新人がカウハンドリングを知らずに現場に出るのは危険
この春、新しいスタッフが農場で働き始めた牧場も多いのではないでしょうか? 新人が最初に覚えなければならないのは、牛の扱い、カウハンドリングです。
知識も経験もないまま農場に入り、カウハンドリングを知らないために牛にケガを負わせてしまった。もしくは自分がケガをしてしまった。そうならないためには必須の技術です。従業員雇用が当たり前になった今の時代、マニュアルや環境の整備は雇用主の責任となっていくでしょう。
今回の話は農場、あるいは酪農関係会社に入社した新人に合わせ、誰でもわかる話にしなければなりません。そんな時、ルーメンの回で登場したライターからまた連絡が来て「カウハンドリングを教えてほしい」というのです。経験のない彼らと、一緒に学んでいきましょう!
ライター
丸山
ライター
丸山
具体的にどんな失敗をしたんですか?
ライター
ライター
丸山
ライター
丸山
そこまでは、まだよかったんですけど、牧場主に牧場の感想を聞かれて、「建物は老朽化してみすぼらしいですけど、牛はきれいでいい牧場ですね」って言ったら、もう帰っていいよって……。言葉のギャップを利用して褒めたつもりなんですけど、裏目に出てしまいました。
ライター
丸山
なぜ危険なのかをしっかり教える
丸山
助手
丸山
カウハンドリングにおいてのタブーに、牛を驚かせ、走らせることがあります。
走ればそれだけ転びやすくなります。
滑りやすいコンクリートの床で牛を飼養している場合、牛が転ぶことは牛の命にかかわる大事故につながりかねません。
私たちだって転んだらケガをします。体重の重い牛は、転倒が脱臼や筋断裂などの深刻な障害を招くこともあります。そうなった牛はもう牧場で飼養することはできません。
ライター
助手
丸山
ライターさん、なんで牧場主に怒られたか分かりましたか?
ライター
丸山
それは、人がケガをしないことです。ライターさんは足を踏まれました。痛かったですよね。運が悪ければ骨折しても不思議ではありません。
牛とは適切な距離を取り、危険な状況を回避するための行動と準備が必要です。
カウハンドリングで大事なことは、人も牛もケガをしないことです。
牛の特性を教えることで安全性が高まる
丸山
ライター
丸山
牛はきっとライターさんが怖かったんだと思います。
ライターさんだって初対面の相手は緊張しますよね。牛も見慣れない人間には警戒します。そもそも草食動物である牛は臆病な生き物で、人間を怖がるのが普通です。人間はどちらかといえば肉食動物ですよね。自然界において本来は敵対関係にあるんですよ。
助手
丸山
臆病なこと以外にもさまざまな特徴があります。例えば目が横にあるので視野は広いですが、真後ろは死角になります。
ライターさんは後ろに下がる牛に足を踏まれましたが、真後ろに立つのは危険です。牛の近くに足を置くことはなるべく避けた方がいいです。
ライター
丸山
他にも、牛には非常に強い集団帰属意識があり、1頭が走り出すと他の牛全てがつられて走り出したりもします。なので、1頭の牛も走らせないように神経を使わなければいけないんです。
マニュアル化の大切さ~酪農業界も変わっていこう~
丸山
助手
丸山
ライター
丸山
ライター
丸山
でもこれからの時代、牧場が従業員を雇用する中で、今までと同じではだめだと思います。大切なのは、牧場に訪れるすべての人、牛が、事故やストレスなく過ごすことです。新人だろうが、見学者だろうが、それは同じです。一回も事故が起きないようにしていかなければなりません。
ライター
丸山
そして最近では、つま先の部分が硬くなっている安全な長靴を従業員に配布しています。
万が一牛に足を踏まれてもいいような状態にしておければ、新人も安心できますよね。
この長靴は、JIS規格に適合する「安全靴」ではないのですが、その分安全靴より軽量です。滑りやすい農場でもしっかりとグリップが利くのでおススメです。
ライター
丸山
どうですか? カウハンドリングについてわかってもらえましたか?
助手
丸山
──まあいいでしょう。次回は実際にマニュアルを見ながら、カウハンドリングについて学んでいきます!
- 牛も人もケガをしない
- 牛は臆病な生き物
- 経験に頼らず安全に仕事ができるように酪農業界も変わっていこう