セブン-イレブンとアイリスオーヤマとの取引で成長
舞台ファームは設立が2003年。130ヘクタールの自社農場でレタスやニンジン、ダイコン、コメなどを育てているほか、他の農家からも野菜やコメを仕入れている。2022年6月期の売上高は約25億円。国内で有数の農業法人だ。
2つの売り先をつかんだことが、事業を大きくするきっかけになった。1つはセブン-イレブンだ。舞台ファームは自社工場でカット野菜を生産し、セブン-イレブンに販売することで売り上げを増やしてきた。
食材を仕入れて弁当などに加工し、コンビニに納入する業者を「ベンダー」と呼ぶ。社長の針生信夫(はりう・のぶお)さんによると、農業法人でセブン-イレブンのベンダーの立場にあるのは同社だけという。
セブン-イレブンは消費者の信頼を保つため、ベンダーに厳しい品質管理を求めることで知られている。舞台ファームはその要求に応えることで、野菜の栽培や菌数の抑制、鮮度保持などのノウハウを高めてきた。

舞台ファームが生産したセブンイレブンのカット野菜
もう1つは、生活用品の企画や製造、販売を手がけるアイリスオーヤマ(仙台市)だ。両社は精米工場を運営する舞台アグリイノベーション(仙台市)を2013年に共同で設立した。社長には針生さんが就任した。
ここで製造したパックご飯や小分けに袋詰めしたコメを、アイリスオーヤマを通して全国のスーパーやドラッグストア、ホームセンターなどに販売している。工場は年間で約10万トンの精米を生産する能力があり、舞台ファームはこの取り組みをテコに、コメの生産や集荷を拡大した。
セブン-イレブンやアイリスオーヤマと組み、事業を発展させることができた理由について、針生さんは「自分は商社型の人間だから」と説明する。
栽培にとどまらず、どう売るべきかを考え、企業と連携しながらビジネスを構築する。それを得意とするのが、針生さんの言う「商社型」の意味だ。さまざまな経験を踏まえていま、さらなる飛躍を視野に入れ始めた。

舞台アグリイノベーションの精米工場
液肥の要らない土の開発へ
針生さんが事業を一段と発展させるための拠点と位置づけているのが、2021年10月に宮城県美里町で竣工した水耕栽培施設「美里グリーンベース」だ。温湿度などをコンピューターで制御し、レタスを育てている。
施設の面積は5.1ヘクタール。中に入ってまず驚くのは、ほぼ自動化された栽培の仕組みだ。自動で搬入されてきた苗をロボットアームがまとめて数株つかみ、素早く別のトレーに移し替える。レタスが大きくなるのに伴い、間隔が狭すぎて生育が阻害されないように株間が自動で広がる。
人がほぼいない広大な空間で作業が進む様子はそれだけで印象的だが、この施設にはもうひとつ別の特徴がある。