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サクサク決まる農政に漂うモヤモヤ感、もっと必要なガチンコの議論

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

サクサク決まる農政に漂うモヤモヤ感、もっと必要なガチンコの議論

2024年6月23日に閉会した第213回通常国会で、農業にとって極めて重要な法律が成立した。「食料・農業・農村基本法」の改正法(以下、改正基本法)と、緊急時に備える「食料供給困難事態対策法」だ。とても大切なテーマにもかかわらず、あまりにもすんなり決まった印象が残る。その背景を探ると、最近の農政へのモヤモヤ感が増す。

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どの作物を重点支援するのか見えない基本法

まず改正基本法から見てみよう。農政の根幹にある法律の改正にこの連載で触れる必要があると考え、以前その内容を紹介した。そのときは、できるだけ農家に直接関係のあるテーマをと思い、輸出の振興を軸に解説した。

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改正食料・農業・農村基本法(以下基本法)が5月29日に成立した。「農政の憲法」と呼ばれるこの法律の改正は、農家にどう影響するのだろうか。輸出の振興とコストの価格への転嫁の2つを中心に考えてみたい。

輸出に力を入れるのは、改正基本法で食料安全保障の確保を基本理念として位置づけたからだ。だが食料安保の大切さを言うのであれば、本来なら輸入に頼る食料、特に穀物の増産を目指すべきだろう。ところがその規定がない。

関連する項目として第17条で「食料自給率の向上」に触れているが、これは1999年にこの法律を制定した当初から掲げていた目標だ。そして四半世紀が過ぎても、自給率が低迷したままなのは誰もが知る通りだ。

自給率を高める手立ては2つある。1つは輸出。もう1つは、輸入に依存する農産物の国内での増産だ。なぜ前者を後押しする方針は改正基本法で明確にしたのに、輸入依存の是正を打ち出さなかったのだろうか。

輸入に頼る穀物をどう応援するかは未知数

輸入依存の是正は基本法で規定しなかった。写真はパン用の国産小麦

農林水産省に問い合わせてみると、要は

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