野菜は見た目が9割?! 規格外品の販売について考える【直売所プロフェッショナル#28】

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野菜は見た目が9割?! 規格外品の販売について考える【直売所プロフェッショナル#28】

連載企画:直売所プロフェッショナル

野菜は見た目が9割?! 規格外品の販売について考える【直売所プロフェッショナル#28】
最終更新日:2020年08月17日

直売所を複数展開する民間ベンチャーの創業者たちが、直売所運営のイロハについて事例をまじえて紹介していく連載。第28回は、直売所においては位置付けが難しいB品、規格外品の販売について。

長雨、日照不足により、散々な7月

今年(2020年)の7月は全国的に長雨が続き、農家にとっても厳しい月となりました。日照不足や長雨の影響で生育が遅れるのはもちろん、畑で腐ってしまったり、病気が出てしまったりと収量が激減。私たちの直売所でも、本来夏野菜の最盛期であるにもかかわらず、店頭に並ぶ野菜の量が少なく寂しい、という日々が続きました。

また、果菜類を中心に、傷モノや曲がりといった野菜も多数出ました。病気が出てしまった野菜を売るのは難しいですが、少し傷があるものや大きく曲がった野菜などは、「規格外品」として販売することもできます。当社でも、一部そういった野菜も引き取り、販売しています。とはいえ、規格外品の販売はとてもデリケートで難しいこと。今回は、改めて規格外品について考えてみたいと思います。

長雨の影響は各所に

「キレイ」な野菜が売れる、という事実

スーパーなどでお客様が野菜を買う様子を見てみると、多くの人が野菜を手に取ってはよく見て、ときに押したりしながら選んでいます。野菜を取り扱う私としては、自信を持って揃えている野菜なのでパッと取ったらよいのに、といつも思います。野菜は人が触れば(特に強く触ると)劣化していきますので、正直やめてほしいとさえ思います。

でも、お客様は選びます。何を見ているのかというと、多くの人は「キレイさ」を見ているのだと思います。例えばキュウリを買う場合、多くの人は傷がないか、真っすぐか、大きさはどうか、を見ているのではないでしょうか。それによって味が大きく違うことはないと分かっていても、なるべくキレイなものを探してしまうことが多いと思います。

これは、確かに合理的な行動です。一般論としては、同じ圃場(ほじょう)で育った野菜であれば順調に育ったものはキレイに仕上がりやすいですし、調理をする際には傷がある部分を取り除くなどの手間もありません。野菜が傷むときには傷がある場所から広がることが多いので、キレイなものの方が家庭での保存性も良いでしょう。また、農家に注目しても、キレイな野菜を出荷する農家は丁寧に栽培をしている可能性が高く、結果としておいしい野菜を選ぶ可能性も高まると思います。つまり、一般的なスーパーなどの限られた情報しかない中で野菜を選ぶ場合、「キレイさ」を基準として野菜を選ぶことで、おいしくて保存性の良いものを選びやすくなるのです。

「キレイ」な野菜は選ばれやすい

とはいえ、半分は人工物であり、半分は自然物という特殊な商品である野菜。「キレイさ」ばかりをシビアに求めるのは、あまり健全でないように思います(参照:直売所は「加点式」。スーパーマーケットにならないで!【直売所プロフェッショナル#08】)。野菜には、「キレイさ」以外にもさまざまな魅力があるからです。お客様によっては多少の虫食いがあっても農薬不使用のものが良いという人もいるかもしれませんし、小さくても化学肥料を使用していないものを求める人もいるかもしれません。スーパーには出回っていない大きいキュウリが好きな人もいるでしょう。一般的には同じ条件で育った野菜であれば「キレイ」なものを選ぶ方が合理的であるといえますが、「キレイさ」では劣るものの、商品として価値のある野菜というのはたくさんあります。このような野菜を、本稿では「規格外品」と呼びます。「規格外品」の販売は、一般的な売り場ではきちんと考えないと問題も発生します。そして、直売所においては、あちこちで「問題」が発生しているように思います。

規格外品とその魅力、問題

まず、「規格外品」とは何かですが、ここでは以下の2つを満たすことを条件として考えます。

  1. 食味が著しく低くないこと
  2. 食べられない部分がないこと

まず、規格外品とはいえ、おいしいものでなければなりません。食味が極端に悪いものは規格外品ではなく、粗悪品です。また、一部傷みがあって食べられない部分がある場合も同様です。ここでの規格外品は、カタチが悪い、サイズの大小、乾いた傷や虫食いがある、などと考えてもらえればと思います。つまり、キレイではないけれどおいしい野菜、というイメージです。

