農地転用とは?費用をかければ転用できる農地とできない農地について
農地転用とは、農地を農地以外のものに転用することです。
畑を宅地に転用して、家を建てるようなケースを考えるとよいでしょう。もちろん、農地を宅地以外の土地に転用する場合も農地転用に該当します。
農地は地目でいうと「田」「畑」が該当しますが、現況が農地であれば地目が「田」や「畑」でなくても農地として見なされます。
なお、農地転用をする際は農業委員会等からの許可(もしくは届け出)を得て行う必要があり、許可なく行った農地転用には罰則があります。
また、農地によっては農地転用ができないケースもあるので注意が必要です。
農地転用できる農地
農地転用ができるのは、以下の農地です。
- 第2種農地
- 第3種農地
それぞれについて見ていきましょう。
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第2種農地
第2種農地とは市街化が見込まれる農地または生産性の低い農地として分類される農地のことで、具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 駅や役所、官公庁から500m以内にある農地
- 規模が10ha未満で市街化区域から500m以内にある農地
ただし第2種農地は、代替性(他の土地でも目的を達せられる)があると判断された場合は農地転用の許可が下りません。
例えば、農地を転用して家を建てようと計画している場合、農地Aと同じ広さの雑種地Bがあるようなケースでは、「雑種地Bを利用できるのであれば、農地Aを転用する必要がない」と判断されるのです。
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第3種農地
第3種農地とは、市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地のことで、政令で定めるものです。
具体的には、以下のような農地が該当します。
- 上下水道やガス管などが2種類以上埋設されており、500m以内に一定の公共施設がある
- 駅や役所、官公庁から300m以内
- 用途地域が定められている
第3種農地は、基本的には条件をクリアしていれば農地転用が可能ですが、あまり事例がありません。
農地転用ができない農地
農地転用ができない農地は、以下のようなものが挙げられます。
- 農用地区域内農地
- 甲種農地
- 第1種農地
これらは特に農業に適した条件を備えている土地とされており、原則として農地転用の許可を得ることはできません。
ただし、例外的に許可されるケースがあるため、農業委員会や行政書士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
農地転用ができない農地については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連リンク:農地転用ができない!できる土地との違いや活用方法を紹介
農地転用の手続きパターンと費用の目安
農地転用の手続きにはどのようなものがあり、またどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、農地転用の手続きパターンと費用の目安を見ていきます。
農地転用の手続きには「届出」と「許可」がある
農地転用の手続きには、「許可」を取る必要があるケースと「届出」で済むケースがあります。
具体的には、市街化区域内にある農地の場合は農業委員会に届け出ることで転用が可能です。
なお、農業委員会ごとに毎月締切があるため、締切に間に合うように書類を準備する必要があります。書類の提出から1週間程度で回答を得られますが、締切に間に合わなかった場合は転用が1ヶ月ほど遅れることになります。
一方、市街化調整区域にある農地の転用は、都道府県知事の許可が必要です。
許可申請は農業委員会を経由して都道府県に提出され、1ヶ月半ほどで結果が出ます。
届出や許可自体に費用はかかりませんが、提出に必要な書類を揃えるのに手数料がかかり、行政書士などに代行してもらう場合は別途報酬を支払う必要があります。
申請の内容にもよりますが、届出の場合は5万円程度、許可の場合は10万円程度と考えておくとよいでしょう。
農地法4条と5条について
農地転用では、農地法の4条と5条のいずれかに沿って手続きを行う必要があります。
それぞれ罰則があるため、内容を正しく把握して手続きを進めるようにしましょう。
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権利者が農地を転用する場合は農地法4条
農地法4条は、自らの農地を農地以外に転用する際に適用されます。
農家が自分の持っている農地を宅地に転用するケースを考えるとよいでしょう。
行政書士に代行してもらう場合、届出は3万~5万円程度、許可は7万~10万円程度の費用が必要です。
農地法4条では、許可なく建物を建てた場合、契約自体は有効ですが、工事停止命令や原状復帰命令が下される可能性があります。
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転用目的で農地を売買する場合は農地法5条
農地法5条は、農地を農地以外に転用し、所有権を移転する場合に適用されます。
家を建てる目的で農地を購入するようなケースです。
行政書士に代行してもらう場合、届出は3万~5万円程度、許可は7万~10万円程度の費用がかかるほか、所有権移転登記の費用も必要です。
農地法5条では、無許可で建物を建てるとその契約自体が無効となり、工事停止命令や原状復帰命令が下される可能性があります。
農地法については、以下記事で詳しく解説しています。
関連リンク:農地法とはどんな法律?農地オーナーにわかりやすく解説!
