古家付きの土地を値引きしてでもそのまま売却するメリット
買主からすると、古家付きの土地は更地を購入して家を建てる場合と比べてデメリットがあるため、値引きを求められるケースが少なくありません。
それでも、古家付きのまま土地を売ることには以下のようなメリットがあります。
- 解体費用が不要
- すぐに売り出せる
- 固定資産税が軽減される
- 買主がローンを利用しやすい
- 買主が物件のイメージをつかみやすい
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
解体費用が不要
古家付き土地として売ると、売主が解体費用を負担しなくて済むというメリットがあります。
木造の場合、解体費用は坪単価3万~4万円程度であり、30坪以上の建物であれば100万円を超える解体費用がかかることもあります。
売却前に解体費用を負担しなくて済むことは、売主にとって大きなメリットといえるでしょう。
すぐに売り出せる
古家を解体する場合、見積もりから業者のスケジュール確保、解体工事開始、解体完了までかなりの日数がかかります。
一方、古家付き土地として売却する場合は、建物をリフォームする必要もないため、すぐに売り出すことができます。
立地条件や状態がよい物件であれば、スピーディーに売却できることも少なくありません。
固定資産税が軽減される
建物が建っている土地には、たとえ空き家でも固定資産税が軽減される住宅用地の特例が適用されますが、売却前に建物を解体してしまうとその特例が受けられなくなります。
土地を売りに出してもすぐに買い手が見つからないこともあるため、売り出しが長期化した場合に固定資産税が軽減されることは大きなメリットといえます。
住宅用地の特例は、200平方メートルまでの部分の固定資産税が6分の1に、200平方メートル超の部分が3分の1になるというものです。つまり、建物を解体すると固定資産税が最大で6倍になってしまうことになります。
買主が住宅ローンを利用しやすい
古家付き土地は、住宅ローンを組んで購入することもできます。
一方、建物を解体して更地にしてから売る場合、買主はそこに建物を新築した上でローンを組まなければなりません。
そのため、古家付き土地のほうが購入時のハードルが低く、スムーズな売却につながりやすいといえます。
買主が物件のイメージをつかみやすい
建物があると、その土地を購入して住むイメージをつかみやすくなります。
特に建物の状態がよい場合、買主がしばらく古家に住むケースもあるでしょう。
まずは古家に住み、後から建物を解体して新築に建て替えるなど、フレキシブルに対応できることも魅力となり得ます。
古家付き土地をはじめ、古い家を売却する際のポイントは以下の記事でも紹介しています。
関連リンク:古い家を売るにはどうする?築50年一戸建て売却や相続時のポイントを紹介
古家付きの土地をそのまま売却するデメリット
古家付きの土地をそのまま売却することには、以下のようなデメリットもあります。
- 値引きを求められやすい
- 瑕疵担保責任が生じやすい
それぞれについて、見ていきましょう。
値引きを求められやすい
古家付き土地を売却する際は、買主に値引きを求められやすいことに注意が必要です。
買主がそのまま住む場合は家が古いことを理由に、住まない場合は購入後に建物を解体する費用がかかることを理由に値引きを求められるケースが多く、売却の際にはそれぞれの理由に応じた値引きを行うことでスムーズな取引ができます。
不動産会社とも相談の上、あらかじめ値引きを想定した価格に設定することも検討するとよいでしょう。
瑕疵担保責任が生じやすい
古家付き土地の売却では、瑕疵担保責任にも注意しなければなりません。
瑕疵担保責任とは、建物に何らかの瑕疵(簡単にいうと欠陥)があった場合に、売却後も売主が買主に対して負わなければならない責任のことです。
建物が古ければ、それだけ欠陥がある可能性が高いため、売却後も不安が残りやすいといえます。
なお、瑕疵担保責任は売買契約時に「売買契約から1ヵ月間」など期間を設定できるほか、「免責」とすることもできます。
瑕疵担保責任は2020年に「契約不適合責任」と名称を改め、契約した内容と適合しているかどうかがポイントになりました。
基本的に瑕疵担保責任と契約不適合責任は同じものと考えてよいものの、契約不適合責任ではより契約書類の内容が重視されることに注意し、事前に知っている古家・土地の欠陥については詳しく記載しましょう。
