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牛ふん堆肥とは? 正しい使い方やまく量の目安を農家が解説

鮫島 理央

ライター:

牛ふん堆肥とは? 正しい使い方やまく量の目安を農家が解説

農業において必要不可欠な資材である牛ふん堆肥(たいひ)。プロの現場だけではなく、家庭菜園の場においても見かけることの多い資材です。ホームセンターなどでも手軽に入手できるほか、土壌改良材や有機肥料として使われることもある汎用(はんよう)性の高い農業資材ですが、誤った使い方をすると逆効果になってしまうことも。本記事では牛ふん堆肥の成分や使い方、作り方まで詳しく解説していきます。ぜひ参考にして、牛ふん堆肥の正しい取り扱い方を覚えてください。

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牛ふん堆肥とは?

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牛ふん堆肥は、牛のふんにもみ殻やワラといった植物性副資材を加えて発酵させた有機質肥料です。この肥料は、土壌改良剤としての使用が主で、肥料としても有効。乾燥牛ふんとは異なり、発酵させることで不快な臭いを減少させています。

しかし、土に直接混ぜる際は、土壌内の窒素を一時的に消費するため、使用方法には注意が必要です。また、乾燥牛ふんは発酵していないため、そのままでは臭いが強く、土壌に直接混ぜると窒素競合を引き起こします。

牛ふん堆肥の成分

牛ふん堆肥は窒素、リン酸、カリを多く含み、鶏ふんや豚ぷんに比べて肥料成分は控えめです。しかし、有機物を豊富に含むため、土壌の通気性と保水性を改善します。

分解される速度がゆっくりなので、長期間にわたって土壌を豊かにし、植物の成長を支えます。適切に使うことで、土壌の健康を長期にわたり保つことができます。

鶏ふんや油かすとの違い

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油かす

牛ふん堆肥、鶏ふん、油かすはそれぞれ異なる特性を持ちます。

鶏ふんは三大栄養素が豊富ですが、発酵不足で臭いが問題となります。ペレット状の鶏ふんは高価ですが、取り扱いやすく臭いも少ないです。

油かすは窒素に富み、土壌改良に役立ちますが、発酵前に使用すると悪臭がしたりハエを引き寄せたりすることがあります。

牛ふん堆肥はこれらと比較して、穏やかな肥料成分と有機物を豊富に含み、土壌の通気性と保水性を向上させます。適切に利用することで、土壌環境を長期的に改善できます。

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牛ふん堆肥が適している作物の例

牛ふん堆肥は、ナス、トマト、ピーマンなど肥料の効果を長期にわたって必要とする野菜に最適です。これらの作物は、ゆっくりと分解される有機物から栄養を得ることで、健康的に成長します。

一方で、ジャガイモやサツマイモなどの作物には不向きです。これらは牛ふん堆肥を使用すると、つるぼけの原因となることがあります。

牛ふん堆肥を使用するメリットや得られる効果

牛ふん堆肥を使うと、次のような効果が得られます。

  1. 土壌の団粒化が促進される
  2. 病害虫の予防につながる
  3. 肥料としても使える

それぞれ詳しく解説していきます。

土壌の団粒化が促進される

牛ふん堆肥を使うことで、土壌の団粒化が進みます。堆肥に含まれる豊富な有機物はゆっくり分解が進みます。時間をかけて分解されることで土壌がふかふかになり、空気の循環が改善されます。土壌の構造が良くなることで、根張りが良くなり、植物の成長が良くなります。

病害虫の予防につながる

牛ふん堆肥に含まれる有機物が、微生物や土壌生物の栄養源になります。土壌中の微生物などが増えることで、病原菌の増加を防ぎ、害虫の繁殖を抑止してくれます。それと同時に、土壌の保肥力が向上し、作物が病気にかかりにくい健康な環境が整えられ、病害虫の予防につながります。

肥料としても使える

土壌改良材としてのイメージが強い牛ふん堆肥ですが、実は肥料としても活用できます。牛ふん堆肥には窒素やリン酸、カリなどが含まれており、植物の生育に必要な栄養をバランス良く供給してくれます。

さらに、鉄や銅、亜鉛といった大切な微量栄養素も含んでいます。牛ふん堆肥は緩効性なので、バラや庭木の冬の栄養源としても適しています。

牛ふん堆肥を使用する際の注意点

便利な牛ふん堆肥ですが、使い方を間違えると逆効果になってしまうことも。
使う際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

入れすぎると肥料過多になる

牛ふん堆肥を過剰に使用すると、肥料過多の状態を引き起こす可能性があります。
リンの過剰は他の微量栄養素の欠乏を招き、カリウムの過剰はカルシウムやマグネシウムの不足につながります。適切な使用量を守り、土壌の栄養バランスが偏らないよう注意しましょう。

ガス湧きの可能性がある

未熟な牛ふん堆肥を使用すると、発酵が進んでアンモニアガスなどが発生し、ガス湧きのリスクがあります。このガスは作物の根や葉にダメージを与える可能性があります。パッケージに「完熟」と記載されていても、実際には未熟な場合があるため、使用時は注意が必要です。適切に発酵された堆肥を選ぶことで、この問題を避けられます。

