畑の準備・肥培管理
レタスは過湿な土壌を嫌う作物のため、堆肥(たいひ)の投与を積極的に行い、保水性と排水性に優れた土づくりに努めてください。水田の後作では、過湿による根傷みを避けるため、畝を高くすることが大切です。整地やマルチ張りは前もって計画的に行い、畝の中は適切な土壌水分を保ちましょう。元肥の窒素成分は10平方メートル当たり100~150グラムを目安に、栽培期間の長い厳寒期どりでは200~250グラムと増量します。前作の残肥や土質などを考慮して調整してください。
レタスの播種(はしゅ)・育苗
200穴の「根巻防止セルトレイM型」(白色)に「タキイセル培土TM-1」などの園芸用培養土を入れ、1粒ずつタネをまきます。少量の栽培であれば6センチ程度のポリポットに2~3粒程度をまき、間引きして育苗するのもよいでしょう。レタスの種子は光を好むため、タネがわずかに隠れる程度に薄く覆土し、発芽まで土の表面が乾かないように注意します。発芽は20℃前後が適温で、25℃以上になると発芽率が低くなる場合があります。発芽するまでは風通しのよい日陰に置いてください。発芽後は徒長しやすいので、日当たり、風通しのよい場所に移して育苗します。
レタスの定植
本葉が4〜5枚になり、トレイやポットから抜いても根鉢が崩れず、ほどよく根がまわったころが定植時期の目安です。条間・株間はともに30センチ程度の2〜3条で、育苗の土がちょうど隠れるぐらいの深さで植えましょう。定植後はかん水を行いスムーズな活着を促します。
レタスの病害防除
夏から秋にかけてはタバコガの幼虫やアブラムシなどが発生しやすいので、定植時には農薬登録のある粒剤をあらかじめ圃場(ほじょう)に混和しておくとよいでしょう。台風など風雨で葉が傷んだ場合は、速やかに殺菌剤の薬剤散布を行ってください。
トンネル管理
レタスは結球が進んでくると、霜や寒さに弱くなります。11月以降の霜が降りる時期になってきたら、防寒や生育促進のためにビニールトンネルか不織布をベタがけで被覆をします。ビニールトンネルの場合、被覆直後は昼夜とも両すそ換気で霜害を防ぎ、結球前の外葉ができる時期は20~25℃、結球初期は20℃、肥大期は20~25℃を目標にします。
レタスの収穫
玉レタスの収穫の目安は、玉を軽く押して弾力のある状態が適期です。中が詰まりすぎて過熟になると苦みが増してしまうため、取り遅れないよう早めの収穫を心掛けます。
プロがお答え! 栽培Q&A
Q. レタス栽培でマルチ活用のコツは?
A. 作型によってマルチの色を使い分けることです。
レタスは温度や水分の急激な変化に敏感な品目です。マルチを利用することで土壌の湿度や温度の変化が緩やかになり、土のはね返りを防止することもでき、レタスを安定的に栽培することができます。
秋や冬の適温~低温期には黒マルチや緑マルチを使い地温を確保することで、生育が促進されます。一方、白マルチは光の反射性が高く、地温を抑制する効果があるため、10月どりなどの高温期に適します。ほかにも、銀色マルチはアブラムシやアザミウマの防虫効果が高く高温期の栽培に適します。
【直売所向け】ブリーダーこれがおすすめ夏冬品種
結球性に優れた夏のおすすめ
「サウザー」は気温が高い時期の栽培に適し、結球性に優れています。トウ立ちが遅く、変形球の発生も少ないので、幅広い作型で作りやすい品種です。
玉太りのよい冬のおすすめ
「バークレー」は玉太りのよい早生種で、年内や早春どりの作型に栽培しやすい品種です。食感は歯切れがよく、みずみずしさがあり、特に食味のよいことが特長です。
「レガシー」は、草勢旺盛で耐寒性に優れれる品種で、9~10月まきでトンネル被覆をして1~3月にかけて収穫できます。比較的ゆるやかに結球し、大玉に仕上がります。
サラダにも炒めにも! ロメインレタス
ロメインレタスは玉レタスと比べ、葉に厚みがあり食べごたえのある食感で、ほのかな甘みと苦みがあります。ハクサイに似た形をしており、「シーザーサラダ」に使われるレタスです。肉厚で炒め物にも適します。
春~初夏どり、秋~晩秋どりの、より低温肥大性が求められる作型では「ロマリア」が適します。収穫時には頭の部分が軽く結球し、中の葉がやわらかくなり甘みが増します。気温が高い夏どり、秋どりの作型には晩抽(ばんちゅう)性と耐暑性が優れる「晩抽ロマリア」をおすすめします。葉の枚数が多く、肉厚でパリッとした食感になります。
大人の味わい「ワインドレス」の栽培ポイント
「ワインドレス」は鮮やかなワインレッドの葉の色が特徴的なリーフレタスで、緑が主体の直売所の野菜売り場をとても華やかにしてくれます。コンパクトな草姿のため、プランターなどの小面積でも栽培が可能です。
トウ立ちは比較的早い品種ですから、高温期の栽培は避け、適温期から低温期の作型で栽培を行うようにしてください。また、発色をよくする栽培ポイントは、株間を広めにとり、日光をよく当て通風をよくすることが重要です。
執筆:タキイ種苗 新井 真琴(あらい まこと)