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収量4割減でも黒字、コストをおさえる効率経営と災害対策で挑む「次の進化」

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

収量4割減でも黒字、コストをおさえる効率経営と災害対策で挑む「次の進化」

大きな自然災害が毎年のように襲うようになったことで、これまで合理的だと考えられていた農業経営も見直しを迫られている。茨城県龍ケ崎市で稲作を営む横田農場もその一つ。収穫期間を長く延ばすことで効率を高めているのが同社の特徴だが、その分、台風の被害を受けやすくなった。どうやって災害のリスクを減らそうとしているのか。横田修一(よこた・しゅういち)さんに聞いた。

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田植え機もコンバインも1台で大規模経営をこなす

横田農場は現在、栽培面積が160ヘクタール。2019年と比べると10ヘクタール増えた。地域で数少ない稲作の担い手として、引退する高齢農家の田んぼの受け皿になっており、2021年も10ヘクタールほど増える見通しだ。
経営の最大の特徴は日本の稲作の平均をはるかに上回る大規模経営にもかかわらず、田植え機とコンバインを1台ずつでこなしている点にある。使う機械が1台なのでその分、スタッフの人数を絞ることもできる。
それを可能にしているのが作期の分散だ。10種類のコメを作ることで田植えと稲刈りの期間をそれぞれ2カ月に延ばし、機械の数を増やさずに規模を拡大し続けている。
年々増える田んぼのどこにどの品種を植え、どの田んぼから栽培を始めるかを決めるのは簡単なことではない。横田農場は品種特性や田んぼの条件などを見ながら綿密な計画を立てることでそれを実現し、効率を高めてきた。

コンバイン

コンバイン1台で160ヘクタールをこなす

2019年はこうして組み立ててきた栽培計画を、見直すためのきっかけの年になった。9月に関東各地を襲った台風15号をはじめとし、この年は大型の台風がいくつも日本に上陸し、栽培ハウスの損壊など農業に深刻な被害をもたらした。横田農場もその例外ではなかった。

稲作の場合、台風の被害は多岐にわたる。早い時期に風で倒されると、穂が十分に実らなくなる。実り始めてから倒伏すると、発芽してしまう恐れがある。茎が強い品種だと、倒伏は免れても強風でモミが田に落ちてしまうことがある。収穫にこぎ着けても、生育不良でモミの中が空っぽのケースもある。
横田さんによると、「2019年は台風で想定される被害のすべてが起きた」という。その結果、収穫量は予定していた分の6割にとどまった。横田農場は大面積をこなすために日々の作業計画がびっしり詰まっているため、一つの作業が遅れると、後に続く作業に次々に影響してしまうという側面もある。

かつてない被害の大きさを前に、横田さんは赤字を覚悟したという。ところが決算を締めてみると、十分に利益が出ていた。横田さんは「うちより面積が4割少ない農場と、同じコストで経営できているということだと思う」と話す。2019年は横田農場の効率の高さを確認できた年でもあったのだ。
だからと言って、もうやるべきことはないと満足しているわけでは当然ない。2020年は台風に備え、さまざまな新しいことにチャレンジした。

横田農場のライスセンター

横田農場のライスセンター

災害が起きても収量を確保する数々の工夫とは

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