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少量多品目農家は「野菜の使い方」を指定せよ! 提案から広がる販路

少量多品目農家は「野菜の使い方」を指定せよ! 提案から広がる販路

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

レストランとの取引で、野菜の使い方の提案をすると「そんな使い方は思いつかなかった」と喜ばれることがあります。シェフと農家は上下の関係ではなく対等の立場。農家も提案力をもってシェフと付き合えば、そこから新たな取引が生まれることもあります。今回は、実例をもとに説明していきますのでご期待ください。

野菜を作って売るだけが農家じゃない

せっかく取引ができたレストランと長く付き合うためには野菜を販売しているだけではダメです。
例えば、タケイファームのスペシャリテ(代表的野菜)のアーティチョーク一つとっても、シェフによってその調理の仕方は皆違います。勉強のため、いろいろなフランス料理の店に食べに出かけましたが、同じような料理に出会ったことは一度もありません。
イタリアンでもそうです。「ペペロンチーノ」というパスタがありますが、使う食材は同じでも、切り方や手順、盛り付けまで、シェフの数だけペペロンチーノの数が存在します。

ペペロンチーノ

シェフの数だけペペロンチーノは存在する

レストランと取引する農家は、販売した野菜がどのように使われ、どのような料理になったかを知る必要があります。それによって、シェフのニーズに合ったものを提供することができ、他者との差別化が生まれ、結果、取引の継続につながります。
私は、店ではなく、シェフとの付き合いを大切にしています。メニューを決め、それに合う野菜の使い方を考えるのはシェフであり、シェフによって違いますので、シェフが変わると使い方も変わります。そのため、たとえばA店のシェフが店をやめてB店のシェフになったら、ほとんどのケースでA店との取引は終了し、B店と取引が始まります。時々、シェフが次のシェフに引き継ぎをしてそのまま継続する場合もありますが、この時に新しいシェフと親密な関係を築かないと長くは続きません。

ベジ会

店を移っても長く付き合いを続けているシェフの店で私が主催する「ベジ会」を開催

このように、取引を長く続けるためにはシェフとのコミュニケーションはもちろん大切ですし、実際に食べに出かけることもあります。また、店のホームページやSNSで料理の画像を見て、どのように野菜が使われているかを把握するようにしています。

タケイファームでは、基本の取引は金額を決めてお任せで野菜を発送しています。シェフはどんな野菜が届くかはダンボールの箱を開けてみないとわかりません。お任せの中には、珍しい野菜や新しい野菜、市場では入手困難な野菜も入れることがあります。
特に、トッピングに合う野菜を収穫している時などは、このように使ってもらえたらお皿に映えるだろうと考えているのですが、実際には予想していた使い方がされていない場合もあります。

四つ葉のクローバーから生まれた提案

2年前から作っているタケイファームの新しいスペシャリテが「四つ葉のクローバー」。売価は1枚100円です。四つ葉のクローバーと言えば、見つけた人に幸運が訪れるという話は誰もが聞いたことがあるはず。もちろん食べることもできますが、「幸運」としての使い方ができる食材なのです。

ある日、何も伝えることなくとあるレストランへ送ってみたのですが、後日シェフにどのように使っているかを聞いてみると、私が思っていた使い方がされておらずガッカリしました。普通のスプラウトのように、肉や魚のトッピングに使っていたのです。これでは幸運はおろか、100円の価値もありません。

私が意図していた使い方は、こんな感じです。
前菜のサラダの中に1枚だけ四つ葉のクローバーを入れておいて、サービスの人が「幸せを探してみてください」と言って料理を提供します。するとお客さんは、サラダの中に何かが隠れているのかと探し、四つ葉のクローバーを見つけるのです。お客さんは幸せな気持ちになりきっと喜んでくれるでしょう。
1枚100円という原価ですので、一人一人に使わなくても、誕生日の席であれば、主役の人だけに入れればよいのです。4人グループであれば、1人だけに入れても、その場が盛り上がるでしょう。

四つ葉のサラダ

四つ葉のクローバーが入っているかもしれないサラダ

最近では、レストランで料理の写真を撮ることは当たり前。四つ葉のクローバーを見つけたお客さんは、多分SNSにアップするでしょう。そうすれば、店の宣伝にもつながり、1枚100円という価格も決して高くはありません。ところが、普通にトッピングとして使ってしまったら、とても高い野菜になってしまいます。
この話をした後、シェフは私が提案した使い方を実践し、お客さんにとても喜ばれたそうです。
私がその店に数人で出かけたときには、私のサラダに四つ葉のクローバーは入っておらず、残念でした……。

このように、意外性のある提案をすることで、新たな取引につながることもあります。実際に、四つ葉のクローバーの提案を通じて誰もが知っている有名ホテルのレストランと契約でき、今でも取引が続いています。

新たに提案する野菜の探し方

子供の頃、必死になって探しても見つからなかった四つ葉のクローバー。インターネットで検索してみると、見つかる確率は0.01パーセントと出てきます。そんな四つ葉のクローバーを栽培することができることはあまり知られていません。栽培が可能と知って、すぐに種を購入しました。

そもそも四つ葉のクローバーを栽培しようと思ったのは、子供から大人まで、日本人だけでなく外国人を含め、誰もが知っている幸せのシンボルだからです。これを料理の中から見つけることができたら、楽しいに違いない。タケイファームと取引しているレストランの中には、ウエディングに対応しているお店もあります。めでたい結婚式の料理に四つ葉のクローバーはきっとニーズがあると思ったのです。
参列者80人の結婚式であれば、80枚の四つ葉のクローバーが必要となり、売り上げ8000円が確定します。
残念なことに、私が始めた2年前はちょうど新型コロナが流行し始めた時期でした。結婚式も延期されたりした時で、現段階ではまだ結婚式では使われていません。その代わりに、レストランへ提案することにより、今も四つ葉のクローバーを販売し続けることができています。

他にも時代やニーズを読むことで、ニーズがある野菜が見つかると思います。新しいものを栽培しようと思った時に、普通に野菜として販売するのではなく、こうしたら売れるのではと考える姿勢が大切なのです。それによって、販売価格を高く設定することも可能ですし、他の農家との差別化にもつながります。

おまけの虎の巻

四つ葉のクローバーの栽培方法

私が始めた時は、しあわせの四つ葉のクローバーという名で種が販売されていました。
他にも、栽培キットなどが販売されているので、それを使うのもよいかと思います。
食用として使用するので、無農薬で育てることが基本の栽培方法となります。そもそも、クローバーは田んぼのあぜ道などに自生している雑草なので、丈夫なうえ、どんどん横に広がっていきます。

田んぼのあぜ道

あぜ道に自生しているクローバー

 

栽培のポイントは、プランターで管理すること。広がるのを抑え、作業効率の良い高さに設置することで収穫がしやすくなります。

プランターで栽培

栽培はプランターで管理

 

私は外にプランターを置いているので、冬は枯れてしまいますが、春になると新しい芽が出てきます。新しい芽が出てきたタイミングで株分けをすることで、プランターの数を増やすことができ、結果、収量を上げることができます。
なお、全ての葉が四つ葉になるわけではありません。また、たまに五つ葉が見つかることもあります。五つ葉のクローバーは金運アップと言われますので、それを見つけるとこっそりレストランへ送っています。

五つ葉の遺伝子を持つ株。3枚の五つ葉が出ている

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