畑の準備
1株当たり3平方メートルほどの畑を確保します。肥料は10平方メートル当たりN(窒素)・P(リン酸)・K(カリ)それぞれ成分量で100グラムと苦土石灰1キロを目安に施します。水はけの悪い畑では、高さ20センチほどに土を盛り、畝を作るとよいでしょう。苗を植える場所に畝の3分の1ほどマルチを張り、残りの部分にはわらなどを敷いておきましょう。
苗の準備
中間地では、暖かくなる5月の連休明けくらいが植え付けの適期です。栽培を安定させるために接ぎ木苗をおすすめしますが、茎ががっちりして太く、葉の緑色が濃い丈夫な苗を選びましょう。
定植
定植はなるべく晴れた日の午前中に行いましょう。マルチに穴をあけ、ポットの土と畑の土が同じ高さになるように植え付けます。活着するまではしおれないように注意し、晴れた日はこまめにかん水してください。
交配までの管理
親づるが伸びてきたら本葉5〜6枚で摘芯し、その後、子づるが40センチほど伸びたら4本を残してほかを除去します。子づるが元気に伸びだしたら、かん水を控えてつるぼけを防ぎます。つる同士が重ならないように、割り箸などを使って向きを整えておくと後の管理が容易になります。着果するまでの孫づるは早めに除去しますが、その後は放任します。
交配
18節前後の雌花に受粉し着果させます。ミツバチが飛んでいれば、自然に受粉されますが、曇天などを含めてミツバチが飛んでいない状況では人工交配を行いましょう。朝のうちにその日咲いた雄花をとって花粉を雌花の柱頭につければ完了です。
ラベルをつけるなどして、受粉した日を記録しておきましょう。果実が鶏卵大のころ大玉なら2果、小玉なら3果に摘果し、より品質のよい果実に仕上げましょう。
病害防除
できるだけ農薬を使わないために、早期発見、早期防除が大切です。特に雨水が跳ねる梅雨時期は炭疽(たんそ)病などが蔓延(まんえん)しやすくなります。炭疽病は、葉には茶褐色の斑点、茎にも茶褐色の楕円(だえん)形の斑紋が見られます。
敷きわらは水の跳ね返りを抑えるのに効果的です。またアブラムシやハダニなどの害虫は葉の裏に寄生しやすいので、日々葉の裏をよく観察し、早期発見と予防を行いましょう。
収穫
果実が肥大しきったらもう一息で収穫です。6月交配なら受粉後、大玉で45日、小玉で35日が収穫の目安です。受粉日がわからなければ、着果節のまきづるが枯れ上がってきたら収穫の合図といわれます。試し割りで熟度を確かめてから収穫します。
栽培Q&A
Q. 果実が収穫前に割れてしまいます。
A.まだ果実が若い状態では、肥大する前に果皮がかたくなりすぎてしまい、肥大に耐えられず割れてしまうことがあります。着果後の草勢をやや抑えることが大事です。収穫前に割れてしまう場合は、土壌水分量が多すぎることにより、水膨れして割れることが多いので、収穫10日前には水を切り、割れを防止すると同時にじっくり糖度を上げていきましょう。
ブリーダーのおすすめ! 春種ワークショップ
直売所これが定番品種
果実のそろいがよく、シャリ感抜群の大玉スイカ「秀山(しゅうざん)」はいかがでしょうか。肉質はかためでシャリ感があるだけではなく、果肉も濃い桃紅色なのでカット販売でも見ばえがしますよ! 栽培面では、「秀山」の「秀」は秀品率の「秀」と言われるぐらい、着果後も果実の大きさに大小が出にくいのが特長で、安定した品質で出荷が可能です。
売上アップはこの品種
食味のよさで右に出るものはなし! 売上アップを狙うなら「紅まくら」がおすすめです。香りが強く、皮際までおいしく食べられます。シャリ感があるので歯切れがよく、糖度12~13度と高糖度で安定します。そのうえ酸味も少ないので、ほかの品種に比べてより一層甘さを感じることができます。また枕形という独特の形は、目にとまりやすく差別化するにはもってこいです。さらに空洞が入りにくいという点でもすぐれています。「おいしいスイカ=枕形」のイメージでリピーターを増やしましょう!
小スペースでできる小玉スイカ「紅しずく」の栽培ポイント
「紅しずく」は小玉スイカの中でも草勢はややおとなしめで小葉なので、小スペースでの管理が容易です。さらに低温少日照下の着果と肥大が安定しているため、低温期の早出しや梅雨時期でも安心して栽培いただけます。1番果収穫後の草勢回復が早いので、まずは1番果をしっかり収穫し、2番果に続けていきましょう。
執筆:タキイ研究農場 加野祥子(かの・しょうこ)
※推奨品種や栽培情報を紹介。「タキイ最前線」本誌デジタルブックも閲覧できるタキイ最前線WEBはこちらから!