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体験と研修で担い手支える、市民グループが限界からの挑戦

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

体験と研修で担い手支える、市民グループが限界からの挑戦

「農業の先行きが心配だ」と言われるようになって久しい。問題の根幹にあるのが担い手の不足だ。農業をやる人が減り続けているから、耕作されずに荒れ地になってしまう田畑も増える。NPO法人のたがやす(東京都町田市)はこの問題の解決を目指し、20年近くにわたって農家の支援に取り組んできた。

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市民が農家を助ける? 体験農園の仕掛け

町田市の郊外の一角、小高い丘の上にある「小野路農園クラブ」を4月半ばに訪ねた。たがやすが運営している市民向けの体験農園だ。
この日集まったのは、8組の家族。透き通るような晴天のもと、作業が始まった。割り当てられた区画を自由に使えるタイプの市民農園と違い、ここはスタッフの指導で一緒に作業をするのがルール。参加者は畝に張ったマルチに開けた小さな穴に、コマツナやホウレンソウの種をまいていった。
「自分で野菜を作るのも楽しいし、自分で作ったものを食べるのもうれしい」。都内に勤める男性はそう話す。その傍らを、小学生の娘が笑顔で駆け抜ける。「あまり作業を手伝ってくれませんが、すごくここに来たがります」

NPO法人のたがやすが運営する小野路農園クラブ

親たちの農作業をよそに、子どもたちは周囲で思い思いに遊んでいる。事務局長の斉藤恵美子(さいとう・えみこ)さんは「お子さんを叱らないでください」と呼びかける。子どもたちに、屋外の開放感を味わってもらいたいからだ。車道から離れているので、事故の心配はない。
もちろん、広い空間で作業する体験農園とは言え、新型コロナウイルスの感染リスクへの配慮を欠かすことはできない。利用者もスタッフもマスクをつけ、適度な距離を保ちながら予定していた作業を進めていった。

たがやすは町田市の生協が中心になって2002年に立ち上げた。生協にナスを出荷している農家の収穫作業を、組合員が手伝いに行ったのがきっかけだ。この活動を通して多くの農家が人手不足に困っていることを知った斉藤さんたちは、農作業をサポートする「援農ボランティア」を募集し、たがやすを発足させた。集まったのは、会社を退職した元サラリーマンたちが中心。現在、約70人が援農ボランティアとして活動している。

小野路農園クラブで指導に当たるたがやすのメンバー

たがやすの援農ボランティア、農家からの評価が高いワケ

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