きっかけは高校時代。農業に光と希望をもたらすスマート農業の魅力
今回、福島県相馬地域が実施する農業体験に参加したのは、南相馬市出身のKさん。現在、農業大学校で学ぶ次世代の農業人です。
「家業が農業なので、将来は継承する目的で農業を学んでいます。より実践的な学びをしたいと考え、農業体験に参加しました」。
と、話すKさんの体験先は南相馬市小高地区にある株式会社 紅梅夢ファーム(こうばいゆめふぁーむ)です。Kさんと同社の出会いは高校時代に参加した農業体験。また、農業体験の約1ヶ月前に、同社で開催された福島イノベーションコースト構想事業※の一環であるロボットコンバインの実演会に参加した際、スマート農業がもたらす農業の可能性を見出すことができたと当時を振り返ります。
※福島イノベーションコースト構想事業…東日本大震災及び原子力災害によって壊滅的な被害を受けた福島県浜通り地域などの産業回復を目標に、新たな産業基盤の構築を目指すプロジェクト。 廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産などを活かした新たな産業の創出を進め、産業集積や人材育成、交流人口の拡大にも取り組んでいる。
「紅梅夢ファームが実践するロボットコンバインやIoTによる圃場(ほじょう)や作業管理を目にして『これからの農業はこれだ!』という衝撃を受けました。土地利用型経営(=圃場を集約し、大規模化を図ることで大型機械による営農を行う方法。これにより、米や大豆など面積当たりの収益が低い作物の一人当たりの管理面積が大きくなり、収益向上につながる。)やJGAP、FGAPの取得、インターネット販売など、新しいことにチャレンジする営農スタイルにも共感しました」。
Kさんにとって今回の農業体験は待ちに待ったチャンス。2日間の体験プログラムでは主に大豆の選別作業を体験しました。スタッフと共に働きながら得たのは、最新鋭の技術や機械の操作だけでなく、紅梅夢ファームの社風や、スタッフ同士楽しく仲良く働いている姿が印象に残ったと言葉を続けます。
「高齢化が進む農業ですが、紅梅夢ファームでは20代の若いスタッフが第一線で活躍しています。各圃場をカメラで監視したり、作業工程や日々の業務をIoTで見える化するなど、IT機器をスマートに使いこなすスタッフの働きぶりは本当にかっこよかったです」。
体験プログラムでは機械による大豆の選別、袋詰めなどの作業を体験したKさん。30キロの大豆が入った袋を持ち上げてパレットに運んで積む作業は、想像以上に大変だったが、やりがいがあったと話します。
「自動化が進む農業ですが、全て機械任せではなく、人間の手が必要になることもあると思います。また、自然相手の仕事なので予定通りにはいかないことも。こうした農業の厳しさも含め、さまざまなことを体験できた今回の農業体験は、これから自分が目指す営農スタイルの指標になると確信しました」
未曾有の被害をもたらした東日本大震災発生時、小学生だったKさん。避難を余儀なくされ、地元を離れる人が多い中、Kさん一家は南相馬市に残り、営農を再開しました。将来、家業を継ぐ際には、スマート農業技術を取り入れ、段階的に規模を拡大し、ゆくゆくは法人化を目指すと、今後の展望を話してくれました。
「私がやらなければ故郷の田園風景が失われてしまうー。祖父母が農作業をしている姿を一番近くで見てきた私にとって、農業はかっこいい職業です。農業学校卒業後は地元の農業法人に就職し、修行期間を経て家業の法人化を目指しています。そのためにも紅梅夢ファームさんでもっともっと学びたいですね」。
将来の展望を話すKさんの表情は、明るく輝いていました。
若手育成に尽力する紅梅夢ファームが目指すこれからの農業とは
これまで多くの農業体験者を受け入れてきた紅梅夢ファームの代表取締役である佐藤 良一(さとう・りょういち)さんは、2017年に同社を設立。栽培面積9ヘクタールからスタートし、現在は117ヘクタールの圃場で米、麦、大豆、タマネギなどを栽培。大規模化に加え、6次産業化にも積極的に取り組み、浦里の雫(菜の花オイル)をはじめとした加工品の製造、販売も手がけています。
「東日本大震災で離農する農家が後を絶たない中、地域農業を維持、継承していくためには営農再開をする農家を待つのではなく、担い手育成が急務でした。農業を志す若い世代を積極的に雇用し、一般企業と変わらない勤務形態や労務管理を徹底することで、農業法人としての信頼と価値を高めています」。
営農管理システムやロボットトラクターを導入し、社員はタブレットで日々の作業をチェック。そこにはモデルケースのような新しい農業が存在しています。経営面においても市場出荷ではなく、商社と直接価格交渉をし、取引きすることで安定経営を実現。労務管理においては週休二日制、残業手当、ボーナスも支給しています。農業体験者にはぜひ、企業としての農業の姿を知り、職業の選択に農業を検討してほしいと話します。
「農業は儲からない、キツいといった負のイメージから、儲かる仕組みやかっこいい農業の姿をぜひ、体感してもらいたいですね。また、農業は生きる上で欠かせない安全・安心な食糧を作っています。わが国の基幹産業に携わる高い意識を感じていただけたら嬉しいです」。
と、農業体験者を受け入れる思いを語る佐藤さん。同社は今後、圃場規模を350ヘクタールまで拡大し、それに伴った雇用と設備投資を予定しています。
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福島県相馬地域が実施する農業体験では、Kさんのように1カ所の体験先で集中的に学ぶ方法と、複数の体験先で異なる作物を体験する方法を選択することができます。コースはスケジュールや希望に合わせ、「2泊3日からOKの短期体験」と「しっかりじっくり学べる14日間の中期体験」の2コースから選べます。
農業に興味はあるけれど何から始めてよいのかわからない人から、本格的に農業を学びたい人まで幅広いニーズに対応している福島県相馬地域の農業体験。その貴重な体験は将来のビジョンを描くきっかけになることでしょう。
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