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【コンパニオンプランツ】ハーブと野菜を一緒に植える効果やメリット。相性の悪い野菜も紹介

【コンパニオンプランツ】ハーブと野菜を一緒に植える効果やメリット。相性の悪い野菜も紹介

野菜と相性のいい植物を一緒に植えることで虫よけや生育促進、病気予防などの効果が得られる「コンパニオンプランツ」。農薬や化学肥料を減らす取り組みとしても関心を集めています。コンパニオンプランツとして使われる植物はさまざまですが、今回ご紹介するのは「ハーブ」です。ハーブを栽培するメリットから注意点、コンパニオンプランツとして相性の良い野菜、悪い野菜のほか、トラップ植物と呼ばれる「おとり」機能を持つ植物まで一挙に解説します。

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そもそも「ハーブ」とは? 名前の由来や歴史について解説

ハーブについては知っているようで知らないことも多いかもしれません。まずはハーブの定義や歴史などの概要について整理してみましょう。

ハーブとは? ハーブに定義はあるの?

ハーブ(英語名:herb)とは、葉や花、茎、種子や根などが食用や薬用、虫よけ、染料などとして使われる有用植物のこと。語源はラテン語で葉、野草、薬草などを意味する「herba(ヘルバ)」であるといわれています。

ハーブの歴史について知ろう!

ハーブの歴史は古く、古代エジプトやメソポタミアでも薬用として用いられた植物がありました。エジプトでは紀元前2800年ごろからの利用が記録されており、医療用にさまざまな薬草が用いられたほか、ミイラを作る際の防腐剤にもハーブが役立てられていました。

エジプトからギリシャへ伝わったハーブは、ローマ帝国が領土を拡大してヨーロッパ各地を支配したことによりヨーロッパ全土へと広まりました。さまざまな研究が重ねられて利用範囲が広がり、料理や入浴剤、化粧品としても用いられるようになっていきます。16世紀ごろには庶民の生活にもハーブが広まっていたといわれています。
その後、イギリス人がアメリカ大陸に移り住んだ際にハーブを持ち込み栽培したため、アメリカでもハーブが根付いていきました。

ハーブと香草の違い

ハーブとよく似た言葉に「香草」がありますが、ハーブと香草に明確な線引きはありません。一般的にハーブには独特の香りを持っているものが多いため香草とも呼ばれますが、中には香りをほとんど持たないものもあります。

ハーブとスパイスの違い

「スパイス」もハーブと似た言葉です。ハーブのうち特に食用にされるものはスパイスや香辛料と呼ばれることがあります。葉や花、茎を利用するものを「ハーブ」、それ以外の根や種、実などの部位を利用するものを「スパイス」と区別する場合もあります。
また、ヨーロッパでは自家栽培できるものを「ハーブ」と呼び、シナモンやトウガラシ、胡椒など自家栽培できないものを「スパイス」と呼んで区別する場合もあります。

ハーブを栽培するメリット6選

さまざまな用途があり、香りを楽しむこともできるハーブ。自分でハーブを栽培するメリットについてご紹介します

料理のレパートリーが広がる

自分でハーブを栽培すると、気軽に料理に使えるという楽しみができます。シンプルに焼いただけの肉や魚にタイムやローズマリーを加えてみる、パスタソースやスープにバジルやパセリを使ってみる。いつもの料理に気負わずにハーブを足してみることで、自炊のレパートリーが広がります。

いつでも採れたて新鮮なハーブが楽しめる

ローズマリーやバジルなどのハーブを料理に使いたいけれど市販のものは高い……と感じることはありませんか? 乾燥させたものに比べて香りが高く新鮮な生のハーブは、高価なものも多くなります。自分で育てれば、必要な時に必要な分だけ収穫でき、便利な上に経済的です。使いきれず無駄にしてしまう心配もありません。

安全かつ安心して使用できる

料理やお茶などに使う場合は「安心安全に使用できること」もハーブを自分で育てるメリットのひとつです。ハーブは病気や害虫に強いものが多く、農薬や肥料を使わず手軽に栽培できます。

虫よけ効果が期待できる

ハーブの香りには、虫が嫌う成分が含まれていることがあります。代表的なものではミントやゼラニウム、ラベンダー、バジル、タイム、ローズマリーなどに虫よけの効果があるといわれています。

薬用効果・効能が期待できる

ハーブは薬ではありませんが、心身を健康に保つためのさまざまな薬用効果・効能が期待できるとされています。
ハーブの香り成分を抽出した精油(エッセンシャルオイル)は、アロマテラピー(芳香療法)に用いられます。代表的なものでは、鎮静作用や消化促進、食欲増進、免疫力を高めるなどの作用があるとされます。
また、ヨーロッパでは一部のハーブにおいて薬としての有効性が認められています。メディカルハーブが根付いているドイツでは、連邦保健局が設置する専門委員会が医薬品に分類されたハーブの安全性と有効性を評価する仕組みがあります。

