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収益性と環境保全をともに追求、できるだけ石油を使わずに効率的作業を目指す

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

収益性と環境保全をともに追求、できるだけ石油を使わずに効率的作業を目指す

田畑のある地域の風景を守りたい。市民グループがそう考えたとき、ふつう思い浮かべるのは、援農ボランティアや収穫体験への参加などだろう。だがそれだけでは広がりに限界があると考えた人たちが、1年前に立ち上げた農業法人がある。トウガラシを生産する十色(といろ、埼玉県さいたま市)だ。代表のサカール祥子(さちこ)さんにインタビューした。

割安な価格で提供するための工夫

十色は、サカールさんたちが2021年3月に設立した。農場は「見沼田んぼ」と呼ばれる地域の一角にある。かつて新田開発で干拓された見沼田んぼは面積が1260ヘクタールあり、現在では河川に沿って田畑や雑木林などが広がる。地域では農家の高齢化が進んでおり、田畑をどう守るかが課題になっている。

十色の栽培面積は1ヘクタール弱ある。そのうち0.3ヘクタールは田んぼ。残りは畑で、トウガラシやサトイモを栽培している。メインの作物であるトウガラシはネット通販などさまざまなルートを通じて世界各国のタネを購入し、2022年は42種類を定植した。6月から収穫が始まる。

トウガラシの売り先は、レストランや産直サイト、地元のカフェの野菜販売コーナーなど。自ら配送したり、宅配便を使ったりするだけでなく、畑に収穫に来てもらう販売手法も取り入れている。収穫や選別、袋詰めなどの手間を省くことで、割安な価格で提供するための工夫だ。主な対象は飲食店

トウガラシ

色とりどりのトウガラシ

もともとサカールさんは、見沼田んぼを拠点に野菜を育てるNPO法人で働いていた。市民が参加する農作業の体験イベントなどを担当し、実績を積んでいった。だがイベントの売り上げが増えるのに伴い、「非営利を原則とするNPOの活動になじまない」との声が周囲で出始めた。

「見沼の自然環境や農地を守るには、農業に正面から取り組んだほうがいい」。そう考えたサカールさんは、NPO法人に一緒に参加していた釘宮葵(くぎみや・あおい)さんらと農業法人の十色を立ち上げることにした。農産物の販売できちんと収益を上げ、見沼の田畑が荒れるのを防ぐのが目的だ。

トウガラシを選んだのは、サカールさんたちが海外経験が豊富なため、各国の品種を食べた経験があることが理由の一つ。普通の野菜と違い、既存の農家との競合が少ない点も魅力だった。読みが当たり、希少価値が評価されて販路が広がった。2022年の売り上げは、21年の2倍を見込んでいる。

ナーガモリッチ

激辛のナーガモリッチ

機械除草で考えた脱石油の難しさ

サカールさんたちは非営利の活動ではなく、ビジネスの手法で収益を確保しつつ、地域の環境を守ることを目指す。そのために前提としているのが、農薬や化学肥料を使わない栽培方法だ。目標を達成するには、もっと面積を増やすことも必要だと考えている。

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