冬場の葉物栽培にうってつけ
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2020/02/76cfba39b84057632610e045f6577575.jpg)
大きなビニールハウスと内田さん(夏に撮影)
大阪府・能勢町で年間20〜30品目の野菜を50アールの畑で栽培し、主な売り先は地元の直売所という内田健太(うちだ・けんた)さん。40メートルの大きなビニールハウスが一棟あるものの、野菜のほとんどは、自分で作ったミニハウスでつくっている。数えると20棟ほどあるだろうか。あまり見ない光景だ。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2020/02/3d715ed1ebf0b039ee26042ffd323d93.jpg)
内田さんの畑は山の際にある。露地栽培はせず、このようなミニハウスが20棟ほど並んでいる
ミニハウスは高さ1.8メートル。前かがみになって入ると、幅は2.5メートルと意外と広い。通路を隔てた左右には幅80センチほどのウネが1本ずつ立っている。奥行きは20メートルほどあるだろうか。大きなビニールハウスほどではないが、中はほんのりと暖かい。
「冬に葉物野菜なんかをつくるにはいいですよ」と内田さん。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2020/02/3a4c708ce195f2a3426e98cff3e27f1c.jpg)
ミニハウスの内部。このように、二重被覆をすると保温効果が高まる
1月中旬。私の露地畑ではすっかり生育が止まってしまったパクチーだが、このミニハウスでは新葉が伸び始め、収穫の真っ最中。
「ハウスの中にさらにトンネルを作って育てると、葉物は霜にも当たらないし、育ちもいいんですよ」。トンネルの中では、品薄になりがちな3月出荷に向けたルッコラが育っていた。
なるほど。ミニハウス自体の保温性は弱い(最高気温10度、最低気温氷点下4度の曇天の日で、ハウス内は最高気温15度、最低気温氷点下2度)が、二重に被覆すると保温効果がより高まり、人が出さない時期にも野菜が出せる。これは一般的な小さなトンネル栽培ではちょっとできないことだ。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2020/02/abaab08bdbfbb739cf5b5b20bd8e104c.jpg)
最低気温が氷点下3度になる1月中旬でも青々としたパクチーが収穫できる
獣害対策にも効果的
「このハウス、インターネットで愛媛県のやり方を知って、やりはじめたんですよ」と内田さん。きっかけは意外にも「獣害」。就農初年度に壊滅的な被害に合い、お金がなくてもできる確実な対策を考えた結果、「ミニハウスで野菜を囲う」ことにしたそうだ。獣害にもやられなくなったうえ、できる作型も広がり、ミニハウスが主体の農業になっていった。