ハスカップとは?
北海道ならではの果実ハスカップ。
ハスカップは、和名クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)といい、マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ属です。品種は「ゆうふつ」「トカチカップ」などがありますが、「ゆうしげ」「あつまみらい」の2品種は、ハスカップ栽培面積日本一を誇る北海道・厚真(あつま)町で品種改良された地域限定品種です。
ブルーベリーのような色に丸みを帯びた円すい形の果実ハスカップは、その可愛らしい見た目からは想像がつかない可能性を秘めた不老長寿の果実として知られています。
名前の由来は?
ハスカップという不思議なフレーズ、これは北海道の先住民族アイヌ族のアイヌ語「ハシカプ」に由来していて「枝の上にたくさんなるもの」という意味です。
また「細長い実」を表す「エノミタンネ」に由来して「ユノミ」という愛称で呼ばれることもあります。
アイヌ族の人々は古くよりハスカップの豊富な栄養成分に着目し長く親しんできました。
ハスカップ以外にも、北海道にはアイヌ語由来のものがたくさんあります。特に北海道の市町村名のうち、約8割がアイヌ語に由来しています。
ハスカップ以外の果物ではヒシの実をアイヌ語でペカンペと呼びます。
日本の自生地
ハスカップの自生地は主に北海道で、低地の湿地とその周辺で特に苫小牧を中心とする勇払(ゆうふつ)原野です。苫小牧では多くの人々が開拓時代からハスカップを食べていたようで、苫小牧市のシンボルとして木の花にも指定されています。
もうひとつは高山から亜高山にかけての高層湿原周辺になり、大雪山、知床などです。
本州では、標高の高い地域でしか見ることはできません。
国外ではシベリアなどの寒冷地に自生していて、シベリアからの渡り鳥によって種子が運ばれ北海道に自生したと言われています。
現在は北海道内の群生地も減り、ほとんどが栽培されたもので品種改良も行われています。
旬の時期は?
6月上旬~8月中旬の初夏から夏に旬を迎えるハスカップは、皮がやわらかくとてもデリケートな果実のため流通に適していません。
生のハスカップが市場に出回るのはかなりまれで、旬の時期に栽培地付近の直売所や道の駅で見かけることがあります。
なぜ不老長寿の果実と言われるのか
ハスカップは不老長寿の秘薬と言われています。老化防止に効果的な抗酸化成分を含むビタミンE、C、アントシアニンに加え、カルシウム、鉄など他の食物とは比べものにならないほど多くの栄養成分を含んでおり、このことから「不老長寿」という表現が使われるのではないでしょうか。
ハスカップはどんな味がする?
酸味がやや強めで甘酸っぱい味のハスカップは皮が薄くて食べやすく、水分が多いため味が口いっぱいに広がります。
まれに感じる苦味の成分はロガニンといい、生薬としても利用されています。
野生種は苦く渋いため、生食用として甘みを感じるよう品種改良がおこなわれましたが、土壌の影響を受けやすく同じ農園内でも微妙に味が変わることがあります。
ハスカップとブルーベリーとの違い
同じ青紫色の果実であるブルーベリーとよく比較されますが違いはたくさんあります。
形は、ブルーベリーがころころの球体なのに対して、ハスカップは丸みを帯びた円すい形で花のつぼみのような形をしています。
味は、ハスカップの方がブルーベリーより酸味や甘みが強く味は濃く感じますが、後味はスッキリしています。
栄養成分を比較すると、ハスカップはアントシアニンの含有量がブルーベリーの3~10倍とも言われていて、ビタミンE、Cも含めて抗酸化成分という点ではハスカップのほうが圧倒的に優秀です。
ハスカップに含まれる栄養素とその効果・効能
ビタミンE
ハスカップは特にビタミンEが豊富で、不老長寿の果実と言われる一因となっています。
ビタミンEの抗酸化作用が細胞をさびつかせる活性酸素を除去します。
ビタミンC
ビタミンCはビタミンEとともに摂取すると抗酸化作用を高める働きがあります。
ビタミンEは、活性酸素を除去するとその力がなくなってしまいますが、ビタミンCはビタミンEを元に戻す働きがあり、ビタミンCによって復活したビタミンEは、また新たな活性酸素を除去できるようになるため、ビタミンEがより効果的に働けるようになります。
アントシアニン
ポリフェノールの一種で目の疲れや視力の向上に効果的だと言われており、活性酸素を抑制する効能があると近年の研究によりわかってきています。
カルシウム
ハスカップには骨や歯の主要な構成成分になるカルシウムが豊富に含まれています。骨の中のカルシウムが不足すると、骨がスポンジのようにスカスカになる骨粗しょう症を引き起こしてしまいます。
おいしいハスカップの選び方・見分け方
完熟したおいしいハスカップは、粒がふっくらと大きく皮の色が青紫色に濃く熟れ、表面は粉がふいたように白くなっています。
表面を覆っている白い粉は、ブルーム(果粉)というもので果実の水分蒸発を防ぎ、病気などから果実を保護しています。ブルームが付いているものは鮮度がよい証拠です。

