「クマ撃ちの女」あらすじ
31歳のチアキがヒグマを撃つ!
主人公は31歳の女性・小坂チアキ。北海道を舞台に、“日本最強生物”のエゾヒグマを狙う兼業猟師です。主人公はチアキですが、物語はチアキを密着取材する男性ライター・伊藤カズキの目線で描かれています。
狩りガールが主人公のマンガは他にもありますが、女性が一人でヒグマ猟をするという設定は実に新鮮! 命がけのダイナミックなストーリー展開に、ハラハラせずにはいられません。
新進気鋭の漫画家、連載デビュー作
本作は、新潮社のWEBマンガサイト「くらげバンチ」で連載が始まるとたちまち話題となり、今年7月に単行化しました。作者は安島薮太さん(35歳)。アシスタントなどを経て本作で連載デビューしたと言う安島さんは、新進気鋭の注目作家です!
リアリティあふれる描写の秘密
作者みずから狩猟現場を取材
安島さん自身は狩猟免許を持っていないそうですが、猟師だったおじいさんに影響を受け、幼い頃から狩猟や野生動物に興味があったと言います。さらに、昨年からは実際の狩猟に同行するなど、取材を重ねているのだとか。
筆者も昨年から狩猟をはじめたばかりの初心者ハンターですが、狩猟って想像以上にハードなんですよね……。私は出猟のたびに筋肉痛に見舞われています。そのあたりのリアルさもカズキの目線でしっかり描かれていて、同じハンターとして共感度が高い! 言うまでもありませんが、ジビエを食べる場面もとっても面白いです。
臨場感あふれる野生動物の世界
作者の安島さんは北海道へも取材に行き、現地の狩猟に同行したそうです。その時に経験した印象的な出来事を、次のように教えてくれました。
「流し猟の取材中に車の進行方向にシカがいました。林道の真ん中に立ちジッとこちらを見ていて、彼らも好奇心を持った、僕らと変わらない生き物なんだなぁと再認識しました」
作中では、エゾシカはもちろん、ヒグマやリスなど野生動物の表情や動きが臨場感たっぷりに描かれていて、その細かな描写にも一見の価値があります。
必見! 作者イチオシの見どころ
迫力満点のヒグマ
安島さんに「本作の見どころは?」と聞くと、こんな答えが返ってきました。
「ヒグマやシカ等動物の登場シーンでしょうか。“モノ”や“モンスター”に見えないように気をつけています。そのために実際の生態をよく調べ、その上で漫画に落としこむよう心がけています」
主人公のチアキは要所要所で動物の習性をカズキに説明するので、マンガを読みながらリアルな野生動物の知識が得られるのもうれしいところです。
見どころ満載の本作ですが、特にヒグマの登場シーンは迫力満点です。ヒグマとチアキが向き合う場面は必見! そして、何と言っても気になるのは、チアキのヒグマに対する執着心の強さ。「私はヒグマを撃ちたくて撃ちたくてたまらないんです」とまで言うチアキ。それには深いワケがあるようで……。今後の展開から目が離せません!
作者からのメッセージ
若手ハンターの愛読者も多い本作。最後に、安島さんから読者へ向けてメッセージをいただきました。
「現役、もしくはハンター志望の方は安全安心な猟を心がけていただきたいと希望します。冒険や危険はフィクションの中で楽しんでいただければ」
ハンターのみなさん、安全第一で今年の冬も狩猟を楽しみましょう。
さて……作中のチアキはこれからもヒグマを狙い続けるのでしょうか? クマ撃ちの女は発売中の単行本のほか、WEBマンガサイト「くらげバンチ」でも無料で読むことができます。ぜひチェックしてみてくださいね。
クマ撃ちの女
著者:安島薮太
発行:新潮社