古家付きの土地を更地にして売却するメリット
古家付き土地をそのまま売却する場合のメリットとデメリットをお伝えしましたが、更地にして売却する場合はどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、以下の2点をご紹介します。
- 買主が購入を検討しやすい
- トラブルになりにくい
買主が購入を検討しやすい
建物を解体して更地にしておくと、買主が新築住宅を建てるにあたって新しい家をイメージしやすいため、購入を検討しやすいというメリットがあります。
また、買主が建物の解体にかかる期間を気にする必要がないため、新築住宅を建てるためのスケジュールを立てやすいこともメリットといえるでしょう。
トラブルになりにくい
更地にしておけば、古家を原因とするトラブルを回避できます。
前述のとおり、古家の場合は売却後も瑕疵担保責任(契約不適合責任)の問題が起こりやすいといえますが、建物を解体しておけばその心配がありません。
古家付きの土地を更地にして売却するデメリット
次に、古家付きの土地を更地にしてから売却することのデメリットを見ていきましょう。
具体的には、以下のようなデメリットがあります。
- 解体費用がかかる
- すぐに売り出せない
- 固定資産税が高くなる
それぞれについて解説します。
解体費用がかかる
古家付き土地を更地にしてから売却する場合は、売主が建物の解体費用を負担しなければなりません。
費用については前述のとおりですが、解体にかけた費用を売却価格にそのまま上乗せできるわけではありません。
また、解体してもすぐに買主が見つかる保証はないことにも注意が必要です。
すぐに売り出せない
建物を解体する場合は、解体工事が完了するまでかなりの日数がかかります。
解体工事自体には2週間程度かかり、見積もりの取得から業者の手配、着工、後片付けなどを含めると2~3ヵ月かかるケースもあります。
特に、急いで売却したい場合はすぐに売り出せないことが大きなデメリットといえます。
固定資産税が高くなる
土地の上に建物が建っていると住宅用地の特例の適用を受けられますが、解体すると受けられなくなってしまいます。
すぐに買主が見つかればよいのですが、売り出しが長期化した場合は売主が固定資産税を負担しなければなりません。
固定資産税は最大で6倍になってしまうため、解体を予定している場合も着工のタイミングに気をつけましょう。
古家を解体して土地を更地にする方法
ここまで、古家付き土地をそのまま売却する方法と、更地にしてから売却する方法のメリット・デメリットをご紹介しました。
ところで、実際に古家を解体する際はどのような手続きが必要なのでしょうか。
ここでは、古家を解体して土地を更地にする方法をより詳しく解説します。
解体業者を選定して契約する
まずは、古家の解体を依頼する業者を決める必要があります。インターネットで調べて解体業者に連絡し、見積もりを依頼するのがスムーズでしょう。
通常は、問い合わせフォームや電話口で簡易的に建物の情報を伝えた上で現地を見てもらい、詳細な見積額の提示を受けることになります。
解体工事の内容が同じでも、業者によって費用が大きく異なることがあるため、複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
単に工事費用が安い業者を選ぶのではなく、やり取りにおける対応も見ながら信頼できる業者を総合的に判断することが大切です。
解体の実施
見積もりを取得して信頼できる業者が見つかったら、契約を結んで解体工事に進みます。
なお、解体工事前はライフラインの停止や近隣へのあいさつ回りなどを行いますが、これらは業者に任せておけば問題ありません。
工事期間中は近隣の住民に迷惑をかけることになるため、特に近隣へのあいさつ回りをしっかり行っているかどうかは確認しておきましょう。
工事では足場の設置や防音対策を行った後、設備・建具・建物本体が解体され、最終的に基礎が撤去されます。
解体後の処理
工事の後は、廃材の分別や搬出を行います。
見積り時や解体前に、あらかじめ解体後の整地方法についても確認しておくとよいでしょう。
単に建物を取り壊すだけでなく跡地をきれいに整地してもらったほうが、売却時に有利になります。
古家を解体して土地を更地にするための費用は?