一年中栽培を楽しめる

寒い季節には育てられない植物も多いもの。住んでいる土地の気候にもよりますが、ハーブの中には一年中栽培を楽しめるものもあります。年間を通じて家庭菜園などを楽しみたい場合は、耐寒性のあるハーブがおすすめです。

ハーブの栽培・使用の際に注意すべきポイント

いろいろなメリットがある一方で、ハーブを自分で栽培、使用する際にはいくつかの注意すべきポイントがあります。

妊娠中や授乳中の場合は注意

カフェインを摂取したくない妊娠中や授乳中に、ノンカフェインのハーブティーを楽しみたい! という人も多いかもしれません。妊娠中、授乳中でも安心して飲めるハーブティーもありますが、中には注意が必要なものもあります。
レモングラスやローズマリー、シナモン、マテ、ジャスミン、ハトムギ、カモミール、アロエ、ユーカリ、リコリス(カンゾウ)、ナズナなどは、妊娠中には避けた方が良いとされるハーブ類です。そのほかにも良くないとされる植物もあるため、かかりつけ医に確認してみてください。

基礎疾患やアレルギーがある場合は注意

基礎疾患がある人、服薬中の人は、ハーブの摂取にも注意が必要な場合があります。例えば、ハーブティーにも使われるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は肝臓の薬物代謝酵素を誘導するとされています。薬と併用することで薬の効きが悪くなる可能性があります。

また、花粉症などの症状を緩和してくれるハーブもありますが、中にはアレルギー症状を引き起こしてしまうハーブもあります。植物アレルギーがある人は、ハーブを使う際にも確認しておきましょう。キク科、タデ科、セリ科のハーブなどには特に注意が必要です。

基礎疾患やアレルギーがある人、服薬中の人がハーブを摂取する際は、念のためかかりつけの医師に相談するようにしてください。

取り過ぎには気をつけよう

ハーブは体に良いからと言って、大量に取りすぎないようにしましょう。ハーブの中には薬効を持つとされるものもありますが、大量に摂取しても、その分薬効が強くなるという訳ではありません。一般的に使われているハーブでそれほど危険なものはありませんが、体に思わぬ影響を与えてしまう可能性もあります。例えばリコリスは摂取しすぎると血中のカリウム濃度を低下させ、血圧の上昇を招くとされています。

ペットがいる場合も要注意!

人間にとって有用な植物でも、犬や猫などのペットにとっては有害になる場合があります。ハーブではジャスミン、ユーカリ、ヨモギ、チャイブ、ゼラニウム、オレガノ、カモミール、パセリ、ミント、ラベンダー、レモングラス、レモンバーベナなどに注意が必要といわれています。また、有害でなくても香りの強いハーブはペットにとってストレスのもとになってしまう可能性もあります。犬や猫に有害とされるものは多いので、ペットのかかりつけ医に相談してみてください。

環境に合ったハーブを選択しよう

世界中に多くの種類があるハーブですが、乾燥に強いもの、寒さが苦手なものなど、品種によって特性が異なります。栽培する環境に合ったハーブを選びましょう。

例えば南アジアや東南アジアが原産地のバジルやレモングラスは暑さには強いものの、寒さは苦手。バジルの生育には13℃以上が適しているといわれます。一方で地中海沿岸のカラッとした地域が原産のローズマリーやラベンダーは、ジメジメした梅雨時期などは要注意です。風通しをよくして、水をやりすぎないなどの工夫が必要です。

ハーブのコンパニオンプランツとしての効果は?

自家栽培することにさまざまなメリットがあるハーブですが、単独で育てるだけでなくコンパニオンプランツとしての役割にも注目が集まっています。
野菜とハーブを一緒に栽培することで、野菜の生育を促進したり虫よけや病気を防いだりする効果が期待できます。また、ハチなどの虫を誘引して受粉を促進する働きをもつものもあります。
農薬ほどの強い効果はありませんが、農薬や化学肥料を減らす取り組みの一つとして、コンパニオンプランツを取り入れるという手段があります。コンパニオンプランツとして相性の良い組み合わせや働きを知り、効果的に使いましょう。反対に一緒に育てると生育を阻害してしまうなど、あまり相性の良くない組み合わせもあります。

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【ハーブと野菜のコンパニオンプランツ】相性の良い組み合わせと効果一覧表

