キュウリのまち・福島県須賀川市の担い手育成事業研修生の現在地。修了生の“いま”に見る、農業の可能性と未来への展望|マイナビ農業

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キュウリのまち・福島県須賀川市の担い手育成事業研修生の現在地。修了生の“いま”に見る、農業の可能性と未来への展望

キュウリのまち・福島県須賀川市の担い手育成事業研修生の現在地。修了生の“いま”に見る、農業の可能性と未来への展望

自治体や公的機関などが行う農業担い手育成事業は、産地継承や維持、保護などを目的に新規就農者を育成する制度です。この事業を、賃金を得ながら活用できるのが福島県須賀川市の『岩瀬きゅうり担い手育成事業』です。須賀川市農業公社の臨時職員として働きながら生産者のもとで研修を重ね、2021年4月に独立就農を果たした修了生の現在を訪ねると、若きファーマーの頼もしい姿に出会うことができました。須賀川市の手厚いサポートとともに、“稼げる”岩瀬きゅうりの魅力を紹介しましょう。

働きながら農業を学べる『岩瀬きゅうり担い手育成事業』とは

『岩瀬きゅうり』のほか、加工品や祭典もあり、キュウリづくしな須賀川市

キュウリのお祭り「きうり天王祭」にキュウリの絞り汁を麺に練り込んだ「須賀川かっぱ麺」、キュウリに特化した大型選果施設「きゅうりん館」。夏秋キュウリの一大産地として知られる福島県須賀川市は、キュウリなしでは語れない名実ともにキュウリのまちです。1966年の指定産地を機に守られてきた「岩瀬きゅうり」のパリッとした歯ごたえとみずみずしいおいしさは、生産者の弛みない努力と情熱によって継承されてきました。しかし、生産者の高齢化や担い手不足により、産地存続の危機に直面。『岩瀬きゅうり担い手育成事業』はそんな状況を打破するために2019年に創設された事業です。1年間、公益財団法人須賀川市農業公社の臨時職員として賃金を得ながら生産者のもとでキュウリ栽培のノウハウを学ぶことができるため、研修生は収入面での不安を感じることなく農業を学べるのが特長。事業開始から3年目を迎えたいま、研修を終えた1期生に会いに行ってきました。

研修のおかげでいまがある。就農1年目の軌跡に見る、若手ファーマーの心意気

『岩瀬きゅうり担い手育成事業』一期生の吉田祐大さん

須賀川市東部地区でキュウリ農家を営む吉田祐大(よしだ・ゆうだい)さんに、マイナビ農業編集部が初めてお会いしたのは1年前の2020年9月のこと。農業研修生として同市のベテラン生産者・斎藤敏夫(さいとう・としお)さんのもとで実直にキュウリ栽培に向き合う姿勢が印象に残っています。元会社員の吉田さんは非農家出身。農業を営む奥様の実家で作る岩瀬きゅうりのおいしさに感動したことをきっかけに、就農を決意しました。

「ずっとデスクワークだったので研修を始めたころは体力的にキツかったことを覚えています。農業用語もよく分からなくて毎日質問ばかりしていました」。

と、当時を振り返る吉田さんは現在、奥様の実家のほ場を借り受け、露地によるキュウリ栽培を行っています。念願の独立就農を果たしたいま、『岩瀬きゅうり担い手育成事業』の研修生として学んだ1年は、どんな成果をもたらしたのでしょう。

「農業は自然相手の職業。良い経験になりました」

「基本的な栽培技術を学べたことが大きな財産になっています。もし、研修制度がなかったら間違いなく挫折していました。賃金を得ながら研修できたおかげで精神的負担がなく、勉強に集中できたことも続けることができた要因のひとつです。研修期間中は露地栽培のほか、温度や灌水管理の自動化など、スマート農業を全面的に取り入れた農業法人で学ぶことができたのも良い経験になりました」。

『岩瀬きゅうり担い手育成事業』では複数の農家で研修ができ、さらには農業短期大学校で農業の基礎を学ぶカリキュラムが組まれています。農業の基礎から実践までを幅広く習得できるため、吉田さんのように農業の経験がゼロの人でも安心して学ぶことができます。
充実の1年を送った吉田さんですが、反省点もあったと言葉を続けます。