ここでは、古家を解体して土地を更地にする際にかかる費用について見ていきます。
古家の解体費用の決め方
家の解体費用は、以下のような建物の条件によって変わります。
- 建物の構造(木造、鉄骨造、RC造)
- 建物の大きさ
- 立地条件
- 廃材の廃棄コスト
- 建物内に家具や家財を残すかどうか
木造より鉄骨造、鉄骨造よりRC造のほうが解体に必要な機材や工数が増えるため、解体費用が高くなります。
また、建物の大きさも解体費用に反映されます。
立地条件や廃材の廃棄コストは、現地から解体業者の拠点までの距離や、廃材を廃棄する場所までの距離によって変動することを覚えておきましょう。
建物内にピアノをはじめ大きい家具がある場合、そのまま残しておくこともできますが、別途費用を請求されることもあります。
少しでも解体費用を安くしたい場合は、事前に搬出しておくことをおすすめします。
古家の解体費用の相場
古家の解体費用の相場は、以下のとおりです。
- 木造:3~4万円/坪
- 鉄骨造:5~6万円/坪
- RC造:7~8万円/坪
30坪程度の建物であれば、木造で90万~120万円程度、鉄骨造で150万~180万円程度、RC造で210万~240万円程度が相場といえるでしょう。
古家付き土地を更地にする際に解体費用を安く抑える方法
古家付き土地を更地にする際の費用についてお伝えしましたが、費用を抑える方法はあるのでしょうか。
ここでは、3つの方法をご紹介します。
自治体の助成を受ける
自治体によっては、解体に対して助成金を出してくれるところがあります。
国からの助成はないため、まずは建物のある自治体で該当する助成金がないか確認してみましょう。
ただし、「エリア内の解体業者を使うこと」を条件とする助成金もあるため、注意が必要です。
自分で処分できるものは処分しておく
建物内に家財や設備を残した場合、解体費用のほかにそれらの処分費用がかかることがあります。
また、整地の際に草木が残っている場合は、伐採費用がかかることもあります。
これらをあらかじめ自分で処分しておけば、費用を安く抑えられます。
良心的な解体業者を選ぶ
建物を解体する際は、業者選びも重要です。工事内容が同じでも業者によって解体費用は異なります。
また、同じ業者であっても、立地や時期、繁忙具合などによって費用が変わることもあるため、複数の業者にから見積もりを取得して、比較することをおすすめします。
また、業者によっては見積書にはない追加費用を請求されることもあるため、見積書を取得する際に追加費用が発生しないか、念入りに確認しておきましょう。
古家付きの土地はどう処分するのがベスト?
古家付きの土地をそのまま売却するのと、更地にしてから売却するのとでは、結局のところどちらがよいのでしょうか。
ここでは、いくつかのケースに分けて判断基準をご紹介します。
古家付きのまま売却したほうがよいケース
古家付きのまま売却したほうがよいケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
- そのまま快適に住める
- 古民家としての価値がある
- 建築基準法や市街化調整区域などにより新築が困難
- 解体費用が高い
古家自体に価値がある場合や解体に大きなデメリットがある場合は、古家付きのまま売却したほうがよいでしょう。
更地にしてから売却したほうがよいケース
更地にしてから売却したほうがよいケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
- 建物に価値がほとんどない・住めたものではない
- 現在の耐震基準を満たさない
- 建物にリスク要因がある
古家を残しても、住めないのであれば買主側に手間が生じるだけなので、売却しづらくなってしまいます。
上記のようなケースでは、古家は解体したほうがよいでしょう。
最善の選択をするためには
古家付き土地の建物を解体すべきかどうかについては、上述のような条件以外にもさまざまなことを考慮しなければなりません。
土地の売却に慣れていない方は、どちらがよいか判断できないこともあるでしょう。
その場合、土地売却のプロである不動産会社のアドバイスを受けることをおすすめします。
ただし不動産会社によって意見が異なるため、複数の不動産会社の意見を聞いたほうがよいでしょう。
その際におすすめしたいのが、一括査定サイトです。
リビンマッチであれば、全国の約1,700社の不動産会社から売却物件にマッチした不動産会社を紹介してもらえます。
解体すべきかどうか迷ったら、まずはリビンマッチを利用して、不動産会社に相談するとよいでしょう。
一括査定で古家付き土地の売却のベストパートナーを見つけよう
古家付き土地の建物を解体してから売却する場合と、建物を残したまま売却する場合のメリット・デメリットをお伝えしました。
古家を解体するかどうかは、「買主にとって古家が残っていることがメリットになるかどうか」「建物の解体をどのタイミングで行えばコストを抑えられるか」といったポイントが判断の基準となります。
売却時の値引き、解体費用、固定資産税などを天秤にかけ、もっともよい方法を選びましょう。
とはいえ、建物を残すべきか解体すべきかを自分で判断するのは難しいかもしれません。
その場合は、信頼できる不動産会社に相談するために一括査定サイトを利用してみましょう。
リビンマッチであれば、全国の約1,700社の実績ある不動産会社から厳選して紹介を受けられるため、物件にマッチした不動産会社に出会えるでしょう。
古家付き土地を売却する際は、まずはリビンマッチを利用することをおすすめします。