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農協を使いこなす、若手農家のチーム力

連載企画:農業経営のヒント

農協を使いこなす、若手農家のチーム力

農家が一人ではできないことでも、チームを作れば可能になる。千葉県野田市で枝豆やネギを栽培している荒木大輔(あらき・だいすけ)さんは、仲間の若手農家とそんな取り組みを実践している。掲げた目標は農協の有効活用。これまで農協を十分に生かしてこなかったと感じているからだ。

若手農家のチームが次々に連携

荒木さんは2015年に実家で就農した。栽培面積は2.4ヘクタール。農産物のほとんどを、ちば東葛農業協同組合(JAちば東葛、本店千葉県柏市)に出荷している。JAちば東葛は野田市など千葉県北西部をカバーする農協だ。
東京農業大学を卒業した後、農協の全国組織の全国農業協同組合中央会(JA全中)に就職した。就農することも考えたが、祖母から「こんなもうからない仕事はするな」と強く反対され、いったん外で働くことにした。

JA全中は各農協に対して農業政策や農協の組織運営などに関する情報を提供し、意見を集約するのが主な仕事。荒木さんはそこで農政の動向についての資料のとりまとめや、農産物販売に関する研修会の準備などを担当した。
JA全中で働きながらも、いつか農業をやりたいとの思いは変わらなかった。同僚と飲んだときなど、よく「おれは百姓をやる」と話していたという。JA全中を辞め、就農したのは34歳のとき。体力のことを考えると、思う存分農業をやるにはこれ以上先延ばしにできないと考えたからだった。

JA全中が入っている東京・大手町のビル

就農してみると、予想外のことが起きた。近隣の農家が、補助金の申請の仕方や融資の種類などを教えてもらうため、荒木さんに相談しに来るようになったのだ。栽培技術では祖父や近隣のベテラン農家には及ばないが、農業制度に関してはJA全中で働いていた荒木さんのほうが詳しかったからだ。
さまざまな相談を受けるうち、荒木さんは農家が抱える課題を洗い出し、解決方法を話し合うチームが必要だと考えるようになった。そこで同時期に就農した近くの農家を中心に、農協の支部を2017年2月に立ち上げた。
名称は「JAちば東葛野田地区青壮年部福田支部」。荒木さんたちの農地が野田市の南東部の福田地区にあるため、この名前をつけた。青壮年部は農協に加入している50歳以下の農家の集まりを指す。

ここで特筆すべきは、荒木さんの動きが福田地区にとどまらなかったことだ。まず同じ野田市の中心部にある別の青壮年部と連携。さらに柏、我孫子、船橋の各市にある青壮年部にも働きかけ、お互いに協力していくことで合意。その結果、2017年8月にJAちば東葛青壮年部協議会が誕生した。
こうしてもともと青壮年部がなかった福田地区の動きが起点になり、JAちば東葛の全域の若手農家が交流し、課題の解決策を探る体制が整った。

荒木さんが栽培している枝豆

農協を動かしてスーパーに販路

荒木さんは以前から、農家の多くは農協をうまく使いこなせていないと感じていた。例えば「農薬を1瓶持ってきてくれ」と農協に頼む農家がいる。すぐ持ってきてくれるので便利そうに見えるが、配送代がかさむので結局は高くつく。そして「もっと安くならないのか」とこぼしたりする。
足りなくなってから注文するのではなく、計画的にまとめて購入すればその分、配送費を圧縮することができる。それを地域全体でやれば配送の頻度をいっそう減らすことにつながり、経費の節減効果はもっと大きくなる。
若手農家が連携できる体制を整えたのは、参加するメンバーが多いほど課題を解決する力が大きくなると思ったからだ。

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