絶対おさえておきたい基本の田植機の選び方

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絶対おさえておきたい基本の田植機の選び方

絶対おさえておきたい基本の田植機の選び方
最終更新日:2020年09月11日

田植機を選ぶコツ、まず、今回は定石の選択方法から説明しましょう。
ポイントは4つ。①乗るか?歩くか?②広いか?狭いか?③速く植えたいか?普通でもいいか?④同時に肥料をまくか?まかないか?です。
4つとも「Yes」と「No」で判断できるので、意外と悩むことは少ないと思います。

① 乗るか?歩くか? → 乗用タイプにするか、歩行タイプにするか

乗用タイプにするか、歩行タイプにするか。それは、自分の足を使って歩きながら苗を植えるのか、それとも、シートに座ってラクな田植えをするかということです。単純に、好きな方を選べばいいわけですが、多くの人たちが「ラクしたいよ~」と考えているようで、統計によると9割以上が「乗用派」です。歩行タイプを所有している1割以下の少数派は、田んぼが狭いか変わった形状の田んぼの持ち主だと思われます。もちろん、価格の安さも大きな要因です。

さて、先に歩行タイプ田植機の選び方から。どのメーカーがいいのか?という疑問もあると思いますが、 答えは簡単。
「お好きなメーカーにしてください」

というのも、例外を除いて、ほとんどが他社ブランドで販売されているものを製造するOEM製品なので、どれも基本性能は変わりません。好みのロゴマークが入った田植機を選んでください。

歩行タイプの条数は2条植えと4条植えがありますが、4条植えの需要はほとんどないのが実情。少数派の中でもさらにマイノリティーなのです。
マジョリティーの乗用タイプは、ほかの機能なども関わってくるので、ちょっと複雑。以下の②③④を考慮しながら選びましょう。

歩行タイプ田植機

乗用タイプ田植機

②広いか?狭いか? → 田んぼは3反歩(30アール)未満か、3反歩以下か

田植機は2条植えから、4、5、6、7、8、10条植えまであります。シンプルに圃場(ほじょう)が3反歩未満だったら、2条、4条植え(クボタのみが出している3条植えも含む)でOK。3反歩以上なら、基本的に4条植えより多い条数の田植機がおススメです。条数は面積に比例して増やしてください。

さて、ここでひとつ質問。田植機の条数は2条から4条までは偶数なのに、4条以上は奇数もあるのはなぜ? ヒントは、田植えのゴールにあります。

そう、稲刈りです。5条植え以上の田植機が必要な広い圃場で稲刈りを行うのは、条の間隔に左右されないコンバイン。それに比べ、狭い田んぼでよく使われるのが2条刈りのバインダーです。奇数条数の田植機だと、折り返し部分の条間の幅が狭くなったり広くなったり、バインダーの刈幅と合わなくなってしまいます。ですから、2条刈りのバインダーで稲刈りをする予定だったら、奇数条植えの田植機は避けるべきです。はぜ掛けなどをして天日干ししたお米にこだわる人は、覚えておいた方が良いかもしれません。

条数が多くなると、必然的に高くなるのが馬力です。動力はガソリンエンジンが主流ですが、6条、8条クラスになるとトルク(回転力)が高いディーゼルエンジンも搭載されています。もちろん馬力がアップすると、比例して上がるのは価格です。10条植えクラスになるとフル装備で500万円に近い価格の機種もあります。

③速く植えたいか?普通でもいいか? → ロータリー式か、クランク式か

田植機の植え付け部分は、「ロータリー式」と「クランク式」に大きく分かれます。
クランク式は、爪の付いた植え付け部の動きを、人が手で苗を植える動作と同じようにした駆動軸の回転方式。1回の動きで1株の植え付けをします。おもに歩行・乗用の2条植え、4条植えに採用されているタイプです。

クランク式

1回のアクションで、2株植えられるのがロータリー式。2本の植え付け爪が長円の軌道で回転して、交互に2本の苗を植え付けていきます。クランク式が1株植えるのと同じ時間で2株 植えられるということは、2倍のスピードになります。ロータリー式は、4条植え以上に使われており、乗用型に限ると利用者の7割を占めています。

