シソの栽培時期
シソの発芽適温は20〜25度、生育適温は20度前後ですが、寒さに弱く、暑さには比較的強い植物です。青ジソは消費需要が大きいことからビニールハウスを利用して通年栽培されていますが、赤ジソは梅干し用に6〜8月に収穫する作型が一般的です。家庭菜園で露地栽培する場合は、十分に暖かく遅霜の心配がなくなってから種をまくといいでしょう。早く種まきをしたいときはビニールトンネルを利用します。
土の準備
プランターで育てる場合は、「野菜の土」を使うか、自分で赤玉土や腐葉土を混ぜて使います。シソは大きく成長するので、大きめのプランターを使った方がいいでしょう。
畑は堆肥(たいひ)を入れて耕しておきます。土壌酸度が酸性に傾いていれば、石灰もまいておきましょう。元肥は前作の残りがあれば入れなくても大丈夫です。肥料分が残っているかどうかわからなければ、ひとまず入れずに育ててみましょう。足りない分は追肥で補うことができます。
播種(はしゅ)
種を購入すると、かなりたくさんの数が入っています。家庭菜園で育てる場合は2、3株あればおそらく食べきれないほどの大葉が収穫できるので、ポット苗を購入すると便利です。「芽ジソ」を食べたい人は種から育ててみましょう。
プランターで栽培する、もしくは苗を作る場合、種は1〜2センチ間隔でばらまきします。種はとても小さいので重ならないように注意しながらまきましょう。まき終わったら上から薄く土をかけて、じょうろで優しく水をやります。シソの種子は発芽に光を必要とするので、土は厚くかけないようにしましょう。 発芽までには結構時間がかかります。芽が出るまでのおおよそ1〜2週間ほど、土の上に濡れた新聞紙をかぶせたり、こまめに水やりをしたりしながら土が乾かないように管理しましょう。
間引き、芽ジソの収穫
双葉が開いた頃に、3〜4センチ間隔に間引きます。このときに間引いた物を「芽ジソ」として食べることができます。手で抜いてもいいですがはさみで切った方が洗うのが簡単です。刺身のつまに使われているのはこの芽ジソです。小さくてもさわやかにシソの香りが広がります。
プランターでこのまま育てる場合は、本葉3〜4枚の頃に2回目の間引きを行い、5〜6センチ間隔にします。間引き菜はサラダやあえ物などに使いましょう。 その後は葉が隣の株と重なり合うようになる度に間引きし、最終的には20センチ間隔になるようにします。最後の間引きのときに、化成肥料を施し、表面の土と軽く混ぜ合わせます。
定植
植え替える場合は1回目の間引きだけしてそのまま育て、本葉4〜5枚の頃に定植します。シソは乾燥に弱いので、植える直前に、苗にたっぷりと水をあげておきます。畑にスコップや三角グワで穴を掘り、植え穴にも水をたっぷりかけます。トレイなどに掘り起こしたシソの苗を入れ、乾かないうちに素早く穴に植えつけます。 植え付け後、根がつくまでに乾燥がひどいとシソがしおれてきます。ひどくしおれるとそのまま枯れてしまうので、様子をみて水やりをしましょう。
追肥、中耕、除草
畑に植え付けて2週間くらいたったら化成肥料を株元にまき、中耕と除草を兼ねてクワやスコップで軽く耕して肥料を土に埋めます。その後、収穫を長く楽しみたければ、月に一度は追肥をするといいでしょう。
葉ジソ(大葉)の収穫
青ジソの大葉を収穫する時は、大きくなった葉からはさみで切ります。小さいうちに刈り込みすぎると成長が遅くなるので、最初はあまりとらずに背丈が30センチくらいになってから収穫するといいでしょう。シソの背丈が30センチくらいになったら頂上の葉を収穫します。そうするとわき芽が次々と伸びてきて、葉をたくさん収穫できるようになります。香りを保つためには、手で葉をさわらずに軸を持ちます。 赤ジソを収穫する時は、背丈が50センチ程度になったら側枝を2本残して主軸を枝ごと収穫します。収穫後に追肥をしておくと側枝が茂ってくるので、しばらくしたらまた収穫することができます。 シソの葉は夏の強い日差しを浴びると硬くなるため、寒冷紗(かんれいしゃ)をかけた方がやわらかくて食べやすいシソになります。プランターで育てる場合は半日陰の場所に移動させてあげるといいでしょう。赤ジソは生のまま葉を食べることがないのであまり気にする必要はありません。また、シソは乾燥に弱いので、プランターでは特にこまめな水やりを心がけましょう。
穂シソ(花穂)の収穫
夏も終わり秋になると、シソに花芽がついてきます。花穂が伸びてきて、穂の半分くらいが開花した頃に「穂シソ」として摘み取りましょう。刺身のつまや、天ぷらとして食べることができます。ただし、花がつくと、大葉は硬くなってしまいます。大葉を長く収穫したい場合は、花芽はできるだけ小さいうちに摘み取ってしまいましょう。
実シソ(シソの実)の収穫
花が1、2個を残し落ちてしまったころ、実シソを収穫します。シソの実は若すぎるとプチプチ感が足りず、逆に熟しすぎると硬くなってしまいます。見分けがつかないときは試しに食べてみるといいでしょう。佃煮やしょうゆ漬けにするとおいしいです。
種取り
シソは自家採種して、次の年にまた種から育てることもできます。シソの実がついた枝ごとしばらく陰干しをして、きれいに乾燥させます。ブルーシートなどにシソを置きばんばん叩くと、実がはじけて種が落ちてきます。種は小さいので散らばらないように注意しながら集め、ふるいにかけて殻などのいらないものを取り除いて保存します。少量の場合は穂をビニール袋の中に入れ、上から手でもんでもいいでしょう。また、わざわざ採取しなくても実からこぼれた種が次の年に発芽する、ということがシソではよくありますが、そのまま育てて問題ありません。
主な病害虫
ヨトウムシやバッタが葉をむしゃむしゃと食べるほか、アブラムシ、ハダニなども発生します。大きな害虫は手で駆除するか、ひどい場合は防虫ネットや農薬をかけるなどして対処してください。ハダニやスリップスなどの小さな害虫は手で捕殺するのは困難です。新芽に集中しているようであれば、どんどん収穫して個体数を減らすのもいいでしょう。赤ジソにはあまり虫がつきません。病害では斑点病、さび病などが出ることがあります。病気になった部分を切り取り、菌が残らないように畑の外に持ち出して処分しましょう。
シソの香りには食欲増進効果があり、夏の暑いときなどには薬味として大活躍する食材です。また、赤ジソを使ったシソジュースやふりかけが好き、という人も多いのではないでしょうか。基本的には丈夫で育てやすい植物なので、気負わずに軽い気持ちで栽培してみましょう。そして翌年、忘れたころに勝手にこぼれ種から芽が出てきて、気が付いたら毎年栽培しているなぁ(生えているなぁ)……となるのです。これもまた家庭菜園の楽しみの一つでしょう。