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作型広がり獣害対策にも! 簡単に自作できる「ミニハウス」の作り方

伊藤 雄大

ライター:

連載企画:凄い!農家のアイデア集

作型広がり獣害対策にも! 簡単に自作できる「ミニハウス」の作り方

直売所に通年出荷するとなると、あったほうがいいのがビニールハウス。厳寒期に出せる野菜にも選択肢が増えるし、夏野菜の育苗にも役立つ。だけど、一般的なビニールハウスは値段も高く、建てるのも大ごと。ホームセンターにもミニハウスが売っているが、交換する部品が高価だったりする。そんなわけで今回は、自作で簡単にできるミニハウスの作り方を教わりに行った。

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冬場の葉物栽培にうってつけ

大きなビニールハウスと内田さん(夏に撮影)

大阪府・能勢町で年間20〜30品目の野菜を50アールの畑で栽培し、主な売り先は地元の直売所という内田健太(うちだ・けんた)さん。40メートルの大きなビニールハウスが一棟あるものの、野菜のほとんどは、自分で作ったミニハウスでつくっている。数えると20棟ほどあるだろうか。あまり見ない光景だ。

内田さんの畑は山の際にある。露地栽培はせず、このようなミニハウスが20棟ほど並んでいる

ミニハウスは高さ1.8メートル。前かがみになって入ると、幅は2.5メートルと意外と広い。通路を隔てた左右には幅80センチほどのウネが1本ずつ立っている。奥行きは20メートルほどあるだろうか。大きなビニールハウスほどではないが、中はほんのりと暖かい。
「冬に葉物野菜なんかをつくるにはいいですよ」と内田さん。

ミニハウスの内部。このように、二重被覆をすると保温効果が高まる

1月中旬。私の露地畑ではすっかり生育が止まってしまったパクチーだが、このミニハウスでは新葉が伸び始め、収穫の真っ最中。
「ハウスの中にさらにトンネルを作って育てると、葉物は霜にも当たらないし、育ちもいいんですよ」。トンネルの中では、品薄になりがちな3月出荷に向けたルッコラが育っていた。
なるほど。ミニハウス自体の保温性は弱い(最高気温10度、最低気温氷点下4度の曇天の日で、ハウス内は最高気温15度、最低気温氷点下2度)が、二重に被覆すると保温効果がより高まり、人が出さない時期にも野菜が出せる。これは一般的な小さなトンネル栽培ではちょっとできないことだ。

最低気温が氷点下3度になる1月中旬でも青々としたパクチーが収穫できる

獣害対策にも効果的

「このハウス、インターネットで愛媛県のやり方を知って、やりはじめたんですよ」と内田さん。きっかけは意外にも「獣害」。就農初年度に壊滅的な被害に合い、お金がなくてもできる確実な対策を考えた結果、「ミニハウスで野菜を囲う」ことにしたそうだ。獣害にもやられなくなったうえ、できる作型も広がり、ミニハウスが主体の農業になっていった。

ハウスの作り方

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