3人の求人に150人の応募。JGAPが担い手確保の一手になるワケ
JGAP(Japan Good Agricultural Practice)とは、日本の農場や団体の管理について、その実施状況を第三者が確認する認証制度のことだ。具体的には、持続可能な農業を達成するため「作業者の安全確保」「食品安全の確保」などの7つの取り組みがあり、各項目を達成するための基準(JGAP基準書)を満たした管理が審査で確認されると、JGAPの認証農場となる。
北海道のある生産者では、JGAPに取り組んだことにより、重要な担い手であったベトナム人技能実習生の労務環境が改善された。評判はSNS上の口コミで広がり、3人の求人に対して150人が殺到したこともあったという。日本GAP協会の伊與田竜さんは、農業が他の業界と比べ、労務環境の整備が遅れ曖昧に管理されている点を指摘し「JGAPは今後農業法人が魅力的な就労先として生き残るために有効な取り組みです」と話す。
県一体となってブランド化する徳島県 自治体で取り組むメリット
自治体が率先してJGAPに取り組む例もある。ブランド牛「とくしま三ツ星ビーフ」の認定を始めた徳島県では、認定の基準にJGAPを取り入れた。自治体を挙げて取り組むメリットについて伊與田さんは「審査項目をクリアするために農場同士が協力しあえるので省力化できますし、『〇〇産の大根は全てJGAP認証』のように地域全体のブランド力も向上します」と指摘する。また、JGAPの導入を経営の改善に活用する例もあるそうだ。地域のさまざまな農場を見回るJGAP指導員から経営改善のためのアドバイスをもらえるのは、JGAPの魅力と言える。
長い目で見れば、地域の農業を元気にするきっかけに必ずなるはずだ。問題意識を感じている自治体や団体は、一度導入を検討してみてはいかがだろうか。
[認証制度名]
JGAP
[お問い合わせ先]
一般財団法人日本GAP協会 Japan GAP Foundation
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-29 日本農業研究所ビル 4階