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米・食味分析鑑定コンクール:国際大会で金賞を連続受賞!『雪ほたか』の生産者はなぜコンクールに挑むのか?

米・食味分析鑑定コンクール:国際大会で金賞を連続受賞!『雪ほたか』の生産者はなぜコンクールに挑むのか?

国内外のお米を一堂に集めて審査・評価し、安全性・良い食味を求める生産者や団体の支援を目的に開催されている『米食味分析鑑定コンクール:国際大会』。本コンクールで連続金賞を受賞している群馬県川場村のコシヒカリ『雪ほたか』は、かつて村の縁故関係者のみで食されていたという幻のお米です。近年、市場に出回るようになり「おいしいお米」として一般にも認知が広がりつつある『雪ほたか』。生産者がコンクールに挑む意味や、自治体と手を組んでお米をブランド化していく意義について、お話いただきました。

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冷たく豊かな水があってこその『雪ほたか』

『雪ほたか』は、川場村を見守るようにそびえ、4月ごろまで雪化粧が残る武尊山(ほたかやま)からブランド名が名づけられました。今回お話しいただいたのは、株式会社雪ほたかの小林仁志さん。川場村で育ち、『雪ほたか』で世界最高米生産者に3度も選ばれています。

株式会社雪ほたかの小林仁志さん

━━小林さんが『米・食味分析鑑定コンクール』に参加しはじめたきっかけを教えてください。

2011年に川場村で『米・食味分析鑑定コンクール』が開催され、先輩生産者3人が金賞を受賞したんです。それで「自分も金賞を取ってみたい」と思ったのが、本格的に取り組んだきっかけですね。

受賞するためにはどうすればいいのか?栽培方法を考え直してみたり、品種を試すなどの試験をしてみたり、いろいろと工夫しました。コンクールが、お米づくりへのモチベーションの1つになったと思います。

『第25回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 in つなん』の詳細はこちら

━━工夫を重ね「お米づくりには何が大切なのか」お気づきになった点はありますか?

いろいろやりましたが、やっぱり基本が1番。水の出し入れや日々の栽培管理など、基本を外してしまうと全然ダメになってしまう。基本は絶対で、そこにプラスして川場村の環境ならではの特徴を考慮し、何とか金賞に近づけていくよう心掛けています。

━━川場村の環境ならではの特徴とは何でしょうか?

水が非常に冷たいですね。視察に来られた方なども、水路の水のキレイさと冷たさにいつも驚かれます。水が冷たすぎると育ちが悪くなってしまうので、流し入れるタイミングは気を使いますね。

昼間は入れず、水が温まってから夜間に入れるなどの工夫が必要なんです。でも、水の冷たさにはメリットもあるんですよ。水が温かすぎると、稲が高温障害になってしまうケースがあります。温まった水を冷やすのはとても大変。

でも、冷たい水は田んぼに入れてから日光で温められます。このキレイで冷たい水は、川場村の大きな特徴ですね。

━━では『雪ほたか』の味わいの特徴を教えてください。

よく仰っていただくのは、味わいの甘さ。甘みがすごく強いのは、コシヒカリという品種のポテンシャルを引き出せているからだと思います。コシヒカリを生育するのに、川場村の環境が適しているからこその味わいですね。

━━『米・食味分析鑑定コンクール』で評価してもらうための工夫はありますか?

1次審査の食味計による機械審査を通過するために高い数値を狙っています。ですが、収量を重視しすぎると食味が上がらないんです。収量と食味のバランスは非常に難しいところですね。今は収量も食味も上げる方法がないか研究しています。

川場村の田園風景を守った『雪ほたか』ブランド

━━『米・食味分析鑑定コンクール』で小林さんご自身がはじめて金賞を受賞されたときは、どのようなお気持ちでしたか?

実は『雪ほたか』の連続金賞が1年だけ途絶えた年があるんです。私がはじめて受賞したのは、途絶えた年の翌年。なので、「なんとしても受賞したい!」と、緊張感のあるコンクールでした。

金賞と評価していただきホッとしましたし、『雪ほたか』のブランドとしての価値を次に繋げられたような気持ちになりましたね。

━━川場村のコシヒカリが『雪ほたか』としてブランド化され、どのような価値を実感されていますか?

まずは、いろいろな人に知っていただけること。それが生産継続につながりますから。残念ながら、近隣の市町村では稲を作っていない田んぼが増えています。もし『雪ほたか』がブランド化できていなかったら、川場村も同じ風景が広がっていたかもしれない。

『雪ほたか』が川場村の景色を守ってくれていると思うんです。お米を美味しく作れる環境があっても、知る人ぞ知るというお米では、この景色を守れない。自信を持ったブランド化が、この景色を作っているんだと思います。

━━川場村の豊かな田園風景を守るのは、SDGsの考え方にも共鳴する部分があると思います。次の世代へと繋いでいくためには、何が大切だと思いますか?

