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野菜の病気図鑑〜青枯病編〜【畑は小さな大自然vol.51】

野菜の病気図鑑〜青枯病編〜【畑は小さな大自然vol.51】

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。野菜を育てていると昨日まで元気だった野菜が、急にしおれて元気がなくなるということがたまにあります。しかも他の株は元気なままなのに、その中の一つだけが異常にしおれるのです。夕方になるとまた少し元気になるのですが、また次の日になるとしおれ、数日のうちに枯れてしまう。これは青枯(あおがれ)病と言う病気で、一度発症すると、止めることはできません。しかもなんの対策もしていないままだと、翌年以降もその畑でより多く発生するようになってしまいます。今回はそんな恐ろしい病気、青枯病の特徴や対策方法などについてご紹介していきます。

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青枯病はどんな症状・被害がでる?

青枯病はスポット的に発生するので、隣の株は元気なままだが、このまま放置しておくと広がる可能性がある

青枯病はナス科やウリ科を中心にさまざまな野菜で発生する病気で、この青枯病になると、晴れた日中などに青々としていた株が急にしおれ始めます。曇りの日や夕方になると回復するのですが、また晴れるとしおれるというのを繰り返し、数日のうちに枯れてしまいます。元気だった野菜がある日突然発症し、それを止める方法もないため、精神的なショックが大きい病気でもあります。また、その畑ではそのあとも繰り返し発生することがあるため注意が必要な病気です。

青枯病の原因と見分けかた

細菌に侵されたジャガイモの地下茎。内部からドロドロとした液体が出てくる

青枯病はRalstonia solanacearum(ラルストニア・ソラナセラム)と呼ばれる細菌が野菜の内部に侵入することによって起こる病気です。この細菌は野菜の茎や根についた傷口から、水を媒介にして侵入します。また地温が25〜30度の高温状態でこの細菌の活動が活発になります。晴れた日中にしおれるけども、曇りの日や夕方ごろになると回復する理由はこの地温が関係しています。発病した株の茎を切ると切り口が褐色に変色しており、水を入れた容器にこの切り口をつけ日光にかざすと、乳白色の汁が出ているのが確認できます。この汁には病原細菌が含まれていますので、他の野菜などにはつけないように気をつけましょう。

青枯病になってしまった時の対処法は?

実がなったまま青枯病で枯れてしまったメロン

青枯病にかかってしまった株は、早めに根ごと抜き取ります。青枯病の病原細菌は乾燥には弱いため、抜き取った株はしっかり日に当てて乾燥させるか、燃やして処分します。上の写真のように実がなっている時に青枯病にかかることもありますが、基本的にはこの実を食べても青枯病の細菌によって人が病気になることはありません。

病気対策の考え方と対策

野菜の病気は素因・主因・誘因と呼ばれる3つの要素が揃った時に発症します。素因とは野菜が病気にかかりやすい品種だったりなどの野菜自体の問題です。主因とはその病気をもたらす病原菌などのことです。誘因とは病原菌が活発に活動しやすい気温や湿度である、野菜が健康的に育つのに適した場所ではないなどの環境の問題です。どれか一つだけ対策を行っても不十分で、3つの要素を総合的に対策することが、野菜の病気対策を考えるときは重要になってきます。

素因:野菜自体の問題
主因:病原菌の問題
誘因:環境の問題

この3つの要因の観点から、青枯病の対策の仕方についてそれぞれ解説していきます。

青枯病の素因と対策の仕方

特にトマトは接ぎ木苗がオススメ

青枯病の素因を小さくする方法、つまり野菜自体の病気への抵抗性を高める方法としては、青枯病に抵抗を持った品種を選ぶ、接ぎ木苗を購入するという方法があります。特に青枯病にかかりやすいトマトは接ぎ木苗を選ぶことが有効なのでオススメです。

青枯病の主因と対策の仕方

青枯病の主因である病原細菌を減らす方法は、いくつかありますが、特に家庭菜園でオススメな方法は太陽熱消毒です。太陽の熱を利用して、土壌を高温状態にすることで、細菌を死滅させて減らす方法です。7〜8月ごろの気温が高い時期に、雨が降った後など十分に土が湿った状態でビニールなどで地表面を覆います。40度以上で10日間ほど太陽熱消毒を行うと、ほとんどの青枯病の病原細菌は死滅すると言われています。晴れていないとあまり地温が上がらないため、できるだけ晴れが続きそうな時に行います。青枯病が頻繁に発生するような畑ではこの方法を検討してみてください。

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青枯病の誘因と対策の仕方

青枯病の誘因、つまり畑の気温や湿度、水はけなどの環境条件は、青枯病の発生・拡大を防ぐ上でとても重要になります。特に以下の5つのポイントに注意してください。

①連作をしない

特にトマト、ナス、ジャガイモなど家庭菜園の人気野菜が多いナス科は、連作障害にもなりやすいので注意

青枯病は連作障害として発生する代表的な病気の一つでもあります。連作障害とはナス科、ウリ科といったような同じ科目の野菜を同じ場所で頻繁に栽培することで、土の中の微生物や栄養素に偏りが起こり、そのアンバランスによって引き起こされる生育障害全般のことを言います。土の中にはさまざまな微生物がいて、その中でも食物連鎖のように特定の微生物だけが増えないような自然界の法則がありバランスが取られています。しかし同じ科目ばかりを植えていると、この土壌生態系がアンバランスになり、青枯病の病原細菌のような特定の微生物が増えやすくなるのです。この土壌生態系のバランスをとるために、連作を避ける以外にも有機物原料の堆肥(たいひ)を入れるなど、野菜と相性の良い微生物が増えやすいような土づくりを行うことも大切になります。

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②水はけを良くする

青枯病の病原細菌は水分の多い土壌を好み、乾燥している土壌を嫌います。水はけの悪い畑では畝を高くする、畑の周囲に水路を作るなどして、水はけを良くしましょう。

③傷口を作らない

野菜に傷口ができるとそこから病原細菌が侵入しやすくなりますので、不用意に傷つけないようにします。剪定(せんてい)や脇芽取りなどの農作業は、雨の日だと傷口が乾きにくくなるため、必ず晴れた日に行いましょう。特に梅雨時期は青枯病などの細菌が畑の中で繁殖しやすい時期ですので、できるだけ雨の日は手入れしないようにします。

④地温が上がらないようにする

特に黒いビニールマルチをしている場合は、夏に地温が上がり、中が蒸れるため青枯病の病原細菌が繁殖しやすくなります。敷きワラや敷き草を行い、地温が上がりすぎないようにします。

⑤使用した道具はしっかり乾燥させる
剪定や収穫に使用したハサミなどに病原細菌が付着し、そこから他の野菜に感染するという可能性もあります。使用した後の道具は風通しの良い場所で保管し、しっかりと乾燥させましょう。

日頃から総合的な病気対策を

青枯病だけに限らず、病気は一度被害が拡大してしまうと、それを根本的に解決するまでにとても時間がかかります。まだ病気が発生していないとしても、今回ご紹介したように素因・主因・誘因と3つの要因への対策を行うことが、青枯病以外の病気を防ぐことにもつながりますので、ぜひ実践してみてください。

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