田舎の土地の値段・相場はどれくらい?
田舎の土地は都心部に比べて情報が少なくなりがちのため、具体的な値段や相場は把握しづらいという特徴があります。
住宅街や都心部などの一般的な土地であれば、不動産ポータルサイトを利用して近くの売却物件を調べることで、大体の値段・相場が判明します。
しかし、住宅が少ない田舎では調べる対象が少ない(過去の売却情報などが少ない)ため、値段・相場が把握しづらくなっているのです。
また、相場が分かりづらくなる他の理由として、田舎の土地は面積が広いという点も挙げられます。土地の値段・相場は坪単価で計算するのが一般的ですが、面積が広すぎると坪単価での計算が難しくなるためです。
田舎の土地の値段・相場を調べる方法
田舎の土地の値段は調べにくいのが実情ですが、実際に調べる方法はあります。下記では代表的な調べ方を三つご紹介します。
- 固定資産税評価額
- 取引価格情報
- 地価公示・都道府県地価調査
田舎の土地の値段・相場を調べる方法1「固定資産税評価額」
田舎の土地の値段・相場を調べる際、比較的信頼性が高いのが固定資産税評価額を使って調べる方法です。
固定資産税評価額とは、主に固定資産税や都市計画税を算出するために利用されるもので、毎年1月1日時点の土地の所有者に送付される固定資産税納付通知書で確認ができます。
固定資産税評価額は市区町村から3年に1回評価替えをして公表されます。実際に売買が行われる額(実勢価格)は固定資産税評価額を70%で割った金額といわれているので、売却額を算出する際は固定資産税評価額を0.7で割って求めましょう。
例えば、固定資産税評価額が700万円の土地であれば「700万円÷0.7=1000万円」と計算します。ただし、固定資産税評価額を用いて計算した値段・相場は、あくまでも目安として捉えてください。
田舎の土地の値段・相場を調べる方法2「取引価格情報」
田舎の土地の値段・相場を調べる方法として、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)」の「取引価格情報」を参考にするのもおすすめです。
「不動産情報ライブラリ」とは、アンケート調査に基づいて、全国の不動産の土地価格が一覧になって表示されるサイト・システムのこと。地域をクリック・タップすることによって取引件数・取引価格などが表示されるようになっています。
不動産情報ライブラリはこちら
ただし、あくまでも金額はアンケート調査に基づいたものとなっており、地域によっては金額が表示されない場所も多い点には注意が必要です。
田舎の土地の値段・相場を調べる方法3「地価公示・都道府県地価調査」
三つ目にご紹介するのが「地価公示・都道府県地価調査」での価格を参考にする方法です。
地価公示 | 国土交通省が設定・発表する、その年の1月1日時点における地価のこと。 |
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都道府県地価調査 | 各都道府県知事が定める、その年の7月1日時点における1㎡当たりの価格のこと |
方法2同様、国土交通省が提供する下記のサイトで、地価公示と都道府県地価調査の結果を把握することが可能になります。
不動産情報ライブラリはこちら
※「不動産取引価格情報検索」、「地価公示 都道府県地価調査」は、2024年4月1日より、不動産情報ライブラリに統合されました。
田んぼや畑など農地の値段・相場を調べる方法
田んぼや畑などの値段・相場を調べる場合、農地の種類によって異なる方式を用いて算出します。
農地区分 | 値段・相場の評価方法 |
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純農地 | 倍率方式【固定資産税評価額 × 評価倍率】 |
中間農地 | 倍率方式【固定資産税評価額 × 評価倍率】 |
市街地農地 | 宅地比準方式【(その農地を宅地とした場合の1㎡あたりの価格 − 1㎡あたりの造成費)× 面積】 ※または倍率方式 |
市街地周辺農地 | その農地を市街地農地とした場合の80%相当 |
参考文献:国税庁「農地の評価方法」
表の項目中の「評価倍率」は地域や地目ごとに定められており、「国税庁 路線価図・評価倍率票」から確認可能です。
田舎に多く見られる純農地や中間農地の場合、「倍率方式」を用いておおよその値段・相場を知ることが可能です。
たとえば、固定資産税評価額500万円、評価倍率4.0倍の土地を所有しているとしましょう。この場合、計算式は「500×4= 2000」となり、おおよそ2000万円ほどの値段・相場であることが分かります。
農地の値段・相場については以下の記事で解説しています。さらに詳しく知りたい方は、併せて参考にしてください。
田舎の土地を売却するのは難しい! 条件を把握しておこう
田舎の土地は都心部の土地と比べたときに、以下のような理由で売却しづらいといえます。
- 建築や土地開発に制限がある
- 市街地に比べて開発コストかかる
- 周辺のインフラが整備されていない
- 田舎の土地はアクセスしづらい
なお、田舎の土地の売却方法や活用法については、以下の記事で詳しく解説しています。
建築や土地開発に制限がある
