使いません。その代わりに緑肥(※)を施しています。
緑肥に使うのは、カラスムギ、クローバー、マスタード、ファセリア、エン麦、ヒマワリなどで、各作物の収穫が終わると翌日にはすぐに緑肥となる種をまきます。
また、土地を休ませるために、農地の各区画で1年間に1種類の作物を栽培し、翌年には同じ作物を別の区画で作るという輪作を行うことで、連作を防ぎ地力の低下や病虫害の発生を防いでいます。

※ 草などの育てた植物を青いまま土の中にすき込み、肥料とするもの。

また、この農場は、オランダ政府が1940年代から68年に農地用として干拓した土地、フレヴォラント(Flavoland)州にあります。海抜マイナス6メートルで、よく見ると土壌に貝殻があり、世界でも有数の肥沃(ひよく)な土地と言われています。
この地区では、この肥沃な土壌を生かして有機農業が盛んに行われており、オランダの農業用地3.15%が有機農業に使われているのに対して、フレヴォラント州は農業用地の11.58%が有機農業に利用されています。

フレヴォラント州の肥沃な土壌。土に貝殻が混じっている

エレンさんの話によると有機農家で一般レベルの生活を営んでいくためには、ある程度大きな土地がないとやっていけないとのことでした。目安として、10年前は30ヘクタールぐらい必要と言われていたそうですが、最近は有機野菜の値段が落ちてきているようで、最低限40ヘクタールぐらいの耕地面積が必要だと話していました。
それでも、エレンさんの農場はこれ以上大きくする予定はないそうです。
「ただ単に成長することよりも、自分たちにとって何が必要で、それに満足することが大事」と言っていました。

有機野菜の販売事情

作った野菜は、有機専門のショップに卸したり、オンラインショップで消費者に直接販売しています。
有機認証を持った製品の需要は高く、農場に小売店などの販売店が直接足を運んで交渉に来るようです。
オンラインショップでの直接販売は、オランダ国内中の有機農家が50戸以上加盟している「Hofweb(ホフウェブ)」で行っています。

Hofwebの宅配に使用する車

Hofwebは、2004年にフレヴォランド州の農家4戸でスタートし、GAOSはその時の創業メンバーでもあります。2017年にはオランダで最高のオーガニックショップとして表彰を受けたそうです。
エレンさんはオンラインショップについて「有機農法はどうしても年によって野菜の出来が悪い時もある。その時は、お客さんにそうなった理由を直接説明して理解してもらうことができるのて、いい時も悪い時も継続して関係性を築けるのが良い」と話していました。

以上、オランダの有機農業の事例紹介でした。
実際に、オランダで生活していると、スーパーでも有機の商品を数多く目にします。【オランダ農業の現場から#2】 では、有機製品などのサスティナブル(持続可能)な商品の消費者支出が2016年から2017年の間で19%増加したことを紹介しましたが、ヨーロッパ全体から見たらまだまだオランダは遅れています。今後日本でも、サスティナビリティ(持続可能性)や環境というキーワードはますます重要になってくるのではないかと考えています。それらを考えながら経営を回していくのは非常に難しいと思いますが、どう日本で実現していくかを僕も考えています。
 

次回は、オランダのケアファームについて紹介します。
 
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