農地転用の費用の内訳と必要書類
ここからは、農地転用の費用の内訳と必要書類について見ていきましょう。
申請書類を揃える際にかかる費用
農地転用の際、届出や許可自体には費用はかかりませんが、各種申請書類を揃えるのに手数料が発生します。
具体的には、以下のようなものがあります。
なお、その他書類にかかる費用は地域や内容によっても異なりますが、住民票を揃える程度の費用で済む場合もあれば、20万円以上の費用がかかる場合もあります。特に、測量が必要なケースなどでは高額になることが予想されます。
通常の申請であれば大きな費用がかかることは少ないですが、特殊なケース(農振地域から除外する場合など)では費用が大きく加算されることもある点に注意しましょう。
さらに、行政書士などに申請を代行してもらう場合は、別途報酬を支払う必要があります。
依頼する行政書士によりますが、3万~10万円程度と考えておくとよいでしょう。
ソーラーシェアリングの手続きの場合
ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立てて上部に太陽光発電システムを設置し、農業と太陽光発電を同時に行うことです。
ソーラーシェアリングは、農地を一時転用するという扱いになり、農地転用費用に加えて以下のような費用がかかります。
農業委員会関係の手続きは行政書士などの専門家に依頼し、電力会社や設備認定の手続きは太陽光発電業者などに代行してもらうのが一般的で、それぞれ別途費用がかかります。
農地転用費用の負担者と必要経費の計算方法
最後に、農地転用費用の負担者と必要経費の計算方法について見ていきましょう。
農地転用の費用負担は決まっていない
農地を転用して家を建てるようなケースでは、農地転用費用は買主と売主のどちらが負担するのでしょうか。
実は、農地転用費用は売主と買主のどちらが負担しても構いません。
一般的には所有権移転費用を買主が負担するケースが多いため、農地転用費用も買主が負担することが多いです。
農地転用費用のほか、所有権移転登記費用や抵当権設定登記費用など含めると買主の負担は40万~50万円程度になることもあります。
売主は、これらの費用を自分が負担する可能性もあるので、事前に見積もりを取っておくとよいでしょう。
農地を売却しようとしても、なかなか買主が見つからないこともあります。
そのような場合は、不動産査定一括サイトであるリビンマッチの利用がおすすめです。
農地を売却する際は、農地売却を得意とする不動産会社を見つけることが重要ですが、不動産売却の経験の浅い方が、そのような不動産会社を見つけるのは難しいでしょう。
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農地転用費用の必要経費の計算
農地を売却して利益を得た場合は、翌年の2月16日~3月15日に確定申告をして所得税と住民税を納める必要があります。
その際、農地転用費用のうち「土地改良区域除外決済金」については、必要経費として計上が可能です。
なお、農地を売却した際の譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。
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課税譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)
納税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
土地改良区域除外決済金は、上記の「譲渡費用」に計上できます。
ただし、譲渡費用とするには以下の条件を満たしていなければなりません。
- 転用目的での譲渡で土地改良区に支払われたもの
- 決算の時点ですでに支払い義務が生じていた決算年度以前の年度に係る賦課均等の未納入金ではないもの
農地転用にかかる費用を理解して準備をスムーズに行おう
農地転用はそれぞれの状況に応じた手続きが必要であり、また一定の費用がかかります。
農地を売却する場合、その費用は一般的に買主が負担しますが、そのような決まりがあるわけではないので、場合によって費用は売主負担となることもあるでしょう。
農地の売却を考えている方は、本記事を参考に農地転用費用について把握しておくことをおすすめします。
農地に限らず、不動産の売却では複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
同じプロでも不動産会社によって査定額が異なりますし、それぞれ得意とする不動産も異なるからです。
しかし、複数の不動産会社にそれぞれ問い合わるのは手間と時間がかかります。
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