田舎の土地は、建築や土地開発が制限されているケースが多いです。特に市街化調整区域にある土地では、住宅の建築にも制限があります。
どのような制限があるかは調べなければ分からず、土地を運用しづらいと思われるため、購入を検討する人が少ないのです。
市街地に比べて開発コストかかる
田舎の土地は、市街地に比べて開発コストがかかるというデメリットがあります。市街地の土地はあらかじめ整地されている場合が多いため、購入後は建物にコストを割くことが可能です。
しかし、田舎の土地は草木が生い茂っていて整地されていない場合が多く、土地を運用する前の段階でより多くのコストがかかるのです。
周辺のインフラが整備されていない
田舎の土地は水道管や電線、ネット回線などのインフラ設備が整備されていないケースがあります。
ほぼ全ての世代にスマートフォンが普及した現代では、ネット回線がないと不便に感じる場合が多いでしょう。関連して、サテライトオフィスの誘致にも向きません。
また、水道管や電線が通っていない土地の上に、そのまま家を建てることは不可能。このように、土地にこれらのインフラを引き込むためには多額のコストがかかるため、購入を見送られてしまうのです。
田舎の土地はアクセスしづらい
田舎の土地では主な交通手段として自家用車が利用されることが多いのが現状です。しかし、都心に住む人の中には、自動車を持っていない方も多くいるでしょう。
車を持っていない人が田舎の土地に住む場合は、まず自動車を購入する必要があるため、その分のコストがかかります。
バスで移動するにしても田舎ではバスの本数が少なく、アクセスが不便なので購入を見送られやすいのです。
田舎の土地を売却しないことによる弊害
ここまで田舎の土地売却が難しい理由をお伝えしました。しかし、活用も売却もせずに土地を所有していると、以下のような弊害・デメリットが生じます。
- 金銭面の弊害
- 労力面の弊害
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
田舎の土地がもたらすそれぞれの弊害について、詳しく見ていきましょう。
金銭面の弊害
田舎の土地を活用も売却もせずに所有していると、毎年土地の所有者に対して課される固定資産税、草刈りや掃除などの土地の維持管理費用などの金銭的な負担がかかります。
2015年に成立した空家等対策特別措置法では、土地に空き家があり、適切に管理されていない場合は「特定空き家」に指定され、固定資産税の負担額が最大で6倍まで膨れ上がります。
さらに、土地に空き家がある場合、災害時に周辺の住民や建物に損害を与えた場合の管理責任として損害賠償を請求されるリスクもあり、土地所有者にとっては非常に大きなデメリットとなり得るのです。
労力面の弊害
土地に草木が生い茂ると除草や伐採などが必要になり、労力面で大きな負担がかかります。
業者に依頼すれば手間がありませんが、定期的に依頼し続ける必要があるため、金銭的な負担増大は避けられません。また、このようなメンテナンスをせずに土地を放置すると、害虫や害獣、放置ごみなどが発生し、環境衛生面が悪化します。
結果的に近隣住民にも迷惑をかけることになりかねず、最悪の場合、損害賠償を請求されるリスクもあるため、周囲の住民や自治体に指摘される前に改善する必要があります。
このような金銭面・労力面の負担は、土地を所有している限り、半永久的に生じる問題です。将来にわたって土地を活用する見込みがないなら、早めに売却を行うのがベストです。
田舎の土地を売却・譲渡する三つの方法
田舎の土地を売却も活用もせずに放置していると、上述したような金銭面・労力面での大きな負担がかかります。下記を参考に、なるべく早く売却する方法を検討しましょう。
ここからは、田舎の土地を売却・譲渡する具体的な方法を見ていきましょう。主な売却・譲渡方法は以下の三つです。
- 土地の近隣住民へ打診する
- 空き家バンクを利用する
- 地元の不動産会社に依頼する
土地の近隣住民へ打診する
田舎の土地でまず考えられる売却方法が、土地の近隣住民への打診です。特に隣地所有者にとっては、広くなった敷地を有効活用できるメリットがあり、買い取りしてくれる可能性が高いため声をかけてみるのがおすすめです。
また、隣地の方でなくとも、事業用地や駐車場として土地を求めている場合もあるため、近隣住民にも打診してみてください。
ただし、土地の個人売買は、契約や値段などでトラブルにつながる恐れがあります。不動産に詳しくない方や近隣トラブルが不安な方は、不動産会社に仲介してもらうことをおすすめします。
空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、地方自治体が運営している、利用料無料の空き家マッチングプラットフォームです。
空き家バンクへ登録することによって、田舎や空き家に関心が強い人に向けて、広く空き家情報を発信できるため、良い条件での買い手が見つかる可能性があります。
名称に「空き家」とありますが、なかには土地のみの不動産にも対応している自治体もあるため、まずはお住まいの地域の空き家バンクをチェックしてみましょう。
ただし、空き家バンクに登録しても、すぐに買い手が見つかることはほとんどありません。速やかに売りたい方には向いていないため、他の売却方法と併用するのがおすすめです。
