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中山間地で有機栽培、効率のハンディを克服して規模拡大したノウハウ

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

中山間地で有機栽培、効率のハンディを克服して規模拡大したノウハウ

農薬や化学肥料を使う栽培方法と比べ、有機栽培は農産物を効率的につくって安く売るのが難しい。農場のある場所が中山間地ならなおさらだ。だがそのハンディを乗り越え、経営を発展させている農場がある。山口農園(奈良県宇陀市)の社長、山口貴義(やまぐち・たかよし)さんを取材した。

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傾斜地に延々と続く栽培ハウス

山口農園の主な栽培品目は葉物野菜。ホウレンソウ、ミズナ、ルッコラ、チンゲンサイなどを、農薬や化学肥料を使わずに170棟のハウスで育てている。第三者機関による審査を経て、有機JASの認証も取得している。農園の面積は10ヘクタール。パートを含め、従業員は55人いる。

有機栽培で170棟ものハウスを持つ山口農園は大規模の部類に入る。だが農園を訪ねてみてそれ以上に驚くのは、山あいの傾斜地に延々と並んでいるハウスの姿だ。平地で規模を拡大するのと違い、効率性を追求するのが難しい場所に農園はある。

ハウスのほとんどは、もともと田んぼだった場所にある。高齢農家の引退に伴って農地を引き受け、ハウスを増やしてきた。収益性を第一に考えれば、別の選択肢があったかもしれない。だが山口さんは「農地が荒れるのを防ぎたい」と考え、この場所で営農を成り立たせる方法を模索してきた。

傾斜地に並ぶハウス

事務所の近くにある堆肥(たいひ)場を見ても、農園が条件不利地にあることがわかる。原料は畜産農家から調達した牛ふんと出荷できなかった葉物野菜の残渣(ざんさ)、米ぬかなど。特殊なのは、地面に2メートルほどの穴を3つ掘り、その中に原料を入れてつくっている点だ。

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