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研修期間は家賃が月3050円、就農者が驚く補助金などの充実サポート

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

研修期間は家賃が月3050円、就農者が驚く補助金などの充実サポート

どこで就農するかを決めるとき、さまざまな判断材料がある。栽培に適した作物や消費地との距離、農地の確保のしやすさなどだ。中でも大事なのは行政のサポートだろう。岐阜県下呂市の取り組みを紹介したい。

10年以上の会社員生活を経て、真剣に就農先を探す

下呂市は岐阜県の中部に位置し、温泉が中心の観光地として知られている。平地は少なく、農業では肉牛の飼育やトマトの栽培が盛んな地域だ。

まずは実際に下呂市で就農した人の声を聞いてみよう。「下呂市のことが本当に気に入った。ここで農業を始めてよかった」。2021年にトマトの栽培を始めた石田俊介(いしだ・しゅんすけ)さんはそう語る。

石田さんは40歳で、出身は京都府京丹後市。以前は百貨店などで働いていたが、就農を決意して3年前に脱サラした。下呂市のトマト農家のもとで2年間の研修期間を終えると、11棟のハウスで営農をスタートさせた。

もともと農業に関心があった。学生時代には3軒の農家で合わせて3カ月間、農作業の研修を受けてみた経験がある。「人に使われるのではなく、いずれ自分で何かをしたい」と考えたからだ。その候補が農業だった。

下呂市で就農した石田俊介さん

研修中に就農すべきかどうかを相談したとき、農家の一人から「いったん会社に勤めてみて、幸せになれるならそれでいい。もし農業への思いが消えないようなら、それからこっちの世界に来たらどうか」と言われた。このアドバイスに従って就職し、10年以上の会社員生活を経て就農した。

下呂市を選んだのは、就農希望者を対象にした自治体の説明会に足を運び、下呂市の職員から声をかけられたのがきっかけだ。真っ先に頭に浮かんだのは「温泉で有名なところだな」。名前も知らない土地に行くよりは、聞いたことのある場所で就農したいという思いが頭の片隅にあった。

だがそれ以上に心を引かれたのは、就農に対するサポートが充実している点だ。説明会には他の自治体も参加していたが、下呂市が提示した条件のほうがずっと魅力的だった。

研修中の住宅からハウス建設まで手厚い支援

説明会で下呂市の職員から聞いた話のうち、石田さんが最も驚いたのは研修期間中に市が提供するアパートの家賃だ。電気、ガス、水道代とWi-Fi(ワイファイ)の利用料込みで月に3050円。他の地域と比べて破格の安さだった。

下呂市が研修生のために用意している部屋は4つある。このほかに世帯用に2軒の家も確保してある。これも料金は1人当たり3050円。

新規就農者に推奨する品目はトマト。下呂市は周辺のほかの地域で品薄になる夏から秋にかけて、トマトを収穫できるという特色がある。中山間地のため昼夜の寒暖差が大きく、夏も夜温が低いからだ。冬には栽培しないので暖房設備が要らず、ハウスの建設費が安くすむという強みもある

就農時の設備投資に対する行政のサポートも手厚い。制度の名前は「元気な農業産地構造改革支援事業」。こちらは補助金を出してくれるのは岐阜県で、市町村や農協、農事組合法人などが事業の実施主体になる。

石田さんもこの制度のおかげで、ハウスを確保することができた。具体的には、設備資金のうち県の補助金で足りない分を農協が負担してハウスを建て、農協がそれを石田さんにリースするかたちをとっている。

石田さんが育てたトマト

リース期間は5年。ハウスを建てるのに農協が負担した金額を、石田さんは5年に分けてリース料として農協に払う。5年が過ぎると、ハウスは石田さんのものになる。石田さんは「事前に自分でお金をためたり、借りたりする必要がない。ここまで手厚い制度があるのかと驚いた」という。

ただし、もしリース料を重荷に感じるほど売り上げが少なければ、このプランは絵に描いた餅に終わる。だがこの点も心配は無用だった。リース料が年100万円強なのに対し、売り上げは初年度で700万円を超えた。2年目の今年は栽培がもっとうまくいき、売り上げも増える見通しだという。

ここで頼りになったのが、農協を通した販売ルートだ。

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