コンパニオンプランツとしてハーブを活用する場合、それぞれに相性の良い組み合わせがあります。特徴やどのような効果が期待できるかを合わせて表にまとめました。

種類 相性の良い植物、野菜 特徴
バジル トマト、バラ、トウガラシ アブラムシ、アオムシを寄せ付けない
マリーゴールド トマト、ナス、キュウリ、根菜類 土の中のセンチュウよけになる・葉の香りにも虫よけ効果がある
ペチュニア トマト、イチゴ、オクラ 香りがハチを引き寄せて受粉を助ける・生育を促進する
ミント トマト、キャベツ アブラムシ、センチュウを遠ざける・香りの強さを嫌う虫が多い・殺菌効果がある
ナスタチウム トマト、キャベツ エディブルフラワーとして人気・アブラムシやガを寄せ付けない
カモミール キャベツ、タマネギ、ハクサイ、ブロッコリー ハーブティーの材料として人気・生育を促進する・アブラムシやアオムシを寄せ付けない
タイム キャベツ、ナス アオムシを寄せ付けない・香りがハチを引き寄せて受粉を助ける
セージ キャベツ、ニンジン、ローズマリー アオムシ、ハエ、ガを寄せ付けない・香りの強さを嫌う虫が多い
ボリジ イチゴ、レタス、ホウレンソウ 風味や甘みを強くする・香りがハチを引き寄せて受粉を助ける
チャイブ トマト、レタス、ニンジン、バラ、リンゴ 土の中の微生物を活性化させる・バラやリンゴの黒星病、ウドンコ病、立枯病、青枯病を防ぐ
センテッドゼラニウム ラズベリー、リンゴ、バラ 蚊、ハエを寄せ付けない・香りの強さを嫌う虫が多い
ディル キャベツ、キュウリ、トウモロコシ 香りがハチを引き寄せて受粉を助ける
レモンバーム トマト、コマツナ カメムシ、害虫を防ぐ・香りがハチを引き寄せて受粉を助ける
コリアンダー キャベツ、トマト、レタス アブラムシよけになる・香りがハチを引き寄せて受粉を助ける
チャービル キュウリ、メロン、レタス キュウリを乾燥から守り生育を助ける・虫除けになる
サラダバーネット マジョラム、タイム、ナスタチウム、パセリ、ミント 生育を促進する・風味を良くする
タンジー バラ、ラズベリー アリ、コナガムシ、ハエ、ガなどを遠ざける
イタリアンパセリ トマト、ニンジン、アスパラガス、バラ 生育を促進する・益虫を引き寄せる・コガネムシを寄せ付けない
オレガノ キュウリ、メロン、カボチャ イタリア料理などによく用いられる・風味を良くする
ローズマリー セージ、キャベツ、ニンジン、マメ類 料理によく用いられる・強い樟脳の香りがアオムシを遠ざける
ラベンダー バラ、ラズベリー、リンゴ 精油、ポプリが人気・香りがハチを引き寄せて受粉を助ける・香りの強さを嫌う虫、野鳥が多い
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【ハーブと野菜のコンパニオンプランツ】相性の悪い組み合わせ

ハーブはコンパニオンプランツとして何にでも使えるわけではありません。相性の良くない組み合わせでは、お互いの生育を妨げたり弱らせてしまったりする可能性がありますので注意してください。
また、相性の悪い組み合わせに限らず、注意が必要なものもあります。例えばミントは非常に繁殖しやすいため、他の植物を駆逐してしまう場合も。またラベンダー、ローズマリー、ユーカリなど、寄せ植えにはあまり向かないとされるハーブもあります。

種類 相性の悪い植物、野菜
ジャーマンカモミール キュウリ、ネギ類
ローマンカモミール キュウリ
コリアンダー チャービル・フェンネル
ディル ニンジン・セージ・フェンネル
ミント キュウリ
フェンネル トマト・コールラビ・マメ類
セージ キュウリ・ディル
ワームウッド セージ・アニス・キャラウェイ・フェンネル
ボリジ キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・タイム
タイム ベリー類
チャイブ 豆類
ローズマリー キュウリ、ジャガイモ、イチゴ
ラベンダー 野菜全般(寄せ植えにあまり向かないとされる)
ユーカリ 野菜全般(寄せ植えにあまり向かないとされる)

トラップ植物とは

コンパニオンプランツの中には、「トラップ植物」と呼ばれるものがあります。トラップ植物は、自らが「トラップ」=「おとり」となって他の作物を守ったり、天敵となる虫などを集めたりしてくれるもの。バンカープランツと呼ばれることもあります。
下記は主なトラップ植物の一覧です。

種類 特徴
カモミール アブラムシを引き寄せる
ナスタチウム ナメクジやカタツムリを引き寄せる
パセリ コガネムシを引き寄せる
ゼラニウム コガネムシを引き寄せる
白クローバー アブラムシ、ヨトウムシの天敵を引き寄せる
フェンネル アブラムシやカメムシを引き寄せる
ディル アブラムシの天敵を引き寄せる
キャラウェイ キアゲハの幼虫を引き寄せる
コリアンダー キアゲハの幼虫を引き寄せる
キンレンカ キアゲハの幼虫を引き寄せる
キャラウェイ キアゲハの幼虫を引き寄せる

コンパニオンプランツにハーブのある暮らし

古代エジプトの時代から使われてきたといわれるハーブ。
花や香りを楽しみながらさまざまな使い方ができ、私たちの生活を豊かにしてくれます。初心者でも気軽に育てやすい品種も多いハーブを、コンパニオンプランツとして取り入れてみませんか。

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