青々と生い茂るキュウリのアーチ

キュウリは定植から収穫までの期間が短いため、1回きりの作業が多い作物です。メモを取ってしっかり学んだつもりでも、いざ、1人で作業をすると忘れていることも正直ありました。これから研修を受ける人には1回のチャンスを逃すことなく、しっかり学んでほしいですね。また、研修期間中は余裕がなく、若手就農者との交流をあまりしていませんでした。岩瀬きゅうりを支えるには若手のパワーが必要不可欠です。就農後を見据えた仲間づくりも大切だと感じています」。

就農初年度で目標収量達成!課題は反収アップ

4月の独立就農から半年が過ぎた9月下旬。露地栽培による岩瀬きゅうりの今年度の収穫は終わりを迎えます。収量や収入面など、ズバリ、手応えはあったのでしょうか。

「義父母のサポートもあり、就農初年度ながら収量は目標を達成できましたが、課題になったのが価格です。原因の一つとして、今年は早い時期から気温が上昇したこともあり、キュウリをはじめとした夏秋野菜が豊作となり、その影響で価格が暴落したと考えられます。収量だけでなく、反収を意識しながら営農することの大切さを痛感しました」。

栽培技術と経営感覚を磨くことが今後の課題

また、ひょう害、長雨による病害虫の発生、強風に伴いキズ物となり品質の低下につながるなど、天候にも悩まされた1年だったと振り返る吉田さん。自然相手の農業はその年によって気候条件が変わるため、今後も勉強は必須と引き締まった表情を見せます。

「収入においては、出荷時期ごとの価格の変化を分析し、高く売れる時期に出荷できる栽培計画を立てていきたいと考えています。そのためには技術向上はもちろん、経営も学ぶ必要があります。農業は本当に奥が深い!と、改めて実感しています」。

農閑期となる冬場の収入確保のため、いずれはキュウリの施設栽培で年間を通した安定収入につなげたいと今後の展望を話す吉田さん。他の作物ではなく、あくまで「岩瀬きゅうり」にこだわるその姿勢からは、頼もしさを感じることができました。

吉田さんに続け!次なる『岩瀬きゅうり』の担い手はあなたです

設立から3年目を迎えた『岩瀬きゅうり担い手育成事業』では現在、2名の研修生が須賀川市内の生産者のもとで学んでいます。一期生が無事、独立就農を果たしたことで、安堵の表情を見せる須賀川市役所農政課の矢部宏樹(やべ・ひろき)さんは、事業継続のためにも制度をブラッシュアップし、充実させていく必要があると話します。

取材中も終始、吉田さん&マイナビ農業取材班を気遣ってくださいました。担い手育成事業はもちろん、担当者のあたたかいサポートが支えとなり、安心して農業の世界に飛び込むことができます。

「吉田さんの事例をロールモデルとしながら、研修中に感じた疑問点などをヒアリングし、研修生に寄り添うカリキュラムや就農後のサポートも今まで以上に充実させていきたいと考えています」。

研修中、なんでも相談できる矢部さんの存在に助けられたと話す吉田さんは、今後予定している設備投資やほ場規模拡大に関わる相談もしやすいと、笑顔で話します。

「須賀川市は生産者はもちろん、農業公社や市などの公的機関も『岩瀬きゅうり』を地域の財産として守っていく思いが根付いています。まだまだ未熟ではありますが、その一躍を担うと共に、受け入れ農家として研修生を育成し、サポートいただいたみなさんに恩返しがしたいですね」。

夏秋キュウリの最高峰『岩瀬きゅうり』

研修終了後は須賀川市ほか、関係機関と連携し、就農支援も行っている『岩瀬きゅうり担い手育成事業』。市外からの移住者には、須賀川市の家賃支援補助も準備しています。
就農からの移住・定住も視野に入れた手厚い制度を活用し、キュウリのまち・須賀川を盛り上げてみませんか?

【問い合わせ】
須賀川市役所 経済環境部
農政課 農業政策係
〒962-8601 福島県須賀川市八幡町135
TEL:0248-88-9138 FAX:0248-72-9845
https://www.city.sukagawa.fukushima.jp/

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