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農業の素人集団が小規模農家を応援する! 生産者と消費者がハッピーになる仕組み作り

農業の素人集団が小規模農家を応援する! 生産者と消費者がハッピーになる仕組み作り

全国の農場を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回は沖縄県宜野湾市にあるハッピーモア市場という直売所に来ています。ここは小規模農家や家庭菜園レベルの規模の農家が栽培する農薬不使用・減農薬の野菜を中心に販売をしている直売所。しかもフードロス削減の取り組みも積極的にしているとか!
既存の流通に乗らない野菜を、どうやって価値をつけて販売しているのでしょうか? 生産者も消費者も販売者もハッピーになるおいしい取り組みについて聞いてきました。

農家の素人集団が立ち上げた直売所

北海道では豪雪の時期。コバマツは、暖かい気候で地場の野菜も豊富にある沖縄県に来ています。

地場のおいしくて新鮮な野菜を食べたい。そう思って、地場の野菜が豊富にありそうな直売所を探してやって来ました。その名も「ハッピーモア市場」!

ハッピーモア市場。名前からして楽しげなお店

うん、気になる。早速お店に入ってみることにしました。

カラフルで新鮮な野菜がたくさん並んでいる

新鮮な野菜の数々、手作りポップで農家さんの紹介をしている手作り感あふれる売り場。

一つ一つ丁寧に野菜の食べ方や生産者について紹介されている

ジューススタンドがあったり

店舗内でお総菜やお菓子を作っていたりする

若いスタッフとお客さん、品出しの生産者でにぎわっている売り場。
そして何より、おいしそうな野菜と加工品の数々。

なんだか気になる。なぜこんなににぎわっているのか秘密が知りたい!

早速、突撃インタビューに行きました。

■有限会社ハッピーモア 副社長 多和田敬子(たわだ・けいこ)さんプロフィール


沖縄県那覇市出身。結婚を機に沖縄県宜野湾市に移住し、義父が農業をしていた跡地のハウスを活用して2008年にハッピーモア市場を開業。現在は2000軒近い小規模農家を中心とした安心安全な野菜を取り扱い、生産者、消費者、販売者もハッピーになるお店作りを目指している。

コバマツ

もともと、農地にあったハウスを活用して直売所を始めたそうですね!
私の義理の父が宜野湾市で農業をやっていたんですけど高齢でできなくなり、農地を何か活用できないかと考えていたんです。私自身は農業は素人でしたが、直売だったら近隣の農家の役にも立てるのではないかと思って始めました。

多和田さん

コバマツ

野菜を育てていたハウスを活用して直売を始めたんですね! 農業は素人だったとのことですが、ここまで野菜の種類が豊富な売り場を作るのは大変だったんじゃないですか?
最初の5~6年は野菜のことも素人で、お客さんも農家も集めるのが大変でしたが、現在は2000軒の農家と取引があるまでになりました。

多和田さん

コバマツ

2000軒も!? どうやってそんなに農家を集めたんですか?
創業当初は、JAに卸している農家にも声をかけていたんですけど「売れるか分からない場所に卸しても余ったら困る」と言われて、農家も集まらず苦労していました。
そんなとき、ある農家が「農家は心で動くから一軒一軒電話してみなよ」と言ってくれて。それから、実際に電話をかけ始めてみると、家庭菜園で家族や親戚が食べるためだけに作っている農家や、小規模農家が野菜を持ってきてくれるようになったんです。それからは口コミで広がっていきましたね!

多和田さん

コバマツ

JAなどの大規模流通には乗らない量しか作っていない農家がハッピーモア市場に出荷しているんですね! 高齢で「もう農業をやめようかな」と思っている人や、趣味で作り続けている人も、こういった少量でも買い取りしてくれる場があったら農業を続ける意欲が湧きそうですね!
試行錯誤した結果、家族で食べるために農薬を使わないなどのこだわりを持った栽培方法の、安心安全で種類も豊富な野菜が集まってきましたね。

多和田さん

コバマツ

働いている人たちもすごく活気があって若い人が多いですよね! どんな人が働いているんですか?

若く元気なスタッフ達

うちで働いているスタッフは皆、農業未経験者。アパレル業界で働いていたり看護師をしていたり、異業種出身の人ばかりです。

多和田さん

コバマツ

え、売り場を見てもすごく丁寧に野菜の紹介がされていて、Instagramでも毎日スタッフが野菜の紹介をしていますけど、皆さん農業未経験なんですね。

Instagramでは毎日ライブ配信でお店に並ぶ野菜について発信している

自社のホームページでスタッフ募集のお知らせをすると、すぐに人が集まります。お客さんとして来てくれていた人がほとんどで、ハッピーモアを気に入ってくれて働きにきてくれています。

多和田さん

生産者と消費者をつなぐ 大切なのはコミュニケーション

コバマツ

スタッフも農業未経験とのことですが、皆さんどうやって農業や野菜の勉強をしたり、農家との信頼関係を築いたりしているんでしょうか?
日々の農家とのコミュニケーションを大切にしているだけじゃなくて、休みが合うスタッフ同士、予定を合わせて出荷してくれている農家の畑に行って、農業や野菜の勉強をしています。皆それが楽しく、野菜に対しても愛着が湧くみたいで。

