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災害にも負けない田んぼに大改造、収穫しやすくする独自の方法とは

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

災害にも負けない田んぼに大改造、収穫しやすくする独自の方法とは

さまざまな自然災害で、農業が深刻な被害を受けることが多くなっている。大型台風もその一つ。とくに稲作は台風が上陸する時期と収穫期が重なるため、大きなリスクに直面している。台風にどう対処すべきなのか。沼南ファーム(千葉県柏市)の橋本英介(はしもと・えいすけ)さんに聞いた。

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経営の効率化を実現するも、予期せぬ損害

沼南ファームは栽培面積が114ヘクタール。1年前と比べ、6ヘクタール増えた。稲作の有力な担い手と地域で認められており、規模は今後も大きくなり続ける見通しだ。200ヘクタールに達することも視野に入っている。
順調に規模を拡大する一方で、売り方はここ数年で大きく変わった。変化の一つは、農協への出荷が始まったことだ。以前は地元の飲食店や病院、直売所、コメ卸などに自ら売っていたため、農協とは疎遠だった。
ところが2、3年前に農協から「播種(はしゅ)前契約でコメを売ってほしい」という話が来た。買い入れるコメの量と値段を、その年の作付け前に決めておく取引方法だ。大型の農業法人から安定的に調達したいという農協のニーズが背景にある。沼南ファームの農協向け出荷は現在、1割近くを占める。
もう一つの変化は「フレコン」という袋を使い、1トン単位で出荷する設備を2019年に導入したことだ。以前は紙袋に30キロずつ入れて出荷していた。フレコンの導入により、コメを乾燥させ、袋詰めして出荷するまでを担当するスタッフの人数を、5人から2人に減らすことができた。

沼南ファームが販売しているコメ

沼南ファームが販売しているコメ

2019年は経営効率を抜本的に高める年になるはずだった。ところが収穫と出荷が中盤にさしかかっていたころに、予想していなかった規模の災害が効率化の効果を吹き飛ばした。9月に千葉県を直撃した台風15号だ。
千葉県各地に甚大な被害をもたらしたこの台風の影響で、沼南ファームにも「かつて経験したことのないことが起きた」(橋本さん)。とくに損害を被ったのが飼料米だ。飼料米は収量が多いため、主力のコメと比べて茎が太い。そこで台風が来ることを見越し、風で倒れにくい飼料米が収穫の後半に回るように作付けしていた。だが15号の影響は想定をはるかに上回った。
橋本さんは台風が去ってしばらくして、異変に気づいたという。本来は青々としているはずの茎が、くすんだ色に変わっていたのだ。海水を含んだ風による塩害だ。稲が枯れてしまったことはわかっていたが、コンバインで収穫しようとしてみた。すると、もみが脱粒して田んぼにぽろぽろ落ちた。
その結果、飼料米の収量ががくんと減った。多いときで0.1ヘクタール当たり700キロを超す多収品種の収量が、被害の深刻な田んぼでは半分に減った。橋本さんによると、損害額は200万円を超えたという。
同じことがこれからも起きる可能性は十分にある。2020年は台風被害をいかに防ぐかが課題になった。

フレコンにコメを入れる機械

フレコンにコメを入れるための機械

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