西洋野菜の少量多品目栽培で年商3000万円。就農初年度、大規模栽培から始めた理由|マイナビ農業

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西洋野菜の少量多品目栽培で年商3000万円。就農初年度、大規模栽培から始めた理由

西洋野菜の少量多品目栽培で年商3000万円。就農初年度、大規模栽培から始めた理由

新規就農して少量多品目栽培に挑戦しようとする人は少なくない。一方で、販路ルートや生産効率等の課題から、新規就農者にとっては難度が高い側面も。ならばと、独自のスタイルで多品目栽培を確立した非農家出身の生産者がいる。異業種から新規就農して7年間の歩みを紹介したい。

多品目農家になりたい。「儲からない」の声にも意志固く

千葉県袖ケ浦市の郊外。内陸部の閑静な場所に、今回取材に訪れたボブファームワークス(以下、ボブファーム)はある。圃場(ほじょう)では、カーボロネロ(黒キャベツ)やケールなどの珍しいイタリア野菜が顔をのぞかせる。一面に広がる彩り豊かな光景は圧巻の一言だ。

「栽培している野菜は冬の間だけで20品目以上。これらは都内のスーパーや大型量販店を中心に出荷予定です」。収穫作業の傍ら、ドレッドヘアがばっちり決まった男性が説明してくれた。ボブファーム代表の阿部慎伸さんだ。個人的な興味から髪型について話題を振ると「(髪型には)こだわっています。自らの志を貫くという意志の表れでもありますね」という言葉が返ってきた。経営者としての覚悟がうかがえる。

この「志」とは、就農以前から抱いていた展望にある。岩手県の中華料理店で働いていたという阿部さんは26歳のとき、食材である野菜に興味を抱き、一念発起して就農を決意。「彩り豊かな野菜たちで、食卓を明るくしたい」と、将来的には西洋野菜などを中心に、さまざまな品種を手掛けたいと考えた。

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就農までの経緯を語る阿部さん

ただ、広い農地で同一の品目を育てた方が、収穫などの作業効率が良く、害虫対策の面でも優位というのが通説だ。事実、農業研修生時代には師匠から「少量多品目栽培は儲からない。やめておいた方がいいのでは」と諭される場面もあったという。自ら販路を開拓するのは想像以上に骨が折れる、単品目の契約出荷で安定した収入を得るほうが得策というのが見解だ。

それでも阿部さんは「やってみなければわからない。挑戦するだけ挑戦してみたい」と譲らなかった。自分の責任で、好きなものをつくったり売ったりできるのが農業の醍醐味(だいごみ)だと考えているからだ。とはいえ、師匠の忠告はもっとも。売り先を確保できないことには始まらない。そこで阿部さんが就農して最初に手掛けたのが、レタスとキャベツの大規模生産だった。

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少量多品目と大規模生産の二刀流 15ヘクタールで120品目以上を生産

2014年、袖ケ浦市で10ヘクタールの畑を借り、レタスやキャベツの契約栽培を開始。その傍ら、種苗会社に意見を仰ぎながら、圃場の一部でイタリア野菜の試験栽培を重ねた。「2年目にイタリアナス5品種を育てたのが始まり。50本の小ロットからスタートして契約をつかめたのを皮切りに、3年目からはケールを始めるなど、品目や数をどんどん増やしていきました」と阿部さんは振り返る。

ターニングポイントは2019年、首都圏を襲った房総半島台風だった。この年、暴風によって大規模生産していたキャベツやレタスが大きな被害を受けたのに対し、ナスやケールなどのイタリア野菜はほとんどが無傷だったという。「イタリア野菜が災害に強いと実感したと同時に、リスクヘッジ(危機管理)の意識も芽生え、多品目栽培を広げていくことに確信が持てました。仮に災害によって5、6品目がダメになったとしても、残る十数品目で収入をカバーできますしね」

この期を境に、イタリア野菜にこだわって品種を大幅に拡大した。「ピンときた野菜」であれば、国内の種苗会社で取り扱いのない珍しい品種でも海外から取り寄せるなどし、気が付けば年間120品種を手掛けるまでに至った。「うちでつくったことがない野菜をほかの畑で見つけると悔しくなりますね」(阿部さん)

現在は15ヘクタールの圃場のうち、約半分はイタリア野菜の栽培に充てている。もう半分の圃場でレタス、キャベツの大規模生産は継続しつつ、イタリア野菜などはスーパーや量販店、レストランのほか、マルシェや地元の直売所で販売。スタッフは阿部さんを含む5人体制で、売り上げは年間3000万円を超える。

売り先を見つけてから野菜をつくる

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