冷たく豊かな水があってこその『雪ほたか』
『雪ほたか』は、川場村を見守るようにそびえ、4月ごろまで雪化粧が残る武尊山(ほたかやま)からブランド名が名づけられました。今回お話しいただいたのは、株式会社雪ほたかの小林仁志さん。川場村で育ち、『雪ほたか』で世界最高米生産者に3度も選ばれています。
━━小林さんが『米・食味分析鑑定コンクール』に参加しはじめたきっかけを教えてください。
受賞するためにはどうすればいいのか?栽培方法を考え直してみたり、品種を試すなどの試験をしてみたり、いろいろと工夫しました。コンクールが、お米づくりへのモチベーションの1つになったと思います。
『第25回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 in つなん』の詳細はこちら
━━工夫を重ね「お米づくりには何が大切なのか」お気づきになった点はありますか?
━━川場村の環境ならではの特徴とは何でしょうか?
昼間は入れず、水が温まってから夜間に入れるなどの工夫が必要なんです。でも、水の冷たさにはメリットもあるんですよ。水が温かすぎると、稲が高温障害になってしまうケースがあります。温まった水を冷やすのはとても大変。
でも、冷たい水は田んぼに入れてから日光で温められます。このキレイで冷たい水は、川場村の大きな特徴ですね。
━━では『雪ほたか』の味わいの特徴を教えてください。
━━『米・食味分析鑑定コンクール』で評価してもらうための工夫はありますか?
川場村の田園風景を守った『雪ほたか』ブランド
━━『米・食味分析鑑定コンクール』で小林さんご自身がはじめて金賞を受賞されたときは、どのようなお気持ちでしたか?
金賞と評価していただきホッとしましたし、『雪ほたか』のブランドとしての価値を次に繋げられたような気持ちになりましたね。
━━川場村のコシヒカリが『雪ほたか』としてブランド化され、どのような価値を実感されていますか?
『雪ほたか』が川場村の景色を守ってくれていると思うんです。お米を美味しく作れる環境があっても、知る人ぞ知るというお米では、この景色を守れない。自信を持ったブランド化が、この景色を作っているんだと思います。
━━川場村の豊かな田園風景を守るのは、SDGsの考え方にも共鳴する部分があると思います。次の世代へと繋いでいくためには、何が大切だと思いますか?
生産面では、まだまだ僕より上の世代が中核になっていますが、僕らの世代が中核になってきたとき、バトンを受け継ぐ世代として何ができるのかが課題だと感じています。
━━改めて、『米・食味分析鑑定コンクール』に参加する意義をお聞かせください。
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━━何度も金賞を受賞している『雪ほたか』でも緊張するんですか?
農業は川場村の基本!それを維持し続けていきたい
『雪ほたか』は、自治体と農家がタッグを組んでブランドを形成しているのも大きな特徴です。そこで、川場村の外山京太郎村長と、株式会社雪ほたかの代表 小林政幸さんにも加わっていただき、川場村にとっての『雪ほたか』についてお話いただきました。
━━『雪ほたか』は村と農家が手を取り合って成立させているブラントというのが、全国でも非常に特徴的だと思います。どのような想いで取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
農業は川場村の基本であり、農業あっての観光なんです。それは50年経っても変わりません。基本の継承が川場村の強みですし、『雪ほたか』のように農業の根幹となるお米をブランドとしてより広く知っていただくのを大切にしています。
━━『雪ほたか』を通して、今後どのように川場村を盛り上げていきたいですか?
この場所から見える景色というのは40年、50年と変わっていないんですね。山があって、水が育まれ、いい空気が運ばれてきて、おいしいものができる。全部が揃っているのが川場村なので、それをずっと継承していきたいです。
『雪ほたか』は、米ニューヨークのレストランや香港の有名店でも使用されるなど、世界で評価いただいています。もっと知っていただくためにも、コラボ商品など、新しい取り組みもしていきたいですね。
その味わいが各方面から高い評価を受けている『雪ほたか』。コンクールを通じてクオリティを高め、農作物としての価値だけではなく、川場村の自然豊かな景色を守るものとして、大きな価値を持っていると分かりました。
『雪ほたか』を始め、全国各地のおいしいお米と生産者が集う『第25回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 in つなん』は、2023年12月1日(金)・2日(土)に新潟県のニュー・グリーンピア津南にて開催されます。全国のお米がどのように評価されるのか、注目してみてはいかがでしょうか。
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著者:宮崎新之
撮影:荒金大介