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家族経営から組織的経営へ、脱皮を可能にした社員の「やる気アップ」

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

家族経営から組織的経営へ、脱皮を可能にした社員の「やる気アップ」

農場の規模拡大の成否を大きく左右するのは、「家族経営から組織的な経営に脱皮できるかどうか」だ。170棟のハウスで葉物野菜を栽培している山口農園(奈良県宇陀市)も、そんな課題を乗り越えて成長してきた。社長の山口貴義(やまぐち・たかよし)さんに組織づくりのプロセスについて聞いた。

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課題だった作業時間のロス

山口農園はホウレンソウやミズナ、ルッコラ、チンゲンサイなどを、有機栽培で育てている。パートを含め、従業員は55人。経営形態は有限会社で、社内には加工、生産、収穫、総務、営業販売など7つの組織がある。

農園はもともと、山口さんの妻の父親が運営していた。会社員や公務員の経験を経て、山口さんが正式に農園で働き始めたのは2005年。義父から「一緒に農業をやってほしい」と頼まれたのがきっかけだ。ずっと家族経営だった農園はその年、有限会社になった。売り先を増やすには法人化し、信用力を高めたほうがいいと義父が考えたからだ。

いずれ自分が代表になることを意識し、耕す人がいなくなった地域の農地を引き受ける必要性を感じていた山口さんにとって、法人化はプラスに働いた。事業を拡大するには、組織的な運営が大切だとかねて思っていたからだ。

これ以前にも、山口さんは会社や役場で働きながら、週末に農作業を手伝うことがしばしばあった。そのとき驚いたのは、会社員では想像できない農家の働き方だ。例えば「朝に来て」と頼まれることがあった。「7時かな」と思って聞いてみたら、夜明け前の「3時」。農家にとって決して珍しいことではない。

山口農園の看板

「家族で働くとはこういうことなのか」というカルチャーショックも受けた。一緒にハウスに行って栽培や収穫をし、みんなで出荷作業をし、一緒に休む。誰かが見たいテレビ番組があれば一緒に見て、終わってから作業を再開することもときにあった。

多くの農家が家族で働きながら身につけた仕事のリズムであり、彼らにとっては当然のことだった。だが山口さんは農園で本格的に働き始めたとき、こう思った。「きちんと休みを取り、家族サービスをし、趣味の時間も持ちたい」

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