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少量多品目農家なら“捨てるところのない野菜”を選べ! コウサイタイ出荷の3形態とは

少量多品目農家なら“捨てるところのない野菜”を選べ! コウサイタイ出荷の3形態とは

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

同じ手間をかけて野菜を栽培するなら、育てたものはすべて出荷し利益に変えた方が効率は良いに決まっています。なるべく捨てるところのない無駄を生まない品種を選び、さらに出荷方法の工夫ですべてを売り切るタケイファームの手法を「コウサイタイ」を例に紹介します。

タケイファームがコウサイタイを栽培する理由

少量多品目農家の販売先は、ネットショップ、直売所、マルシェ、スーパー、飲食店などが多いと思います。これらに共通する大切なことは、「出荷できる状況を維持する」ということ。それは、売り上げを上げることだけでなく、お客さんと継続して取り引きを続けることで信頼につなげることです。
タケイファームでは、基本一年を通して平日は毎日レストランへ出荷を続けています。普通のことなのですが、それを続けるのは意外と難しく、発送する野菜がなくなってしまうと他の生産者に切り替えられてしまうことも考えられます。そのため、収穫できる期間が長い野菜を何種類か畑に常備しているとそのリスクも軽減されます。その中の一つが毎年栽培している「コウサイタイ」です。収穫してもわき芽が出てきて長く収穫できるのです。しかも、私が住む千葉県では収穫できる期間が12月後半~3月までと、野菜が少なくなる冬の時期に重宝する野菜です。

コウサイタイとは

コウサイタイはアブラナ科の中国野菜で、トウ立ちした茎、葉、つぼみ、花を食べます。漢字で「紅菜苔」とも書かれる通り、茎の色は美しい赤紫色をしており、加熱すると濃い緑色に変わりますが、ゆでる場合は少し酢を入れるとある程度赤紫色を残すことができます。クセもないので、お浸しや和え物、炒め物など、いろいろな料理に使うことができます。ひと言で説明すると「菜の花の中国野菜バージョン」でしょうか。

コウサイタイ

畑のコウサイタイ

ハサミを使わず、手でポキッと折れるところで収穫するとスジがなくおいしく食べることができます。折れずに曲がってしまうようであれば、スジがありますので注意が必要です。
なかなかスーパーでは見かけることはありませんが、マルシェや直売所で販売されていますので、見かけたら食べてみることをおすすめします。

つぼみの状態のコウサイタイ

黄色、緑、赤紫色のコントラストが美しい

タケイファームの売り方

一般的に販売されているコウサイタイは、花が1~2輪咲いたものを15~20センチほどの長さで切り、1束150グラムほどで束ねてあります。これは、種袋に印刷された写真や収穫の目安の説明が基本となっています。タケイファームの場合は、成長に伴い、次のように部位を変えて販売しています。

売り方1:つぼみと茎を売る

当初のコウサイタイ

当初は普通の長さで出荷していた

コウサイタイの収穫はつぼみからスタートします。先ほど書いたように、一般的には1~2輪の花がついた茎を長さ15~20センチほどで収穫しますが、タケイファームが収穫する茎の長さは5センチほど。そして、花が咲いていないつぼみの状態です。そのほうが長期保存に向くので、飲食店が使いやすいと考えての事です。

栽培当初はタケイファームも一般的な長さで飲食店へ発送していたのですが、ある日、私の考えを変える出来事がありました。
タケイファームが野菜を卸しているレストランへ食事に出かけた際、コウサイタイがお皿に乗って出てきました。それは畑で収穫したそのままのコウサイタイでした。私は切って使っていると思っていたのですが、シェフはそのままの形を表現したかったのだと思います。私はその料理のバランスを見て「なるほど、ちょっと長いのか……」と感じました。それ以来、お皿の上に出てくるイメージを思い浮かべ、5センチで出荷するようになりました。

レストランのひと皿

レストランのひと皿。コウサイタイが長く感じた瞬間

これによって、収穫の回転率が上がりました。それまでは15~20センチサイズに成長するまで待っていたのですが、5センチサイズであれば、毎日次々に収穫ができるのです。そして、早く摘み取ってしまうことで株が疲れないというメリットもあります。

売り方2:花を売る

コウサイタイの花

コウサイタイの花

収穫を続けているとだんだん茎がスジばってきます。これは収穫時にポキッと折れず、曲がってしまうことで判断できます。こうなってくると茎のクオリティーが落ちてしまいますので、次は花を収穫します。
最近のレストランでは、食べられる花、エディブルフラワーの需要があり、コウサイタイの黄色い花はレストランでも人気があります。

黄色い花はエディブルフラワー

エディブルフラワーとしてのコウサイタイ

花は完全に開花していると後は散るのを待つだけになりますので、これから咲き始めるような花を選ぶことがポイントです。
この時点では、納品書の項目は「コウサイタイ」から「コウサイタイの花」に変わります。

売り方3:種を売る

花が咲き乱れたコウサイタイ畑。普通であればここで栽培は終わり、片付けに入ると思いますが、タケイファームはまだ片づけをせず、次に種を売ります。

コウサイタイシード

花の下段がコウサイタイシード。花を切って茎に付いたままのシードを販売します

花が散ると種ができます。その種を、長さ1センチ幅2ミリくらいのサイズの状態で収穫します。それ以上大きくなると硬くなりますので注意が必要です。
種のサヤは赤紫色をしていますので、料理のトッピングに生で使います。
納品書の項目は「コウサイタイの花」から「コウサイタイシード」に変わります。

野菜も自分の労働も無駄にしない

このような販売ができているのは、一度、野菜の一生を見届けているからです。初めて作る野菜は、収穫をせずにその先の成長を見ているのです。これによって、野菜の次の形を知り、新しい商品として提案することができます。

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私の販売方法は基本1本売りですので、5センチのコウサイタイも1本で販売しています。20センチまで成長させることなく収穫することで、通常サイズの1/4の時間で2倍の売り上げをあげることができます。何より、毎日必ず5センチサイズのコウサイタイはあるので、想定している本数が収穫できるかどうかの不安がありません。ストレスを軽減することは、農作業の中でも大切な部分です。
種まきをして、手間をかけて、収穫、さらには片付けという一連の流れの農作業。同じ労働をするのであれば、売り上げが高いに越したことはありません。ちょっと視点を変えてみれば、コウサイタイのような野菜はたくさんあります。
タケイファームは露地栽培で野菜を販売していますが、年間を通して、コウサイタイのような効率の良い品目をたくさん栽培しているので、今の農業スタイルが確立したのだと思います。

おまけの虎の巻

コウサイタイと同じように花が散り、シードとして販売する野菜は他にもあります。中でも一番インパクトがありレストラン受けしたのはクレソンです。
クレソンの立ち位置は、ハンバーグの付け合わせ。パセリと同じで最後はお皿の片すみに残されてしまうイメージですが、クレソンシードをそのままトッピングしたり、みじん切りにして散らしたりすることで、ハンバーグや肉料理を劇的に変化させる、そんなパワーを持っています。

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