世の中に、天然物由来のPOWERを
昨今、SDGs への取り組みや環境意識の高まりを受けて、農業や園芸における病害虫防除から家庭での害虫駆除、衛生管理に至るまで、あらゆる場面で環境負荷が低い製品が求められるようになっている。
農林水産省は環境保全型農業直接支払交付金を出すなどして、環境保全型農業を推進している。環境保全型農業とは、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくりなどを通じて化学肥料、農薬の使用などによる環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」だ。農家も、環境への配慮を求められているといえる。また、環境に配慮した商品づくりは、生み出している農業法人自体の価値を高めることにもつながる。
住友化学株式会社と、グループ会社の住友化学園芸株式会社、住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社は、「世の中に、天然のPOWERを。」をスローガンとし、長年にわたり化学製品の製造や販売で培ってきた技術やノウハウを活かした天然物由来製品のブランディング活動および開発・販売の強化を表明した。
天然物由来成分を活用した製品で病害虫を撃退
住友化学グループでは、天然物由来などの微生物農薬、植物成長調整剤、根圏微生物資材などや、それらを用いて作物を病害虫から保護したり、作物の品質や収量を向上させたりするソリューションを「バイオラショナル」と定義して、その活動を推し進めている。
自然界に広く存在している芽胞(がほう)細菌のバチルス・チューリンゲンシス(略称Bt菌)は、殺虫力がある一方で人畜、魚介類、鳥類に対する毒性が低い。
Bt菌を用いたBT剤は、ヨトウムシやコナガなどのチョウ目害虫に対して安定した効果を発揮することから、ローテーション防除の一剤として知られている。JAS法に基づく有機農作物の生産にも使用できる。
例えばゼンターリ顆粒水和剤は、マルハナバチ、ミツバチ、天敵などへの影響が少なく、環境に優しい薬剤だ。アイザワイ系統菌が持つ結晶性タンパク質により、他剤で抵抗性の発達したコナガに対しても安定した効果を発揮する。もちろん、ヨトウムシ、ハスモンヨトウに対しても効果を示し、コナガとの同時防除が可能だ。
BT剤には他にも、アイザワイ系のフローバックDFやクルスターキ系のエスマルクDFがある。
家庭菜園向けの商品では、チョウ目害虫の殺虫効果が高いBT菌、ハダニ対策に効果を発揮する植物油、抵抗性のついた病害虫も退治する水あめの三つの天然物由来成分によって害虫と病気にアプローチする新発売の「ベニカナチュラルスプレー」がある。
グローバルな天然物由来製品の取り組み
古くから殺虫剤の原料として利用され続けてきた天然物由来の殺虫成分として、キク科の多年草「除虫菊」から抽出したピレトリンがある。住友化学は、グループ会社であるボタニカル・リソーシズ・オーストラリア社を、このピレトリンの生産拠点の一つとして安定した生産・供給体制を構築している。グローバルに連携することで、天然物由来成分を使用した殺虫剤の販売を実現しているのだ。
これまで化学の知見を磨き続け蓄積してきたからこそ、天然物由来成分を活用して課題を解決できる。天然物由来成分が持っている元来の力をいかんなく発揮する製品を生み出し続ける住友化学に注目だ。