いらない田舎の土地を所有するデメリット5つ
田舎の土地を相続したものの活用せずに放置しているという方もいらっしゃるでしょう。
土地を活用できていないこと自体も機会損失といえますが、単に所有しているというだけでも以下のようなデメリットが生じます。
- 固定資産税がかかる
- 管理費や手間がかかる
- 近隣トラブルが起きる可能性がある
- 損害賠償が必要になるケースも
- 次世代に負の遺産を引き継ぐことになる
固定資産税がかかる
いらない田舎の土地には、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税が課されます。もちろん、活用せずに所有しているだけの土地であっても同様です。
また、固定資産税は土地に建物があると最大で6分の1に軽減となる特例がありますが、建物のない土地ではこうした特例は受けられません。
管理費や手間がかかる
いらない田舎の土地を放置していると、近隣トラブルなどさまざまな問題を引き起こす可能性があるため、所有し続けるのであれば定期的な管理が必要です。
例えば、月に1回足を運んで草刈りをするといった手間が生じます。もちろん、業者などに任せることもできますが、その場合、管理のための費用を捻出しなければなりません。
損害賠償が必要になるケースも
いらない田舎の土地に老朽化した建物がある場合は、建物の崩壊により通行人がケガをする危険性があります。また、建物がない場合でも斜面の崩落などで他者への被害をもたらすことも考えられるでしょう。
こうした被害があった場合、所有者の管理責任が問われます。管理責任を果たしていないことが原因だった場合には、損害賠償を請求される可能性もあるため、土地の管理には細心の注意が必要です。
次世代に負の遺産を引き継ぐことになる
売却も活用もできない田舎の土地は、次世代にとって「負の遺産」となり、経済面・労力面で大きな負担を引き継ぐことになります。
所有しているだけで土地の維持費や税金は支払い続けなければならず、管理の手間や近隣トラブルにも見舞われるかもしれません。
また、相続が発生した際には、土地所有権の問題で親戚間トラブルに繋がることも考えられるでしょう。負の遺産の相続は、相続人の人間関係や精神面にも大きな影響を与えかねません。
すでに田舎の土地を相続している場合は、子や孫世代に問題を先送りしないためにも、早い段階から処分方法を検討しておきましょう。
不動産会社に「いらない」と言われる土地の特徴とは?
不動産会社は、不動産の売買を成立させたときにその成功報酬として仲介手数料を受け取ります。
そのため、売却活動を行っても買主を見つけにくい物件は、不動産会社が積極的に販売活動に取り組んでくれない可能性があります。
不動産会社にもいらないと言われやすい土地には、以下3つのような特徴を持っている場合が多いです。
- 立地が悪い
- 道路に面していない
- ライフラインが整っていない
立地が悪い
土地の売却において立地の良さは非常に重要です。
土地を購入する側はその土地に住宅を建てて住んだり、アパートやマンションを建てて賃貸に出すなどの投資用物件にしたりするからです。確かに、たとえ田舎の土地であっても、太陽光発電への投資やトランクルームなどの土地活用の方法はあります。
しかし他の土地と比べると活用の方法が限られており、いらないと判断されることが多いのです。
道路に面していない(無道路地)
立地に関連して、道路に面していない土地(無道路地)の場合、土地の価格が安くなり、買い手が付きにくい傾向にあります。
特に田舎の土地で、かつ無道路地の場合は非常に人気の無い物件でもあります。建築基準法で定められた「接道義務」により、建物の建て替えや再建築が認められず、投資で用いるにしても活用の方法が限られてしまうためです。
自身の所有している田舎の土地が無道路地かどうかについては不動産会社に直接相談する、もしくは自治体の窓口でも相談可能となっています。
ライフラインが整っていない
水道や電気などのライフラインが整っていない土地に関してもいらないと判断されることが多いです。
仮にこれらが整っていない土地に建物を建てようとすると、自前で設備を整えなければならなくなります。
こうしたライフライン設備の導入には数百万円の費用がかかることもあるため、ライフラインが整っていない土地は売れにくいのです。
いらない田舎の土地を手放す方法6選
いらない田舎の土地を手放すには、以下5通りの方法があります。
- 相続する前の相続放棄
- 自治体や個人・法人への寄付
- 相続土地国庫帰属制度の利用
- 空き家バンクへの登録
- 不動産会社・買取業者への売却
相続する前の相続放棄
田舎の土地がいらない場合、相続する前であれば相続放棄することが可能です。
相続の開始した日から3ヵ月以内に相続放棄の手続きをすれば、いらない土地を相続することなく手放せます。
ただし、相続放棄は、土地だけでなく全ての財産を放棄することになります。
土地以外にも相続財産がある場合は、他の財産とのバランスや利益を考慮して慎重に考える必要があるでしょう。