地元の不動産会社に依頼する
田舎の土地売却でもっとも安心かつ可能性が高い方法は、地元の不動産会社に仲介や買取を依頼することです。
不動産会社にはそれぞれ得意な分野やエリアがあり、取引金額が小さい田舎の土地は、大手不動産会社に依頼しても断られてしまうケースがほとんど。
そのため、田舎の土地の売却は、地元に根ざした不動産会社に依頼することが鉄則です。
地域特有のノウハウやつながりを持っている地元の不動産会社であれば、田舎の土地でも売却できる可能性が高いといえるでしょう。
不動産一括査定サイトでは、物件情報を入力するだけで複数の不動産会社の紹介を受けられます。リビンマッチでは、全国約1,700社の中から売却物件と相性のよい不動産会社を探せます。
田舎の土地を売却する際は、まずはリビンマッチを利用することをおすすめします。
田舎の土地を売るためのポイント3選
田舎の土地を売るためには、以下の三つのポイントが重要です。
- 余裕を持ったスケジュールを組む
- 田舎の土地の需要を考える
- 適切な値段に設定する
都心部と比べて需要が少ない田舎の土地は、適切な戦略を立てることが売却成功への鍵を握ります。下記三つのポイントをしっかりつかんで、より良い条件での売却を目指しましょう。
余裕を持ったスケジュールを組む
田舎の土地を売却する際は、長期戦となることを覚悟して、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
というのも、土地の売却にかかる期間は、都心部であっても3〜6カ月必要といわれており、田舎の土地であれば半年以上、条件によっては1年以上かかることも珍しくありません。
そのため、田舎の土地売却に取りかかる際には、売却までの期間をゆったりと見積もり、長期的な視点を持って焦らずに進めていくことが大切なのです。
田舎の土地の需要を考える
田舎の土地だと「良い活用法が思い浮かばない」という方もいるでしょう。確かに、都心部の土地と比べると活用方法は少ないですが、全く需要がないわけではありません。
その土地や周辺地域の需要に合うように整地やインフラ整備を行うことで、高値で売却できる可能性が高まります。田舎の土地では、例えば以下のような需要が考えられます。
- リモートワーク
- 太陽光発電
これまで仕事のために都心に住まざるを得なかった人が、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及を機に田舎での生活を考えるようになりました。2020年11月に実施された移住に関する調査では、都心在住者の3人に1人以上(36%)が「都心から1〜2時間以内の田舎に移住したい」と回答しています。
特に都心に近い田舎で土地売却を検討されている方は、今のうちに売却を検討することをおすすめします。
タウンライフ土地活用なら、複数の不動産会社から、土地の活用方法・プランについての提案を無料で受けられます。
複数社から提案や調査報告を受けられるため、他の業者と比較しながら、よりあなたの土地に合った最適な活用方法や最適な値段が分かりますので、まずは調査を依頼してみてはいかがでしょうか。
また、田舎では広い面積を確保しやすいため、太陽光発電システムを設置して売電収入を得るという需要もあります。太陽光発電を検討している方向けに土地を売却する場合は、土地面積の大きさをアピールすると良いでしょう。
適切な値段に設定する
田舎の土地に限らず、土地の整備や設備、相場などを考慮して適切な値段を提示することが、土地を売却するための近道といえます。
売り主は自分の土地を高く見積もってしまう傾向にありますが、適正価格よりも高いと売れるものも売れません。自分の相場観だけではなく、複数の不動産会社から査定を受けたり、専門家に相談したりすることで第三者の視点を持つことも大切です。
このように、相続した田舎の土地を売却する際には、さまざまなポイントや注意点があります。
しかし、不動産や相続の知識を持たない方が、一人で適した判断をすることは非常に難しいため、不動産のプロに相談して一緒に進めていくのがおすすめです。
田舎の土地が売れない場合は引き取りも視野に入れよう
ここまで田舎の土地の売却について、さまざまな方法やポイントを見てきました。しかし、中には何を試しても売れない土地があるのも事実です。
売却や活用が難しく、無料でも引き取り手が見つからない土地を持っていると、毎年数万〜数十万円の固定資産税や維持コストがかかり、管理や近隣トラブルなどの労力的・精神的負担も生じます。
いつか売れる可能性を信じて残すのも一つの選択ですが、その間にかかるコストや手間、子どもにまで及ぶ相続後の負担を考えると、お金を払ってでも処分したほうが賢い選択といえるでしょう。
田舎の土地売却はプロと相談しながら進めよう
本記事では、田舎の土地を売却する際の値段・相場の調べ方、具体的な売却方法やポイントを解説しました。
田舎の土地は一般的な土地と比べて売却が難しいため、不動産についての知識や売るための下準備が欠かせません。
活用する予定がない土地をお持ちの方は、本記事を参考に早めに売却・譲渡準備を進めていきましょう。