トヨタ初公開!コンパクト型自動草刈り機
トヨタのブースでは、開発中の電動コンパクト草刈り機のデモンストレーションが行われていた。最大45度の斜面でも安定走行が可能で、幅60cm・刈幅380mmの設計により狭い畦道にも対応し、軽トラックに載せて載せて圃場に運ぶことも可能。静音性にも優れ、稼働音は約68dBと生活音レベルだ。バッテリー駆動の電動モーターを搭載し環境にも配慮しており、まさに次世代型の草刈りロボットだ。2026年からレンタルを開始しながら、価格も検討中。農家が作業外注をする際の費用をヒアリングしながら、よりコストパフォーマンスの高い価格を検討していく予定だ。

大学発 ワイン用ブドウ収穫ロボット
続いて賑わいをみせていたのが、北海道大学と北見工業大学が開発中のワイン用ブドウ収穫ロボット。ロボットアーム(ECO65-B)と走行台車を組み合わせ、近赤外線(NIR)画像を用いて房の位置と切断点を自動認識。人間の姿勢推定に用いられるポーズ認識技術を応用しブドウ房を構成する複数のポイントを推定することで、切断位置を自動的に算出しているという。ブドウの垣根間を走行し、房を検出すると停止。認識から切断、ブドウ房をコンテナに移動させるまで全てが自動化しているというから驚きだ。試験では収穫成功率71.4%を達成し、夜間作業や労働力不足への対応、省力化に大きな効果が期待される。
耐暑性が高い 白い果皮のサツマイモ新品種
三好アグリテック株式会社のブースでは、白い果皮が特徴的なサツマイモの新品種「きみまろこ」をお披露目。昨年、千葉県や茨城県で試験生産が始まったばかりの新顔で、食味はすっきりとした甘さながら、ねっとりとした滑らかな食感が印象的だ。淡白な果皮の目新しさも相まって、今後注目を集める存在となるだろう。
同社の営業部の上薗功(うえぞの・こう)さんは「近年はサツマイモ産地の主力品種が猛暑の影響で秀品率を落としている中、『きみまろこ』は開発段階から耐暑性の成績がよく、空洞や変形といった話も今のところない。メジャー品種との差別化や、紅白のセット販売にもうってつけです」と話してくれた。

土壌改良効果と肥料効果を併せもつ 環境に優しい肥料
こめ油メーカーの三和油脂株式会社は、こめ油の製造過程で生じる副産物を原料とした「脱脂米ぬかペレット」のほか、工場の排水処理で生じた汚泥を活用した「なごみペレット」を展示した。同社はみどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画の認定を受け、宮城県のペレット製造工場を今年竣工。これまで廃棄されてきた副産物を用いた肥料で稲を育てる、持続可能な循環型社会の形成を目指している。
執行役員営業部長の山口芳明(やまぐち・よしあき)さんは「『脱脂米ぬかペレット』は土壌改良効果と肥料効果を併せ持つのが特徴で、野菜や果樹向きの『なごみペレット』は根はりが良くなったという試験結果も。環境負荷の少ない循環型資源としても注目されており、化成肥料の代替としても期待できます」と胸を張る。今後は、肥料登録後に販売を開始する予定だ。

「脱脂米ぬかペレット」(右)と「なごみペレット」
新たなたんぱく質源として期待 未来の飼料
海外出展企業の製品も熱視線を集めた。韓国entomo社のブースでは「持続可能な未来の飼料」と銘打ち、アメリカミズアブを原料とした畜産飼料などを展示。飼料価格の高止まりが続く中、畜産業の新たなたんぱく質源として期待されている。
ブースを案内してくれた株式会社エルム(鹿児島県さつま市)BI事業部の李在坤(LEE JAEGON)さんは「養鶏では、豊富なアミノ酸によって免疫力と生存率が高まります」と解説。養豚での給餌実証では、離乳子豚用飼料に2%のアメリカミズアブ粉末を添加することで、飼料効果が13.5%向上したという。エルムでは畜産農家らの要望を受け、アメリカミズアブの幼虫を安定的に生産する自動化システムの開発に取り組んでおり、2026年2月以降の販売を目指している。

薬液使用量60%削減!薬液散布ロボット
農業用ロボットのデモンストレーションで、多くの来場者の目をくぎ付けにしていたのが、新潟県発ベンチャーの株式会社FieldWorksだ。今年12月から販売を開始する薬剤散布ロボット「ウネマキ」や草刈りロボット「ウネカル」などを展示。それぞれラジコンの要領で遠隔操作でき、農薬被ばくや作業事故のリスクを低減してくれる。
「ウネマキ」のユーザーテストでは、農薬散布の作業時間を1/4に短縮したほか、薬液使用量を60%まで削減する成果が出ているという。「ウネカル」はさまざまな畝幅や畝形状に合わせて走行してくれる汎用性の高さが魅力。最大作業速度は約2km/hで、バッテリーは電動工具用で1~1.5時間稼働する。
10月31日まで、全国の圃場で「ウネマキ」の先行体験会を同社サイトで受け付けている。

ロボットの操作性能を説明する同社営業部関東エリア統括の遠山陸さん(中央)
革新的な収穫方式 ミニトマト自動収穫ロボット
自動野菜収穫ロボットなどで話題のアグリテックベンチャー企業、inaho株式会社が初披露するのは、開発中のミニトマト収穫機だ。AIを用いて果実の熟度を判定し、自律的に収穫を行うシステムで、特徴的なのは「群取り収穫」方式。左右2本のハンドで房を挟んでベルトでねじるように収穫し、1ストロークで4~5個を同時に収穫することが可能だという。温室の狭い通路にも適応しているコンパクト仕様だ。担当の共同開発事業責任者・福原あおいさんによると、オランダで実証実験を重ねており、収穫速度は従来比で2倍に向上し、認識ミスや落下も低減されているという。日本で発売される日が楽しみだ。
【inaho株式会社 Youtubeでも紹介中】
屋内外の暑さ対策にバッチリ!省エネ冷却キット
会場内を歩いていると、心地の良い、涼しい風が吹いてきた。スプレーイングシステムスジャパンのミストシャワーだ。簡易設置型のミスト冷却「二流体ミスト冷却キット」は、高性能ノズルが微細なミストを均一に噴霧し、気化熱の作用で周囲の温度を下げる優れものだ。既存の水道と電源に接続するだけで使用できるため、屋外作業場やハウス内での設置も可能。低コストで省エネ、移動も容易とあって、夏場の作業環境を改善し、熱中症対策にも期待できそうだ。

酪農家の労力削減に 飼料押し出しロボット
最後はスウェーデンのSveaverken社による「Nimbo X1」 。3D LiDAR(ライダー)とスマートオートモーション技術を搭載した自動走行型飼料押し出しロボットだ。360度の高精度3Dビジョンで牛舎内を自律走行し、飼料を均一に整えることで給餌効率を最適化。完全自動運転・防水設計で、最大2日間の連続稼働が可能だという。また、最大27%の傾斜にも対応するスカートリフト機構を備え、あらゆる畜産環境での安定動作を想定している。遠隔操作アプリ「MooConnect」により、給餌状況の監視や操作も可能。酪農家の労力削減・飼料ロス防止・生産性向上へ期待が高まる。
















![[ユーザーインタビュー]畑ごとの施肥量計算もラクにできる!肥料の無駄削減につながるスマホアプリ「肥料のミカタ」 [ユーザーインタビュー]畑ごとの施肥量計算もラクにできる!肥料の無駄削減につながるスマホアプリ「肥料のミカタ」](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/10/b866d362244d9c1290f28e55b432c1c7-200x150.jpg)