ここ10年ほど、環境に配慮した栽培試験を続けています。無農薬栽培もずっと続けていまして、その量も少しずつ増やしていきたいですね。

生産面では、まだまだ僕より上の世代が中核になっていますが、僕らの世代が中核になってきたとき、バトンを受け継ぐ世代として何ができるのかが課題だと感じています。

━━改めて、『米・食味分析鑑定コンクール』に参加する意義をお聞かせください。

コンクールで『雪ほたか』を多くの人に知っていただき、成長につながったのは間違いありません。また、全国の生産者との交流機会ですね。お互いに現地視察をして、新しい発見が得られる場合もあります。それが楽しいのですが、やはり緊張も大きいですよ。

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━━何度も金賞を受賞している『雪ほたか』でも緊張するんですか?

自然が相手のものですから、必ず審査に通過できるものではありません。『雪ほたか』だとしても、金賞をいただけるかは分かりませんから。でも、やはり年1回、いろんな生産者と意見交換できる有意義な場ですから、毎年頑張りたいと思えますね。

農業は川場村の基本!それを維持し続けていきたい

『雪ほたか』は、自治体と農家がタッグを組んでブランドを形成しているのも大きな特徴です。そこで、川場村の外山京太郎村長と、株式会社雪ほたかの代表 小林政幸さんにも加わっていただき、川場村にとっての『雪ほたか』についてお話いただきました。

写真左から川場村 外山京太郎村長、株式会社雪ほたか 小林仁志さん、株式会社雪ほたか 代表 小林政幸さん

━━『雪ほたか』は村と農家が手を取り合って成立させているブラントというのが、全国でも非常に特徴的だと思います。どのような想いで取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

川場村は半世紀ほど前、6代前の村長の頃に「農業+観光」という政策を打ち出しました。若い農業後継者が川場村から出てしまうのを防ぐため、観光を取り入れたんですね。しかし、農業より前に観光が出てはいけないと考えました。

農業は川場村の基本であり、農業あっての観光なんです。それは50年経っても変わりません。基本の継承が川場村の強みですし、『雪ほたか』のように農業の根幹となるお米をブランドとしてより広く知っていただくのを大切にしています。

川場村にはいわゆる大規模農家は少なく、小さい農家が寄り添っているんです。それぞれが川場村を愛する村民で、村のサポートを受けながら、全員が同じ方向を向いて、しっかりと『雪ほたか』ブランドを作っていると思いますね。

『雪ほたか』は多くの人に評価され、本当に地球の裏側でも食べていただいている。そんなお米を作れるのは本当に嬉しいですし、やりがいを感じています。自治体のサポートもあり、ブランド化によってしっかりと収益を上げている。農業経営の面でも大きなメリットだと感じます。

━━『雪ほたか』を通して、今後どのように川場村を盛り上げていきたいですか?

川場村は休んでいる田んぼが1つもない環境が、大きなPRポイントです。この景観を守り続けるのが川場村の存続であり、発展ですね。おかげさまで道の駅「川場田園プラザ」は、全国の皆さまにご好評いただいています。

この場所から見える景色というのは40年、50年と変わっていないんですね。山があって、水が育まれ、いい空気が運ばれてきて、おいしいものができる。全部が揃っているのが川場村なので、それをずっと継承していきたいです。

この田園風景を100年後にも、しっかりとキレイなまま保ちたいと考えています。そのためにも、しっかりとしたブランドと商品を、価格も含めて広く皆さんに評価していただけるよう作り続ける。

『雪ほたか』は、米ニューヨークのレストランや香港の有名店でも使用されるなど、世界で評価いただいています。もっと知っていただくためにも、コラボ商品など、新しい取り組みもしていきたいですね。

今の生産者の中心は60代、70代。この先10年、20年先を考えたときに、我々の世代がどうなっていくのかを考えて、体制を作らなければなりません。ずっと「同じ」では続けられないので、どう変化したり、形を作ったりしていくのかを考えていかなければならないですね。

***

その味わいが各方面から高い評価を受けている『雪ほたか』。コンクールを通じてクオリティを高め、農作物としての価値だけではなく、川場村の自然豊かな景色を守るものとして、大きな価値を持っていると分かりました。

『雪ほたか』を始め、全国各地のおいしいお米と生産者が集う『第25回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 in つなん』は、2023年12月1日(金)・2日(土)に新潟県のニュー・グリーンピア津南にて開催されます。全国のお米がどのように評価されるのか、注目してみてはいかがでしょうか。

『第25回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 in つなん』の詳細はこちら

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著者:宮崎新之
撮影:荒金大介

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