ロータリー式

当然、選ぶとなると植えるスピードが速いロータリー式にしたいものですが、やはり悩ましいのは価格です。同じ4条植えでも、クランク式よりロータリー式はグレードも上がるので、装備などを含めると8~9割ほど割高。「速さ」をとるか「安さ」をとるか。予算と相談しながら決めましょう。

④同時に肥料をまくか?まかないか? → 側条施肥機を付けるか、付けないか

田植えと同時に肥料を施したいか? 別のタイミングで施肥するか?
田植機には「側条施肥機」という、苗の植え付けをしながら肥料を投入できる作業機を装着できます。側条施肥機は、植えた苗の横に溝をつくって肥料を流し込む装置です。肥料は粒状とペースト状のものがあり、使いたい肥料用の側条施肥機をオプションで選べます。しかし、オプションとはいっても後付けはできず、購入前に注文してあらかじめ装備された田植機を受け取るシステムです。

側条施肥は、苗の数センチ横、すぐ近くの溝に肥料をまくので、田植えの直後から稲の根が栄養を吸収して、初期成長を促すことができます。また、ピンポイントでまくため、効率が良い施肥法であり、肥料の量を減らせることもメリットです。
ただ、側条施肥機を付けられるのはメーカーによって違いがあり、クボタ、三菱はロータリー式のみで、基本的にクランク式は装着不可。ヤンマー、イセキはロータリー式とクランク式の両方に設置できます。これがメーカーを選ぶ時の分かれ目になりますので、よく比較検討してくださいね。

側条施肥機

~付録~

枕地ならし

「枕地:まくらじ」とは、田植機が旋回するスペースです。その枕地を田植機がターンする時にタイヤで荒らしてしまいます。そのままだったら、凸凹状態。枕植えという枕地に苗を植える作業の前に、トンボなどを使った地ならしが必要です。そんな時にうれしい機能が整地ローター。植え付けをしながらローターが回転して枕地をならしてくれるのです。
これが装着できるのは乗用式の田植機のみ。三菱では「まくらっこ」と呼ばれていますが、各社同じような機能を付加している機種があります。あまり大切なことではないと思うかもしれませんが、プロの農家にとても重宝がられている機能です。

載らない

田植機が道路を走っているのを見たことはありませんよね。当然ですが、田植機による公道の通行は禁止です。一般的な移動方法はというと、軽トラックの出番となります。ところが、軽トラックに載せられるのは4条植え田植機まで。フル装備のものはギリギリの大きさです。4条植え以上は、軽トラックでは運べませんので2トントラックなどの出番となります。田植機は移動手段のことも考えて選びたいものです。 

まとめ

田植機の選び方はとてもシンプルです。「はい」と「いいえ」で単純に判断できます。

①歩行式
 乗用式
②田んぼは3反歩以下 → 2条植え・4条植え
 田んぼは3反歩以上 → 4条植え以上
③植え付け速度が速い → ロータリー式
 速くないが価格が安い → クランク式
④側条施肥機を付ける → ロータリー式
 側条施肥機は付けない
⑤整地ロータを付ける → 乗用式
 整地ロータは付けない
⑥移動は軽トラック → 4条植え以下が可
 移動は2トントラック → 4条植え以上も可

これだけチェックすれば簡単に選べるはずです。購入したら、ちゃんとメンテナンスしてあげましょう。田植機は年に1度だけ働いてくれる農機具です。ほとんど倉庫で眠っているので、「動」よりも「静」の時間が大切になります。
保管する前には、しっかり清掃して泥などを落とす。ゴム系の劣化をチェックする。付属のゲージで爪を確認して、減っていたら交換する。ガソリンはキャブレターの分も含めてすべて抜く。ビニールのシートなどで覆って収納するのはご法度。多少、空気が流れるところに裸で置いた方が機械にとっては居心地がいいと思います。田植機は使う頻度が少ないので、かなりの長寿命。いい相棒を選んで末永く付き合ってください。

今回は教科書的な、定石と言えるような選び方を説明しましたが、次回はカタログや手引書などには書いていない視点から考えた「田植機の選び方」を紹介したいと思います。お楽しみに。


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