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6次化でニンジン焼酎、販売に弾みをつけた意外性とニュースリリース

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

6次化でニンジン焼酎、販売に弾みをつけた意外性とニュースリリース

6次産業化は農家にとって悩ましいテーマだ。農業を活性化する手立ての一つとして農政が旗を振っているが、農業界からは「簡単ではない」という声も聞こえてくる。6次化には何が必要なのか。埼玉県朝霞市の野菜農家、相沢敦(あいざわ・あつし)さんの取り組みからそのことを考えてみたい。

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スーパーで売られていたのは他県産のニンジン

相沢さんは45歳。長年勤めた会社を6年前にやめて、代々続く農家である妻の実家で農業を始めた。栽培面積は2ヘクタール強で、畑の周りを住宅が取り囲んでいる。営農のタイプでいえば典型的な都市近郊型だ。

農業を始める際、相沢さんが目指したのは「地域の人との交流を深めること」だった。そのために栽培品目を増やして庭先の直売コーナーで販売したり、マルシェに出品したりして、地元の人と接する機会を増やしてきた。

一方、妻の父親がメインで育てていたニンジンとホウレンソウは、これまで通り市場出荷を中心にしていた。そのうちニンジンに関し、ちょっとした驚きの体験をしたことが、6次化に乗り出すきっかけになった。

相沢さんのニンジン畑

2020年の正月、相沢さんは近くのスーパーをふとのぞいてみてドキッとした。棚に山積みになっているニンジンが千葉県産だったのだ。ニンジンは朝霞市で栽培が盛んな品目のはず。だが棚にその姿はなかった。

地元の市場に出荷した後、ニンジンがどこにどう運ばれていくのかを深く考えてみたことはなかった。ただし漠然と、朝霞市で売られているニンジンの多くは地元産なのだろうとイメージしていた。現実は違った。

これは市場を経由する流通網の中で、往々にして起き得ることだ。地元の野菜が地元のスーパーに並ぶとは限らない。おそらく、相沢さんが訪ねたスーパーのニーズに量や価格で最も応えたのが、千葉県産だったのだろう。

この経験は、「地域密着でやりたい」と思って農業の世界に入った相沢さんの挑戦心に火をつけた。「ニンジンがたくさん作られていることを、地域の人にもっと知ってもらいたい」。そう思って着目したのが加工品づくりだった。

食品メーカーと競合しない加工品とは

相沢さんは「朝霞市の農業を代表する作物であるニンジンで、何か楽しいことをやってみたい」と考えた。そのまま売ったのでは他の産地と差を出すのは難しいと判断し、加工することにした。では何を作るか。

相沢さんは「最初はみんなが普通思いつくものを考えてみた」という。ケーキやジャム、ドレッシングなどだ。結論はすぐに出た。「すでに食品メーカーも作っているのに、もっとおいしいものを作るのは難しい」

「よくある加工品では勝ち目がない」。そう考えて目をつけたのが、酒類だった。既存の商品と競合が少ないことが理由の一つ。加えて「みんながわいわい集まる場所でのニーズがある」という点も魅力と映った。居酒屋やレストランだ。

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