では、規格外品の魅力は何でしょうか。多くの場合、「価格」だと思います。規格外ということで、通常の(つまりキレイな)野菜よりも安く販売されるため、安いならこちらでもよいと選ぶお客様が多いでしょう。野菜は、多くのお客様が10円単位の価格差を気にする商品ですので、価格で差別化できるのは店にとって魅力的です。特に、市場流通との相性や商品管理の手間を考えると、スーパーよりも直売所に向く商材です。また、農家としてもとれた野菜は安くても売れれば、捨てるよりはお金になるということでメリットを感じる人も多いです。このように、直売所での規格外品販売は関わる人みんなにとって良い結果をもたらすのです……という簡単な話にはなりません。

なぜなら、規格外品を安く売ることは、ただの安売りの推奨になりかねないからです。以前にも書いた通り(野菜の価格は自分たちで決める! なぜ、国分寺の若手農家グループは安売りと無縁なのか?【直売所プロフェッショナル#19】)、安売りは短期的にはお客様の支持を得たとしても、中長期的にはやる気のある品質の高い農家の離脱を促します。離脱とまではいかなくても、品質の高い野菜を最初に出す売り場ではなくなります。また、規格外品はきちんとその情報を伝えて販売しなければ、お客様に不満足を感じさせてしまう可能性もあります。

このように、ただ規格外品を安く販売する、というのは問題が多いのです。

大きいキュウリを求めるお客様も多い

規格外品を販売するなら、直売所にルールと覚悟が必要

とはいえ、規格外品は全部売らない、というのは農家と消費者が近い直売所の特性を考えるともったいないのも確かです。直売所での極端な値崩れを起こさないようにしながら、店の一つの魅力として少し安価な規格外品を販売するにはどうすればよいのでしょうか。当店でもまだ十分にできているわけではありませんが、以下の3点が重要だと考えています。

  1. 規格外品こそ、品質を管理する
  2. 規格外品の割合を管理する
  3. お客様に対して、規格外品であることをハッキリと示す

規格外品というのは、とても曖昧です。だからこそ、一定のルールを作るか、スタッフが日々出荷者とすり合わせを続けるかのどちらかを通じて、品質を管理する必要があります。規格外品というと、出荷者によっては安くすればなんでもいいと考えてしまう人も出てきますので、注意が必要です。

また、規格外品の割合を管理することも重要です。ルールを作るのは難しいと思いますので、通常時であれば大体このくらい、というなんとなくの割合を考えておきます。そして、極端に増えるときには個別に出荷者に声をかけるなどして、規格外品が増えすぎないようにするのです。例えば、今年の7月のような状況であれば、そもそも正規品の収量が大きく減少していたため、規格外品も積極的に販売するのが良かったでしょう。規格外品をどのくらい受け入れるかは、臨機応変に運用する必要があると思います。

規格外品であることを明確にお客様に伝えることも重要です。農家や直売所のスタッフからすると、「安いのには理由があるのだから、規格外品なんて見た目でわかるでしょ」と思うかもしれませんが、そのようなことはお客様には伝わらないものです。規格外品であることがきちんと伝わるようにすることが重要です。

このように、規格外品を安く販売しながら、直売所のイメージや価格を維持するのは、それなりの手間がかかることです。でも、スーパーなどの量販店との差別化要因にもなりますし、農家のことを考えるとある程度は販売することは重要でしょう。ただの安売りほど簡単なことはありません。規格外品の販売は、直売所の腕の見せ所ともいえるかもしれません。

農家視点で規格外品を考えてみる

最後に、農家視点で規格外品を考えてみましょう。ただ安売りをすることは、自分の首を絞めることになります。直売所に出荷する魅力は、指名買いをするお客様が付くことでしょう。「この農家さんの野菜はおいしい!」と思ってもらえることほど、やりがいにつながることはないと思いますし、それはそのまま自身の売り上げにもつながります。短期で考えれば、規格外品を安くても売り切った方が売り上げは増えますが、中長期で見たときの信用を失うことによる損失も少なくありません。

ですので、規格外品を販売するとしても、自分なりの品質基準を持ち、お客様を失望させないことが大事です。また、安く売っている農家だという印象を持たれないように気をつけましょう。もしも庭先直売などを行っているようなら、規格外品はなるべくそちらで販売するというのも良いと思います。庭先の直売所は、規格外品を安く買えるイメージを持っている人も多いので、イメージダウンはあまりないはずです。

また、直売所の経営者としてはオススメできませんが、複数の直売所に出荷している場合には、規格外品を出荷する直売所を決めてしまい、その直売所では安いものを販売すると割り切るというのも、合理的な判断かもしれません。逆に、直売所としてはそのような販売先にならないような努力が求められるということでもあります。

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