牛ふん堆肥の作り方

牛ふん堆肥を作るには、最初に水分量を70%に調整し、雨を避けて牛ふんを積み上げます。水分量が多すぎる場合は、おがくずや稲わらで水分調節をしましょう。逆に水分量が少ない場合は、水をかけて水分量を調整します。

発酵中は2カ月ごとにかき混ぜます。適度に酸素を供給することで、発酵を促進しましょう。生の牛ふんには、病原菌や雑草の種が含まれていますが、発酵することで約80度の熱を発し、病原菌や雑草の種を死滅させることができます。

仕込んでから約半年で病害予防に効果的な牛ふん堆肥が完成します。手で握って形が崩れる程度が完成のサインです。

コメリやカインズで購入する場合の費用

ホームセンターなどで市販されている牛ふん堆肥の相場は、10リットル入りで500円前後、20リットル入りで1000円前後です。商品によって特徴や値段が異なるので、実際に店頭でチェックしてみましょう。

牛ふん堆肥の1平方メートルあたりの目安量と使い方(まき方)

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実際に牛ふん堆肥をまくときに、どのくらいの量が必要になるのか。
また、どのような方法でまくのかを解説していきます。

1平方メートルあたり2〜3kgほどを目安にまく

牛ふん堆肥は成分がゆっくり分解されるので、土壌に吸収されるまで時間がかかります。使う際は、作物の植え付けを行う2週間前までにまきましょう。

散布する量の目安は、1平方メートルあたり2~3kgほど。
土壌の状況や栽培する作物によってバラつきがありますので、栽培前に確認しましょう。

クワやシャベルを使って土の中にすき込む

土の表面に牛ふん堆肥をまいた後は、クワやシャベルを使ってしっかりすき込みましょう。
深めにクワを入れて、20~30センチくらいまで掘り返すのがポイントです。

牛ふん堆肥の使い方に関してよくある質問

牛ふん堆肥を使う際に、よくある質問をまとめました。
それぞれ詳しく解説していきますので、参考にしてください。

Q.使った後すぐに作物を植えてもよい?

完熟した牛ふん堆肥ならば、使った後すぐに作物を植え付けても大丈夫です。しかし、市販品でパッケージに完熟と記されていても、実際には未熟な場合があります。そういった未熟な堆肥の使用は避けるべきです。未熟堆肥を使用すると、ガス発生や雑菌、害虫の繁殖、雑草の増加の原因になります。完熟のサインとしては、感触がサラサラしており、臭いがないことです。

Q.入れすぎたらどうすればよい?

牛糞ふん堆肥を土壌に入れすぎた場合、すぐに作物を植え付けずに2週間から1カ月放置し、土になじませることが重要です。ゆっくりと土壌の栄養バランスが整い、肥料過多の問題を緩和できます。

もし早急に対処したい場合は、珪酸塩白土を混ぜ込むと良いでしょう。珪酸塩白土はアンモニアガスを吸着し、植物の栄養に変換する効果があり、牛ふん堆肥との相性が良いです。

Q.牛ふん堆肥と苦土石灰のどちらを先に使えばよい?

牛ふん堆肥は、苦土石灰を使う前に使用します。牛ふん堆肥を施した後、1〜2週間空けてから苦土石灰を使用するのが良いでしょう。これは、両者を同時に使うと、栄養素が相互に影響し合い、効果を減少させる可能性があるためです。しっかり間隔をあけることで、それぞれの肥料が土壌に最適な効果を発揮できます。

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Q.虫はわきませんか?

未熟の牛ふん堆肥は臭いが原因で虫がわくことがありますが、完熟のものはハエなどの害虫がわきずらいため、虫を避け、近隣への迷惑を防ぐためにも、完熟した牛ふん堆肥を使用しましょう。
未熟の牛ふん堆肥は臭いの発生源になるだけでなく、病害虫発生の温床になってしまいます。決して使わないようにしましょう。

Q.臭いはありませんか?

完熟した牛ふん堆肥は、ものによって多少の発酵臭はありますが、悪臭はしません。質感はふわっとしており、握っても手に残らない程度です。一方、未熟の牛ふん堆肥は悪臭があり、使用すると作物に悪影響を及ぼす可能性があるため、使ってはいけません。

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まとめ

土壌改良材として農業や園芸には欠かせない牛ふん堆肥。価格も比較的安く、ホームセンターやガーデンショップでも入手しやすく、使いやすい有機肥料です。
1、2回使ったくらいでは、効果を実感しにくいかもしれません。しかし牛ふん堆肥を使って畑作を長く続けていくにつれて、段々と土壌がなじんで、良い土壌が出来上がっていくでしょう。

使いやすく便利な牛ふん堆肥ではありますが、使い方を誤ると逆効果になってしまう可能性もあります。本記事を参考にして、正しく牛ふん堆肥を取り扱って、より良い園芸ライフを送ってください。

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  1. マイナビ農業編集部(勇崎) より:

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