多和田さん

休日は皆で農家の畑にお手伝いに行く日も

コバマツ

実際に畑に行ってお手伝いしたら、農家もうれしいだけじゃなくて、お客さんにも野菜がどんな場所でどんな風に作られているか、紹介しやすいですよね!
そうして皆、農家とどんどん仲良くなっていきますね。あともう一つ大切にしているのはコミュニケーションを密に取るということです。
出荷に来てくれた農家に「また来週も持ってきてくださいね」と伝えるだけじゃなくて、翌日電話もして「○○さん、また持ってきてくれるの待ってるからねー」と伝えるなど、頻繁に連絡をするようにしています。

多和田さん

コバマツ

農家との距離が近くて仲良しですね! そんな風にされたら農家も「また持っていこう」っていう気持ちになりますね。
困ったときだけ連絡してもお互いの信頼関係は生まれない。日頃のコミュニケーションの積み重ねがあるから、「珍しい野菜作ってみたから持っていこうねー」とか、私たちにも協力してもらったりできるんです。

多和田さん

コバマツ

そういった密なコミュニケーションがあるからこそ、生産者も、消費者を近くに感じることができるんでしょうね。自然栽培や有機栽培の小規模の農業って、大量生産の慣行栽培より生産量が安定しなかったり形も悪くなったりすることが多いと思うんです。そんな中でも、少量でも求めてくれる人がいるなら、もう少し続けてみようとか、自分も無農薬で作ってみようとか、そんな人も出てきそうですね!

お客さんとのコミュニケーションについては、どんなことを大切にしていますか?

毎月イベントをやるようにして、お客さんに楽しんでもらえるような企画作りをしています! そうすることで、スタッフとお客さんの距離が近くなってくれたら、そしてお客さんに楽しんでもらえたらと思っています。

多和田さん

コバマツ

イベントでよりお店のスタッフ達を身近に感じることができて、食の新しい楽しみ方も知ることができそうですね。私も行ってみたいです!

毎月スタッフ達の主導で、食を楽しめるイベントが企画されている

あとは、ハッピーモア市場では、商品名、農家の名前、出荷日、そして栽培方法、この4つをお客さんに伝えるということが特徴です!

多和田さん

店舗内にある、農薬と化学肥料の使用状況が分かる表

こちらは赤印なので農薬も化学肥料も不使用。全ての野菜に印が付いているので消費者にも栽培方法が一目で分かる

コバマツ

農薬の使用量について記載がある売り場は初めて見ました!
栽培方法について気にしているお客さんがすごく多いと感じて、全ての商品に表記を入れるようにしました。

多和田さん

コバマツ

詳しい栽培方法が分かったら、消費者も求めている品質のものを手に取りやすいですよね。野菜の楽しみ方だけじゃなくて、品質もきちんと伝える役割をしているんですね!

おいしい循環が生まれる フードロス削減の取り組み

コバマツ

お店の中ではおいしそうなスムージーやお弁当も販売されていますね! お店で販売している野菜を使っているのでしょうか?
スムージーは、形が良くない野菜や少し虫食いがある野菜を農家から買い取って提供しています! 鮮度や味が良くても、形が悪いだけで取り扱えないのはもったいないと思って始めました。

多和田さん

季節に合わせて5~6種類のスムージーが用意されている。1日に5000~8000杯売れる人気商品

コバマツがいただいたグリーンスムージー。フレッシュでおいしい

コバマツ

形が少し悪くても、味と鮮度は変わりませんもんね! 農家にとってはB品野菜も買い取りしてくれたら所得にもつながるし、お客さんにとっては体に良いものを手軽に口にすることができてうれしいですよね!
他にも、スムージーで使ったレモンの皮を活用してレモンアンダギーという商品を開発しました。スムージーを作ったときに出る大量の皮を見て「もったいない」と思ったスタッフによって開発されたんです。
今では人気商品になっていて、お客さんにも大好評で、JALやANAで機内販売されるまでになりました。

多和田さん

スタッフの発想により開発されたレモンアンダギー。こちらも人気商品

コバマツ

食材を余すことなく使っていますね! レモンアンダギー、おいしそう! 捨てられていた皮を活用して、航空会社で販売されるまでになるなんて!
他にもお弁当などで、少しB品を使ったりして工夫していますね。私たち販売者が野菜に価値をつけるお手伝いをすることで、農家にとっては所得向上につながったり、お客さんにとっては安く野菜の味や食べ方を知ることができたりするなど、日常的に取り入れる機会を提供することができる。
そんな、生産者、消費者、販売者がハッピーになるおいしい循環を今後も作っていきたいと考えています。

多和田さん

今回のハッピーモア市場の取材を通して、販売者の役割は生産者と消費者、双方のコミュニケーターなのではないかと思いました。
販売者は、生産者のことを理解し、消費者のニーズも理解して、お互いにとってメリットがある形で商品やサービスを開発して提供する。
そして、不ぞろい野菜でも味と鮮度が抜群であるといった野菜の価値をきちんと理解して、消費者が求める形でそれらを生かして提供することができる。
そうすることで、今まで大量流通には乗らなかった野菜にも価値が生まれるのではないでしょうか。
販売者の視点と工夫によって野菜の新しい流通の形が生まれ、生産者も消費者もハッピーになれる場所に出会えました。

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