農家が教えるアイスプラントの栽培方法 意外と育てやすい“珍野菜”の育て方

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農家が教えるアイスプラントの栽培方法 意外と育てやすい“珍野菜”の育て方

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農家が教えるアイスプラントの栽培方法 意外と育てやすい“珍野菜”の育て方
最終更新日:2020年05月16日

プチプチとした楽しい食感に、ほんのり塩味がする珍しい野菜、アイスプラント。スーパーではあまり見かけないかもしれません。キラキラの水泡がついた繊細そうな見た目とは裏腹に、生育は旺盛で一つの株からたくさんのわき芽を収穫することができます。販売されている物の多くは水耕栽培ですが、家庭菜園のプランターや畑でも栽培が可能です。一度作って不思議な食感を味わってみましょう。

アイスプラントってどんな野菜?

アイスプラントはキュウリやキャベツなどの多くの野菜と異なり、多肉植物に分類されます。多肉植物とは主に乾燥地帯で見られる葉が肉厚な植物で、アロエやサボテンがよく知られています。そのためアイスプラントも乾燥を好み雨は苦手です。
さらに珍しいのが、他の植物に比べて土の中の塩分などの物質を吸収しやすいという性質です。吸い上げられた物質はキラキラ光る水泡の中に蓄えられます。塩味がするのもこのためで、日本でアイスプラントが普及したのは、塩類が集積した土壌の修復作用に佐賀大学が注目したことが大きなきっかけでした。

光る水滴のようなものが塩分を蓄えるブラッダー細胞

普通の畑で育てるには、収穫前に塩水をかけてあげることで塩味をつけていきます。塩は他の作物にとっては毒なので、土に塩が残ることを考えるとプランターで栽培したほうがいいでしょう。

アイスプラントの発芽適温は15〜20度前後、生育温度は5〜25度と言われていますが、30度くらいまでなら元気に生育します。それ以上になると葉がしなびて溶けるように枯れていきます。また、夏になると花が咲いて葉の成長が止まってしまうので、夏場の収穫は期待せず片付けましょう。種をまく時期は3月頃の春まきと9月頃の秋まきの2回です。意外に寒さには強く、室内においておけば越冬も可能です。

土の準備

プランターで育てる場合は、「野菜の土」や「ハーブの土」と書いてあるものを使うか、自分で赤玉土や腐葉土を混ぜて使います。アイスプラントは横に横にと大きく成長するので、大きめのプランターを使った方がいいでしょう。畑が過去に汚染されたことがある、または天然の重金属が多いような土地であるなどという場合は、アイスプラントが先述の通り吸い上げてしまう可能性がないとはいえません。大量に何年も食べ続けることはないと思いますが、もし気になる場合は栽培しない方がいいでしょう。

播種(はしゅ)

アイスプラントは一般家庭で食べる場合は2、3株植えておけばおそらく十分な量が収穫できます。足りないと思えば、後々挿し芽で増やすこともできます。種の発芽率はあまりよくないうえに、芽が出てから植え付けできる大きさになるまでの成長がかなり遅いので、育苗には手間がかかります。大量に栽培するのでなければ苗を購入することを強くおすすめします。ただ、苗が手に入らない場合は仕方ないので種から頑張りましょう。

まず、ポットかセルトレイを用意して、土を入れます。アイスプラントの種をセルトレイであれば2~3粒ずつ、ポットなら5〜6粒まきます。種が非常に小さいので一度にたくさん落ちないように十分気をつけましょう。上から土をかぶせ霧吹きで水をかけます。もしじょうろでやる場合は水が土の上からあふれ出さないようにごく軽くやりましょう。

セルトレイに播種した場合は、発芽して本葉が3枚出た頃にポットに移植します。この頃のアイスプラントの茎は糸のように細く折れやすいので、できるだけ触れずに土を持って植え替えるようにしましょう。箸でつまんだり、フォークですくうとやりやすいです。
ポットにまいた場合は、本葉2枚で3本に、本葉3〜4枚のときに1本立ちとしましょう。

定植

本葉が5〜6枚になったら定植します。プランターの場合は、25〜30センチ間隔で1列に植えます。このときは葉がとてもやわらかいので、傷つかないように十分に注意して植えましょう。植えるときは株間が広すぎるように感じるかもしれませんが、ここからはこれまでとは違いぐんとスピードアップして生育するので大丈夫です。下葉はプランターからはみ出るんじゃないかと思うくらい大きくなりますし、ぐんぐん茎も伸びてきますよ。

畑に植える場合は、できればマルチをしたほうがいいでしょう。アイスプラントは土をはうように成長するので、雨の時の泥はねを防ぐことができますし、病気にもかかりにくくなります。もちろん草取りの手間も省けます。マルチと土に穴をあけて、プランターの場合と同じように丁寧に植え付けます。

追肥、塩水の補給

定植してから2週間くらいたったときに、化成肥料を施します。もしくは液肥をあげてもいいです。アイスプラントは肥料の程度が葉の色ではよくわからないので、生育が遅いと感じたらあげてみましょう。
さらに、植え付けてから20日ほどたち、そろそろ収穫という頃になったら塩水をあげます。1週間に2度、1〜2%程度の塩水を作り根元にかけます。塩水をやらないと塩味は薄くなりますがプチプチ感は残ります。それでもよければ水だけで育ててもいいでしょう。

収穫

収穫は摘心の要領で行います。一番てっぺんの葉を4枚くらいまとめてはさみで切ります。最初の収穫はてっぺんの一つだけにしておくと、しばらくしてその下のわき芽が伸びてくるので、いい大きさになったら今度はいくつか収穫します。そしてまたしばらくするとわき芽が伸びてきて……と、どんどんわき芽が増えて次々に収穫できるようになります。長く収穫するためには肥料も必要なので、追肥を必ず施しましょう。

夏に向かっていくと、アイスプラントの葉先がちょんと赤くなって、花を咲かせます。花が咲くと葉の成長は遅くなり、次第に枯れて種ができます。種を取らない場合は花はすぐに摘んでやると、少しは長く収穫できますが、そのうち追いつかなくなったら栽培を終了しましょう。

主な病害虫

ネキリムシやヨトウムシ、アブラムシなどが葉を食べます。大きな害虫は手で駆除するか、ひどい場合は農薬をかけるなどして対処してください。化学農薬はアイスプラントで登録があるものがないので、有機栽培に使えるBT剤などの農薬がいいでしょう。夏の暑い時期には葉が溶けるように腐ることがあります。暑いのは苦手な野菜なので、無理せず病気がひどくならないうちに収穫し尽くして栽培は終了しましょう。

アイスプラントはふだんあまり見かけない珍しい野菜ですが、家庭でも簡単に育てることができます。サラダに入れるとプチプチした食感で、とても面白い植物です。天ぷらにしてもいいそうですよ。はまる人はかなりはまります。ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

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