自治体や個人・法人への寄付
つぎに、自治体や個人・法人へ寄付する方法が考えられます。
しかし、その土地に利用価値がなければ、自治体は受け取ってくれることは無く、対象の土地に活用の見込みがなければ、寄付を受けるメリットが個人や法人にもありません。
また、法人に寄付した場合、寄付した側には所得税が、寄付された法人には法人税が課される点にも注意が必要です。農地の寄付については以下の記事も参考にしてください。
関連リンク:土地を自治体へ寄贈する場合は必ず引き取ってもらえる?寄付の方法も解説
相続土地国庫帰属制度の利用
相続土地国庫帰属制度とは、令和5年5月27日に開始された、一定要件を満たした土地を国に返却できる制度です。
全ての財産を放棄する必要がある相続放棄と異なり、いらない田舎の土地のみを手放せるようになるため、他に相続したい財産がある方には良い選択肢と言えるでしょう。
ただし、相続土地国庫帰属制度は要件が厳しく、以下のような土地は引き取ってもらえません。
【相続土地国庫帰属制度が利用できない土地】
- 建物がある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
- 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
- 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
- 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
- その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
引用:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00461.html
また、審査料として土地一筆あたり14,000円がかかり、審査通過後の負担金は20万円からが基本。土地の面積や条件によってはそれ以上になるケースも多く、実際に利用するのは難しいのが現状です。
参考文献:
相続土地国庫帰属制度の概要
相続土地国庫帰属制度に関するQ&A
空き家バンクへ登録
空き家バンクとは、各地域の自治体が運営する空き家や家屋付き土地のマッチングプラットフォームです。
空き家バンクへ登録すれば、移住希望者向けに広く情報を発信してくれるため、買い手が見つかる可能性があります。無料で利用できて、不動産会社などに断られた土地にも対応しているため、いらない田舎の土地に困っているのであれば、登録しておくのがおすすめです。
ただ、空き家バンクは非営利サービスのため積極的な販売促進はしておらず、買い手を見つけるには長期的な時間がかかります。いらない田舎の土地を一刻も早く手放したい場合は、別の処分方法も検討する必要があるでしょう。
不動産会社・買取業者への売却
いらない田舎の土地のもっとも理想的な処分方法は、不動産会社の仲介や直接買取、また専門業者に売却することです。
ただし田舎の土地は需要が低く、なかなか買い手が見つからないだけでなく、土地の価値が低ければ不動産会社もあまり積極的に取り扱ってくれない可能性が高いでしょう。
とはいえ、最初から売却を諦めるのは損なため、まずは売却できる可能性はあるのか、不動産会社や相続サポートサービスに相談することをおすすめします。
不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社から査定を受けられます。
売却したい土地の魅力を判定し、高値で売却してくれる不動産会社を見つけるのに役立ちます。
不動産一括査定サイトのリビンマッチであれば全国約1,700社の中から最大6社の不動産会社の査定額の提示を受けられるため、土地などの不動産の売却を考える際におすすめです。
また、売却できる可能性はあるのか、相続サポートサービスに相談することもおすすめです。
相続問題のサポートサービス「ココカラ相続」では、司法書士や土地家屋調査といった相続のプロによる相談を無料で受けられます。
土地の状況によって、最適なアドバイスをもらえますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
なお、ココカラ相続については以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はあわせてご覧ください。
田舎の土地の特徴を把握して上手に活用しよう
いらない田舎の土地の取り扱いについてご紹介してきました。
活用しないままの土地は保有しているだけでもさまざまなデメリットがあるため、売却や活用など何らかの対策を講じることをおすすめします。立地や建物の有無など、その特徴を把握して上手に活用していくことが大切です。
土地によっては売却が難しい場合がありますが、、客観的な意見を取り入れるためにもまずは一度利用してみてはいかがでしょうか。