ブルームが付いた新鮮なハスカップ
ハスカップのおいしい食べ方
生でそのまま
生のハスカップが手に入った場合は、あまり日持ちがしないので新鮮なうちに食べましょう。
例えば、ケーキやゼリーのトッピングにしたり、ヨーグルトやアイスに混ぜて食べてみてはいかがでしょうか。
また、ミキサーにかけて生ジュースや、他の野菜や果物と一緒にスムージーにしてもおいしくいただけます。
冷凍すると日持ちするので、必要な時に使うことができて便利です。
酢漬けや塩漬け
ハスカップの酢漬けや塩漬けは長期保存に適していて、特に塩漬けは冷蔵庫のない時代から保存食として重宝され、近年でも梅干しの代わりにおにぎりの具にしたり料理に使ったりするなど、ご飯のお供として長い間食べ続けられてきました。
酢漬けにしたハスカップは、実をそのまま食べても、酢をドリンクとして炭酸水やアルコール類と割って飲んでも楽しめます。
ハスカップの塩漬け
【材料】
・ハスカップ…200g
・塩…15g
・砂糖…ひとつまみ
【作り方】
1. 材料を密封容器に入れまんべんなく混ぜ合わせ、3日ほど漬けます。
アイヌ民族の食文化として残る「ハスカップ飯」レシピ
【材料】
・ハスカップの塩漬け…45g
・米…3合
・酒…10g
・昆布…1/2本(10g)
【作り方】
1. 米をといで炊飯器に入れます。水は3合に合わせて入れ、ハスカップ、酒を加えスプーンなどでよく混ぜます。
2. 昆布を上に乗せて30分ほどおき普通炊きします。炊き上がったら昆布を取りしゃもじで混ぜます。
※ ご飯の塩味が強く感じたら、ハスカップの塩漬けの量を調整して下さい。
ハスカップの砂糖漬け
【材料】
・ハスカップ…200g
・砂糖…150g
・塩…15g
・酢…5g
【作り方】
1. ハスカップと砂糖を混ぜ3~4日冷蔵庫で保存したらろ過します(こした液はジュースになります)。
2. 残ったハスカップに塩と酢を加えなじませます。
お菓子など
ハスカップをジャムにしてクッキーに挟んだりするほか、ハスカップソースにしてもお菓子作りに重宝します。
北海道ではハスカップを使用したお菓子やスイーツなどがたくさん販売されています。おすすめをいくつかご紹介します。
三星(みつぼし)
①よいとまけ ②ジュレノルド ③ゆのみのんの

画像提供:三星
他にもハスカップを使った洋菓子や和菓子があり、冷凍したハスカップの実なども販売しています。
もりもと
①ハスカップジュエリー ②太陽いっぱいのハスカップゼリー ③北の散歩道

画像提供:もりもと
この他にもクッキーやブッセなど、ハスカップを使ったお菓子があります。
ハスカップカフェLabo
ハスカップサンデー

画像提供:ハスカップカフェLabo
ハスカップ生産者・山口農園(厚真町)のカフェでいただけます。ハスカップを使ったクレープやソフト、スムージーなども楽しめます。
ハスカップは栄養価の高い果実! 北海道を訪れたらお土産に選ぼう
ハスカップの花言葉は「愛の契り」。二つの花が一つになって実を結ぶことに由来しています。
そんなロマンチックなハスカップは、近年の研究で果実だけでなく葉においても新たな用途が見いだされたそうです。未知の可能性を秘めた果実ハスカップの研究は今後も進み、価値はますます高まっていくでしょう。
北海道の歴史とともに歩んできたハスカップ。今では北海道を代表する果実になりました。北海道を訪れた際には、ハスカップを使ったお土産を選べば喜んでもらえること間違いなしでしょう!
監修:日本野菜ソムリエ協会